ウクライナの平和を祈って(キエフの大門)

ウクライナではなんとも終わりの見えない戦争が続いています。

この度、戦争の早期終結とウクライナの平和を祈って、LEGOで「キエフの大門」を作りました。

なぜ2つあるかということも含めて下記に書いていきたいと思います。

1、キエフ・ルーシ大公ヤロスラウ

「キエフの大門(キーフの大門、黄金の門)」は、1037年、ウクライナの前身キエフ・ルーシ公国のヤロスラウ賢公によって建造されました。

当時キーフの街は土塁で囲われ川から街に入るキーフの街の正門として建造されました。門の上にはキリスト教(正教)の教会が立っています。ヤロスラウ公はロシアのノブゴルド公でしたが、内部で争いごとの耐えなかったキエフ・ルーシ公国にまねかれ、戦争の終結をおこない、復習による殺人の禁止、死刑の廃止などを法典にまとめ、平和な治政を行いました。ウクライナの象徴ともいえる有名なソフィア大聖堂もヤロスラウ公の建造です。

しかし、その死後にはまた争いがおこり、モンゴルのキプチャクハン国の侵入によって、キエフ・ルーシ公国は滅亡され、「キエフの大門」も完全に消失しました。

リトアニア、ポーランドに分割されます

その後さらに、ウクライナは、オーストリア、ロシアという大国同士の綱引きの中で領土は分断され、何度となく国境線はかわります。

 

2,バルトマンとムソルグスキー

ムソルグスキーによる1874年のピアノ組曲「展覧会の絵」の終盤の「キエフの大門」で注目されました。ムソルグスキーは早死した友人の画家、バルトマンの回顧展に足を運んだ後に、その回顧展で展示されていた、何枚かの絵にインスパイアされて一気にこのピアノ組曲を仕上げました。

「キエフの大門」の絵です。

この絵は当時数百年も前に消失したウクライナの象徴とも言える「黄金の門」の再建を願ってバルトマンによって創造されたものです。当時はウクライナで自分たちのアイデンティティを求める民族運動も盛んになり、ロシアによる同化政策との間で諍いがはじまっていました。

ちなみにバルトマンの絵やムソルグスキーの組曲には「バーバ・ヤーガの小屋」や「こびと」などウクライナの土着民族の言い伝えなどから多くのヒントが得られています。

私もこの残された1枚の絵をたよりにレゴで想いをこめて再現してみました。

 

残念ながら、ウクライナはその後第一次世界大戦、ロシア革命、独ソ戦、スターリンによるホロドモールなど悲劇的な運命に見舞われてしまいます。その後ソビエト連邦に組み込まれ、鉄のカーテンの向こう側となり、「キエフの大門」のことなど完全に忘れ去られてしまいます。

望み虚しくキエフの大門の再建は叶いませんでした。

 

3,エマーソンレイクアンドパーマー

私は中学生の頃「展覧会の絵」をエマーソン・レイク・アンド・パーマーのライブ版ではじめて知りました。当時は冷戦の真っ只中でした。

「キエフの大門」にはメンバーのグレッグレイクによる歌詞がついています

我が「生」には終わりはない、我が「死」には始まりはない。
「死」と「生」は同一である

There's no end to my life, no beginning to my death, Death is life.

 

の歌詞が印象的です。

 

当時は最先端だったアナログのムーグシンセサイザーがふんだんに使われています。また、日本のシンセサイザー奏者、富田勲も「展覧会の絵」のLPをだしていました。そのジャケットには、バルトマンの「キエフの大門」の絵のデザインが使われていました。

 

4,現在のキーフの大門

現在の「キエフの大門(キーフの大門、黄金の門)」は、11世紀の資料を元に、1982年に再建されたものです。

1982年といえば、冷戦の象徴席存在だったブレジネフ書記長が亡くなった年です。その後アンドロポフ、ゴルバチョフと続き、ペレストロイカ、ソ連の崩壊、冷戦の締結へと向かいます。

冷戦の終結、ソ連の崩壊によってやっと独立したウクライナですが、なかなか内部がまとまりません。マイダン革命、クリミア併合、そして今年の3月の22日にプーチンによるウクライナ侵攻が始まりました。

歴史的建造物の多くが危機に瀕しています。

現在のキエフの大門を私がLEGOで再現した作品は下記です。

キエフ・ルーシ公国に関しての歴史認識が、ウクライナとロシアなかでまったくが違っています。その食い違いがなかなか奥深いので戦争の終わりがみえないのです。

戦争の早期終結とウクライナの平和を願います。

 

おまけ

ムソルグスキーの「キエフの大門」の曲は。テレビ朝日の「ナニコレ珍百景」のカメラがズームしていく場面でも使われていました。

 

参考文献
「物語 ウクライナの歴史」 黒川祐次 著
ELP 「展覧会の絵」ライナーノーツ
NHK特番 「追跡展覧会の絵」
その他 ウィキペディアなど

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