クルセイダーズ 十字軍についてその2

スーパーラグビーが2月1日に開幕する。

今年からスーパーラグビーにエンブレムを変えるチームがある。ニュージーランドは南島のクルセイダーズである。3月14日に秩父宮でサンウルヴス戦がある。昨年3月15日にNZ南島クライストチャーチで、イスラム過激思想による痛ましい銃乱射事件が発生してしまった。クルセイダーズというのは十字軍のことである。11世紀から13世紀に欧州でイスラムから聖地エルサレムを取り戻そうと遠征したのが十字軍である。感情面を配慮し刺激的すぎるクルセイダーズのという名前を変えようとする考えも起こったが、結局名前は変えずに今期はエンブレムの変更だけで進めるということになった。

サッカー界の十字軍

サッカー界にもクルセイダーズは存在する。北アアイルランドのダブリンを本拠地にしてプレミアシップに参加しているクラブチームである。エンブレムはこちらも白地に赤の十字で剣をかざした兵士が足掻かれているが。こちらはまだチーム名やエンブレムを変えようとする動きはないようである。ブレクジット問題でそれどころではないのでしょうか

 

音楽界では日本とUSA、フォークとジャズフージョン界にどちらも音楽史になお残すとても重要な十字軍が存在した。

ジャズの十字軍

USAの十字軍はジャズクルセイダーズ(のちにクルセイダーズに変名)と呼ばれた。結成は1961年、テナーサックスのウィルトンフェンダー、トロンボーンのウェインヘンダーソンj、ドラムのスティックスフーバーに、キーボードのジョーサンプルの4名である。ギターのラリーカールトンも準メンバーの一人であった。
70年代には、ローズなどの電気ピアノや電気楽器を用い、耳に心地よく大人の音楽となったクロスオーバーやフュージョンと呼ばれる大ブームを起こし、常にその中心にいた。ランディクロフォードやビルウィーザースなどのゲストボーカル曲が1曲入っているのも楽しみであった。

彼らはその活動を通じて行ったい何を奪還したかったのだろう。ジャズがちょっと堅苦しい方向に行く中で、難しい音楽でなく白人も黒人も楽しめる音楽そのものをしたかったのだと思われる。


 

 

フォークの十字軍

日本の十字軍はフォーククルセダーズである。フォーククルセイダーズではなくフォーククルセダーズが正式名称。60年代に加藤和彦と北山修が中心になり、はしだのりひこを加えて結成。「帰ってきたヨッパライ」が大ヒット。「イムジン河」は放送禁止になる。「悲しくてやり切れない」「青年は荒野を目指す」もヒット。今でも歌い継がれる名曲「この素晴らしい愛をもう一度」は当初は女性二人組シモンズ向けに書かれたものだった。活動期間は短かったがその後の日本音楽シーンに多大な影響を残す。加藤和彦は、ボーカルのミカ、ドラムの角田ヒロ、のちに高橋幸宏、ギターの高中正義、ベースの小原礼、のちに後藤次利らと、サディスティックミカバンドを結成。ロキシーミュージックと対バンで英国ツアーも実施。名曲「タイムマシンにお願い」をフィーチャーした名盤「黒船」を発表。きたやまおさむはその後、精神科医となり、九州大学の教授となるかたわら作詞活動も続ける。はしだのりひこは、フォークの域にとどまり、クライマックスやシューベルツの活動で今に残る名曲を歌い継いだ。21世紀になると、加藤と北山はアルフィーの坂崎幸之助を入れた新生フォークルをして再結成。しかし単発な活動も加藤の自殺というショッキングな事件でその幕を閉じることになった。


彼らはその活動でどこの聖地を奪還したかったのだろう。プロの音楽家が作る演歌や歌謡曲の時代からJPOPに向かう先駆けになったことだけは確かである。十字軍としての勇ましさはあったが、プロテスタントや啓蒙思想に近いものがあったと思われる。

何れにせよ音楽界では、USAのジャズクルセイダーズや日本のフォーククルセダーズの命名にはそこに何らかの思想が込められてる。一方のプレミアシップやスーパーラグビーのクルセイダーズの命名に果たして思想があったのであろうか?頭脳が筋肉だけではちょっと寂しい。

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