大学選手権 準決勝2試合結果

毎年正月2日は大学ラグビーの準決勝です。ここ30年以上は毎年欠かすことなく国立や花園で生観戦することが恒例行事になっていました。買い込んだビールやつまみとお湯割用の魔法瓶などを持ち、時には並んで購入したカンタベリーの大きな福袋を抱えて狭い席での観戦でした。今年はコロナ自粛で今年ばかりはそうはいきません。自宅でのT V観戦です。長年1月2日に自宅にいることがなかったのでのでなぜか落ち着かないまま箱根駅伝からNHKにチェンネルを変えてキックオフを待ちました。

第一試合 早稲田ー帝京

試合を重ねるごとに修正をして、少しづつ成長している早稲田と、けが人が戻ってやっと本来の力を取り戻したかの様に見える帝京の1戦となりました。

対抗戦では11月の初旬にに対戦があり、その時は早稲田が快勝しましたが、今の状況はだいぶ変わっています。

この試合は、レフリーの判断、レフリーとのコミュニケーション、さらにはそれへの対応ということが考えさせられる試合となりました。

開始早々のラインアウトで、帝京は同じ反則を繰り返ししてしまいます。ラインアウト後のモール成立の解釈の違いから出たものと思われます。結果ペナルティから早稲田のゴール前のラインアウトとなり、モールをドライブされ2つの連続トライを奪われてしまいます。これで前半は完全に早稲田ペースになってしまいました。もっとも、それが早稲田ペースになったのは、早稲田のスローインが早明戦から完璧に修正されてていて、素晴らしいラインアウトが決まったという練習の成果が出たことで自信を取り戻したことにあると思われます。帝京は早いうちからレフリーとコミュニケーションをとって修正していれば少なくとも2つ目のトライは防げたかも知れませんでした。しかしレフリーとの会話はあまりなく、その後も同じ反則でペナライズされています。帝京は本来のキャプテンがピッチにいなくフルバックの奥村君がキャプテンを努めていました。キャプテンがFW だったらレフリーと会話ができたかも知れません、

しかし、その後も同じ反則をし続ける帝京に対し、レフリーはシンビンを出さずただ単にペナルティーオンリーの判定でした。今度は早稲田側に言えるのですが、この前に早稲田の丸尾キャプテンは、レフリーとのコミュニケーションで、「次に同じ反則をしたらシンビンを出してもおらえませんか」などとレフリーにプレッシャーをかけて確認しておくことも必要だったのではなかったでしょうか、コミュニケーションがうまければ、帝京にシンビンが出たかも知れません。

そして前半の終盤には、今度は早稲田ゴール前のスクラムから帝京のペナルティトライが生まれます。その前に3度ほどスクラムが組み直しになります。最初のうちは確か手は曲がって上がっていました。その理由もレフリーは説明しての組み直しだったと思います。早稲田はその忠告をそのまま受け取らずにギリギリのところで反則にならない程度を模索して工夫してその都度違ったスクラムを組んでいました。帝京はそこちょっとした力の入り方の隙を狙ってスクラムを押し勝った形になりました。かといってレフリーの忠告通りに素直なスクラムを組んでしまえば、力に勝る帝京のスクラムの勝利となったかも知れません。まさにスクラムは謎だらけです。しかし、最初に組んだときに早稲田がプレッシャーを受け、この時点では明らかにレフリーの印象は早稲田側の反則の有無にフォーカスさてていたと思われます。

33−20の勝負所の70分すぎに早稲田の1列目が変わりました、早稲田の3番は小林くんから阿部君に変わりました。(個人的に阿部君の登場の仕方が大好きです。手の指先をピンと伸ばしてちょっと外側に向けて元気に忍者走りの様に全力で走ってきます。それはさておきですが)その直後のスクラムも前半終了間際と同様に何度も組み直しになっています。

阿部君は一度は押されましたが、最初は反則にはなりませんでした。しっかり組んでいることがレフリーには良い印象を与え反則を免れたと思います。組み直すもまたプレッシャーを受け下がる早稲田。さすがに3度目ではコラプシングでアドバンテージを与えてしまいます。しかしその後に帝京が選択したスクラムでは、今度は早稲田が押し勝っています。その早稲田が押し勝ったスクラムですが、皮肉にも帝京のオープンに回されて6点差になるトライを与えることになります。何度も早稲田の中でスクラムの組み方の工夫がなされて、押されてもペナルティーをとられてもギリギリのところで耐えて、最後は押し勝つことができた。トライは取られましたが、そのことで時間を消費させることができました。

レフリーへの対応が小林君から阿部君にも引き継がれているのに違いありません。

レフリーのスクラムの反則の判断は難しく、人間ですから心象が関わることは仕方ありません。それと時間帯、得点差、スクラムの位置によってどういったスクラムを組むのかが選択されます。押されても反則が取られなければ勝ちだし、ボールが出されてもトライされなければ勝ちだし、トライされても時間切れに持ち込めればそれはそれで勝ちになります。

帝京は徐々に本来の力を出し始めましたが、エンジンのかかりが遅過ぎました。前半早々にペナルティからモールで連続失点してしまったこと。一方圧倒するスクラムで優位に立ったことでスクラムにこだわるあまり自ら時間を消費してしてしまったことも時間切れで逆転にはつながらず、結果的に33−27と6点左早稲田が逃げ切りました。

 

第二試合 明治ー天理

第二試合は天理の元気のよさと、対する明治の元気のなさが気になったゲームになりました、明治はなぜか覇気がありません。大人しくお行儀良い素直なラグビーでした。挙げ句の果てには、ゴール前のペナルティで気が抜けた瞬間の隙をつかれてPからGOでトライをとられてしまっています。

早明戦でシンプルさと力強さを思い出したと思われた明治ですが、その後の日大戦で元に戻る傾向がみられました。

さらに今回の天理戦ではまた大人しいスマートでお洒落なラグビー、都会風で、音楽で言えばシティポップ風、和音で言えばメジャーセブンの音の様なラグビーにまた戻ってしまっています。対する天理は土臭いラグビー、音楽用語でいえば黒人ブルースやR&Bの様な「イナたい」味のあるラグビーです。和音で言えばセブンスの濁った音です。
もしも明治が2位通過で早稲田と入れ替えっていたなら、相手の慶應や帝京が、本来の明治のDNAを目覚めさせ、荒削りで力強いラグビーに成長できたかも知れません。残念な結果でした。

これで11日の決勝戦は早稲田と天理の戦いになりました。

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