RWC2023フランスへの準備 勝ちが遠いJAPAN (開幕まで あと48日)

試練の時だ。

3ゲーム消化し今だに勝ちがない。
毎回課題が明らかになる。しかし、それは想定内のことだった。
ジャパンの成長のステップアップとして評価できる面があったと無理やり自分をなっとくさせることもできた。

しかし、今回は一番恐れていたハプニングが現実となる。

どうもフランス人レフリーのマシューレイナルさんが笛を吹く時は、そのようなハプニングが忍び寄ってくるようである。彼はジャパンだけでなく、世界中のスタジアムでハプニングを呼び寄せている。(マシューレイナルさんを非難しているわけではありません。TMO含めて、巡り合わせか偶然で難しい笛になってしまうようです)。ただ、仏頂面で表情を表さないレフリーと良好なコミュニケーションを取ることや、そういった人間を100%信頼するという難しさは、紛れもなく存在する。レフリーも人間である。どうも最初のトライの判定やサモアに最初のイエローカードを出したことなどの「埋め合わせ」が、スクラムの微妙な判定やレッドカードの判定に影響をしているように「うがった見かた」になってしまう。

そんなわけで、なかなか冷静に評価できにくいが、なんとか冷静にこのゲームの意味合いを見つけたいと思う。

1、レッドカードの衝撃

ゲーム前からリーチが注目だった。それもそのはず、札幌は彼にとって第二の故郷(第三の故郷?)。この地でリーチはまだ何者でもなかった高校時代をこの地で過ごし、成長した。リーチに取っては、特別なゲームである。そしてこの日は母校の全校生徒がスタジアムに詰めかけた。
流石のリーチも気合が入りすぎていたのだろうか、ゲーム開始直後からノックオンを連発してしまう。それも影響したのか、今度はダブルタックルが高くいきすぎてしまった。レイナルさんのカードは赤だった。考えてみればそんなにリスクをとって激しく行かなくても良い場面だった。リーチにしてみてもゲームの入りから冷静さがかけていたのだろうか。ハイタックルの危険性についてはジョセフはじめ首脳陣がその重要性を思い「イの一番」に対策をし、「地獄の浦安合宿」を行なったはずだったのにだ。

責任感の強いリーチだけに、今後のプレーやチーム内の立ち位置に影響するのではないかという心配がある。リーチの統率力やリーダーシップはジャパンには絶対に必要である。影響が広がらないように祈りたい。

2、コンタクトとスクラムの件

ダブルタックルをどのようにすれば反則を免れるかは、「地獄の浦安合宿」で充分にメンバーには染み込んでいると思われる。でもそれでも起こりる。問題はそれでもそれが起こってしまった後の対応である。この日、明らかにジャパンに動揺が走った。主力を欠くことになった上にカードの恐怖が浮かぶからである。その後のコンタクトのインテンシティは確かに緩んでしまった。ゴール前のディフェンスも影響した。で、すんなりトライを許してしまう。

それよりも問題はスクラムであった。それまでも劣勢を強いられていたスクラムは7人(ナイカブラを入れて8人)では勝負にならなかった。そのスクラムの力関係はゲーム全体に影響する。この日は両チームともハンドリングエラーが多かったが、それはスクラムの回数が積み上がることを意味する。サモアにしてみれば、ハンドリングエラーを怖がらずにアタックできる優位性が出る。

JAPANのメンバー交代でFWを8人にするタイミングはどうだったのであろうか、この判断の遅れは次に述べるアンストラクチャー時の外側のディフェンスの問題とも絡み合う。

それにしても、サモアのスクラムは脅威になる。この日は主力のアラアラトアやトウガラママシはおらず、ABのファウムイナも控えからの登場である。本番はさらに強力になると思って良い。そこことはイングランドやアルゼンチンにとってもこのスクラムは驚異になるということだ。ジャパンがこの圧力を事前に経験でしたことはイングランドやアルゼンチンよりも優位になったとも言える。まだ時間があるのでスクラム対策も必要だが、いかにスクラムを少なくするかというゲームプランを考えなければならない。

3、サモアのミスに助けられたディフェンス。

前の2試合はトライを取られすぎた。そのほとんどは切り返しからのアンストラクチャーの場面でのディフェンスで外側のディフェンスが足りなくなることであった。残園ながらこの日もそんな場面が多くみられた。サモアはオールブラックスではないので、走るコースが万全でなかったり、フォローがよくなかったり、パスのタイミングがよくなかったり、キックの選択がなかったりした。それで助かっている。基本ができているオールブラックスでは必ずトライになるはずで、サモアは3本はトライを逃していると言って良い。
問題はバックスのディフェンスの連携のテストが、ジャパンのこの日のテーマの一つであったことであろう。そのためメンバー交代でバックスを減らして、FWを8人に戻すというタイミングがずれたと思われる。
その意味ではジャパンのディフェンスシステムはまだ課題が残る。しかし、FBは山中であるべきという方向性は確認できた。

4、山中の存在意義確認

満を侍して山中がFBで登場である。リーチと同様にゲーム前から注目された。この日も、ロングキックやハイボールの処理などで何度も見せ場を作った。FBはやっぱり山中だということがはっきりした。

しかし勝負所でサモアのボンジョビヘアーのSHタウマテイネのチャージを受けて、トライを許してしまった。これはこの日の第二のハプニングであった。こちらも衝撃的であった。キックチャージは即トライになってしまう「恐ろしさ」がある。

これもこの日経験しておいてよかった事故である。久々の登場の山中にとっては慎重さが欠けていたという反省ができた。山中だけではない、流、斉藤、李君、松田にとってもチックジャージの恐ろしさを体感できただろう。イングランドのイトジェは必ずチャージを狙っている。

5、その他よかった点

1)李君のキックはこの日も100%、安定感、と安心感抜群である。
2)ファカタヴァ初CAPで初トライその後もブレーク連発で存在感
3)長田、福井も初CAP取得、途中から出場のこの日も活躍
4)ライリーの13番定着、ラインブレイクやグラバーキック良い

14人でも勝てるところだったが、勝ちをのがした。14人でも勝たねばならないゲームであり、相手だった。このままだと勝ちかたを忘れてしまう。勝ち癖をつけることが必要である。そうしないと、勝つための勝負所の「時」の見極め、集中する「時」、ミスをしてはいけない「時」の感覚が鈍って言ってしまう。

 

最後に気になる点である。

選手やファンからは、「ヘッドコーチ、首脳陣、スタッフを信じる」「どんなことがあってもぶれないでついていく」という言葉が出る。今の段階ではそれはそれで良いのだが、それが、ピッチ上での肌感覚、感性をぶらせてはいけない。ピッチ上で選手の間で修正、判断ができなくてはならない。2015年の南ア戦のように最後は監督コーチは関係ない。ピッチ上の判断で勝負がつくのだ。

来週は花園でのトンガ戦、トンガは花園によく登場する。トンガもサモア同様、元オールブラックス等からの補強が入って入いる。先々週はバーナードフォーリーを配するオーストラリアXVを破った。しかし、22日のフィジー戦は20−36と敗れた様子である。

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