2022 テストマッチ雑感 ラグビーの進化と真価

日本のラグビーの成長は著しい。斎藤、ワーナー、ライリーなど個人スキルやフィジカル、タレント性。チームの戦術、マネージメント、プレーの連携、コントロールなどなど。その中で34歳にしてまだまだ進化を続けるするリーチには敬服せざるをえない。

しかし、それ以上にフランスチームの進化は全ての点で先行している。19年の日本のW杯時点ではその進化が始まったばかりであった。ガルティエ体制になってからの早い時点からの若手の育成の積み重ねは、今やすでにそのラグビーの真価として地についている。
その真価がテストマッチ12連勝となって表出した。

残念ながら今のジャパンは進化の途上でしかない。コロナの1年が実に悔やまれる。しかしその進化のスピードは凄まじい。今のジャパンは、全ての経験が成長の栄養素だ。毛穴をくすぐる空気が、指先にふれる感触が、踏み込んだスパイクの食い込み度合いが、ぶつかり合う相手の筋肉の圧力が、アウェイの洗礼が、その一瞬の景色が、街角の風景までもが、全てが成長のサプリメントだ。すべて細かいところではある。しかし、それらの上にこそラグビーの真価が存在しているのだ。試合後の稲垣はディテールという言葉を発した。そのとおりである。稲垣はプレーのディテールの精度のことを意味した発言だったとおもう。しかしそのプレーのディテールは、目に見えないし言葉にもできない(いわば形而上学的な)細かなディテールの経験の積み重ねの中にこそあるのだ。ラグビーのゲームでは個人の全人格が現れる。ラグビーこそは15人対15人の全人格が絡まったチームとして全人格同士のぶつかり合いだ。

2019年の南アの優勝は、日本という地や風土をリスペクトする人格そのものの真価の現れといえる。残念ながら準優勝に終わったイングランドにはその人格形成に欠陥があった。勝負事だけにこだわる合理的な手段を追求するだけでは、全人格の深度や地平の広がりには限界がある。

今回のイングランド、フランス戦の経験で、JAPANの個もチームは、その人格をまた一つ大きく進化を遂げることになるだろう。
W杯でキャンプを張るトゥールーズという街でフランス相手のゲームができるなんてなんというプレゼント。素晴らしい学びのチャンスであり、またとない成長の機会であるに決まっている。

ジャパンの進化は分かった。真価を発揮するのは来年のW杯本番で良い。

これで、JAPANの強化の舞台は国内のリーグワンということになる。我々ファンにとっては、進化が真価となる証拠をリーグワンのゲームで表現されるだろうディテールに求め、目が離せず、やきもきする期間となるだろう

 

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