サモアのラグビー(その2) 現状は?

資金難

サモアは常に資金難に苦しんでいる。

2017年の英国遠征の前にサモア協会が破産宣告。選手に日当が払えない事態になり、遠征続行が危ぶまれる事態になる。これに対しイングランドやスコットランドの選手のカンパの支援があり続けられた。ワールドラグビーも強化の名目で資金を提供して、今はなんとかサモア協会も存続している。

多くの選手は、イングランドのプレミアシップやフランスのリーグでプレーしている。これらのリーグはテストマッチ期間やW杯期間も続行されている。イングランドやスコットランドなどの強豪国であれば、クラブと話し合い、選手のサラリーも保証し、国代表のキャンプやゲームに呼ぶことができる。しかしサモア協会には金がない。呼ぶことができない。クラブの方も(批判はあるが)強豪国に主力有名選手を持って行かれてしまうので、その時だけサラリーを高くし選手を抱え込む方法をとっている。プレミアシップなどに席をおくサモアの選手は自国の代表でプレーすることではなく、クラブでそのままプレーすることを望む。選手を非難することはできない。生活もあり、仕送りもあり、出場チャンスがあれば活躍できその後クラブでの待遇も改善される。

W杯予選

ということで、サモアには有力な選手がたくさんいるのだが、集められない。
15年大会で、JAPAN、スコットランドにも負けたサモアは予選プールから勝ち上がらなければならなかったが、これがまた厳しい戦いとなった。15年大会では、フィジーもトンガも出場が約束されるプール3位以内が確保できなかったからである。というわけで、オセアニア大会は、フィジー、トンガ、サモアでのホームアンドアウェイで実行された。ここで最下位になると、さらに欧州のチームとのプレーオフを戦わねばならない。2016年と2017年、どのチームも最高の布陣を常に揃えることは難しかった。特にサモアは選手集めが難しく、結果は最下位。プレーオフでは欧州3位のチームとの2連戦であったが、これがルーマニア、ベルギーの失格で5位のドイツとの戦いになった。ドイツも昨今力をつけているが、サモアはこれは難なくクリアし、最終直前でやっとW杯出場のキップを手にした。

PNC

 

W杯前哨戦となるパシフィックネーションカップ(PNC)でもサモアは輝かなかった。どうやっても欧州からのメンバーが集まらない。初戦のトンガ戦は大雨の中行われた。グランド状態は最悪、壮絶な田んぼラグビー。試合後の選手のコメントは皮肉たっぷり「オールブラックスでもこんな状態で試合するでしょうか?」でした。
サモアはPNCでは惨敗。毎回選手を取っ替え引っ替えしテストマッチはおろか、ラグビーを始めて間もない選手を入れざるを得ない状態。あまりもラグビーの常識にないプレーに世界のトップレフリーのナイジェルオーエンスさんも大失態の誤審をしてしまうほど。スクラムハーフに至ってはPNC含む5試合に毎回違った選手を先発させざるを得ないという状態。しかも最後のオーストラリア戦では、期待を込めて初キャップとなるSHを投入も前半で怪我をしてしまい、W杯の登録メンバーからも外すことになってしまった。

 

W杯に向けて

困ったもので選手がなかなか集まらない。当初は、ルアトゥア、ビクターヴィトなどビックネームを呼ぶ構想もあったが、これも頓挫してしまう。
それでもW杯直前の8月下旬になってササンキングス戦からは、少しずつ集まりだしてきた。ビックネームとしてはサントリー、サンウルブス でおなじみのトゥシピシ、リコーでおなじみのナナイウィリアムス、さらにはクルセイダーズでウィイングカルチャーを知っているプロップのアラアラトア。グロスターからはウィングのフィドウがやっと戦列に加わる。
そしてこれらが揃ったシドニーで行われたウェールズ戦では、ウェールズと後半中ほどまではほぼ互角の戦いを見せた。PNCの結果は全く参考にならない。このゲームではキャプテンのジャックラム、センターのレイリーも活躍、さらに途中出場のSHボラタイバロも2トライと急速に上げてきてる。

サモアはいわき市のハワイアンズで熱烈な歓迎を受け、気分も最高。これからいわきから山形に移動してキャンプを続行、9月22日の熊谷でロシアとの初戦を迎える。

これから急ピッチでチーム力を上げてくるサモア、ジャパンとの対戦が組まれている28日までには、かなり上がってきているはずである。ロシア戦で爆発すれば、その加速力は計り知れない。ジャパンにとっては明らかに新たな壁となった。さらにサモアは次の神戸でのスコットランド戦に、そのピークを持ってくるものと思われる。スコットランドも撃破する可能性も見えてきた。

サモアの国歌を紹介

 

Samoa, tula’i ma sisi ia lau fu’a, lou pale lea!
Samoa, tula’i ma sisi ia lau fu’a, lou pale lea!
Vaai ‘i na fetu o lo’ua agiagia ai
Le faailoga lea o Iesu, na maliu ai mo Samoa.
Oi, Samoa e, uu mau lau pule ia faavavau.
‘Aua e te fefe; o le Atua lo ta fa’avae, o lota sa’olotoga.
Samoa, tula’i: ‘ua agiagia lau fu’a, lou pale lea!

サモアよ今こそ立ち上がれ はためく旗の元
サモアよ今こそ立ち上がれ、登りゆく旗の元

イエスキリストはサモアのために身を捧げられた
サモアの船頭は永遠の航海へ出航する

恐れることはない
神のご加護と自由を持っているのだから

 

南国らしい優しいメロディーです。歌詞の内容も希望が込められているものです。歌い方のコツは、「斜め上を向いて遠くを見つめながら淡々と歌うこと」です。そうすることで、確かな希望や、自分への自信や、これまでの誇りが湧いてきて、自己肯定ができます。力を十分に発揮するにはうってつけの国歌と言えます。これに加えて、シバタウが待っています。

 

 

 

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