大学ラグビー その魅力再認識

11月1日秩父の宮

昨年来大学ラグビーを久々に秩父宮え観戦した。地下鉄外苑前駅もいつの間にか新しくきれいになり、なんとエスカレーターまでついている。
コロナ禍の中、席を2つずつ明けてゆったりとしたスタンドは快適であった。いつもの様にトイレも混まない。
しかし、コロナの影響で途中の入退場が禁止されているは我が身には痛い。これではゲームの合間でピールの買い出しができない。2試合分のビールをあらかじめ用意するのは難しいからだ。

さて、今回の主題は久々の大学ラグビーのの中身の方である。ゲームの最中、からゲーム終了直後は「ナンジャこりゃ」と思った。
グランドでは2試合とも簡単なミスの多い、突っ込みどころ満載のラグビーが振り広げられたからである。

しかし、その後少し時間が経ち思い直すと、記憶の彼方ですでに忘れかけていた、大学ラグビーの魅力そのものが思い出されて、「これもラグビー」と思い直した。どんな形にせよラグビーは面白いのである。昨年来、トップリーグ や、W W杯で最高峰のラグビー観戦に目が慣れてしまっており、そのバイアスがそんな印象を持ってしまったという、こちら側の勝手な原因だったことに気がついた。そもそもラグビーはゲームだけにとどまらない。ゲームは一見退屈そうでも、ラグビーにはつまらない物なんで何一つない。ピッチ上で繰り広げられることに意味のないものなんて何一つない。それがラグビーのラグビーたる魅力である。

そうは言っても、確かに当日繰り広げられたのは、まさに突っ込みどころ満載のラグビーだった。

1試合目

体格で完全に勝る帝京大が、ブレークダウンなどでの同じ反則を繰り返して、その強みを生かしきれずに、また一度取り戻したかのに見えたゲームの流れを簡単に早稲田に渡してしまう。圧倒したスクラムもその武器を使いこなせていない。そして乱打戦の結果、あっさりと敗れ去る。モールディフェンスも最後まで修正できなかった。

早稲田も、4番など奥のラインアウトが決まらない。仕方なく前への投入からモール形成して2つのトライを奪う。通常ならモール形成やトライまでのドライビングにはディフェンしやすい形である。これがなぜか不思議とトライになってしまう。さらに大外のキックがうま転がり、さらにキャッチミスをタップしてのリカバー(遠目に見てノックオンかと思いきや、帰ってビデオで確認したら、ノックオンをタップで真横に弾きノックオンではない)がラッキーにもトライにつながる。2つのも仕掛けでとったのでなく、たまたまのトライである。

(蛇足だが、このノックオンリカバーのタッププレイはその日の早朝行われた6ネイションズのウェールズ のハーフペニーもやっていた。ハープペニーはハイパンを空中でキャッチし損ねて弾くが、そのまま空中で手を伸ばして後ろにタップしてノックオンを回避するプレーを披露した)

2試合目

愚直なはずな明治がFWが一歩も前に出ず、無意味な早いパスをする。タップパスを使ったかと思いきや、今度は堀江翔太選手ばりの内返しのパスである。その後はその打ち返しのパスの連発ときた。これはおしゃれなラグビーである。
果たしてパスの先には低く構える慶應のディフェンスがあり、あたかも「タックルしてください」というパスである。昔はなら「ホスピタルパス(=いわゆる病院送りパス)」なんて言葉があったのを思い出した。

飛ばしのパスも「インターセプトしてください」と言わんばかりの山なりのパス。(しかもこれを慶應の選手がインターセプトしそこね、慌てて取りに行った明治のウィングがノックオンするというミスの連鎖)

この様に簡単なハンドリングエラーで慶應ボールのスクラムになってしまう。そして慶應はキックで相手陣に責めいる。

いつからこんなに軽いおしゃれなラグビーを志向する様になってしまったのか、音楽であればシティポップに使うメジャーセブンの音である、明治はもっと濁った泥臭いセブンスの音でなければならない。
天国の北島先生が見ていたら、泣いておられるだろうと。

一方の慶應は、逆に愚直なラグビーを徹底して披露した。伝統の戦法である「アップアンドアンダー」であある。執拗にこれでもかと相手陣にキックを繰り出す。結果ゲームの大半を相手陣で繰り広げることに成功して、最後までロースコアの僅差で暗いつき、最後に逆転のさよならPGで勝利を手にした。

2試合とも対照的な試合展開で、スリリングなラグビー観客は満足だったと思う。
しかし筆者には上記の様に「ナンジャこりゃ」を思えるらラグビーだった。

 

しかし、その後時間が経って思い直してみると、私にはすでに忘れかけていた大学ラグビーの魅力がそこには満載されていることに改めて気付かされた。

ナンジャこりゃと思ったのは、昨年からW杯などで世界の最高峰のラグビーを見慣れてしまったからなのだ。大学ラグビーが世界の最高峰であるはずはない。大学ラグビーの魅力はその未完成さや発展途上、成長物語にこそある。そこ学生ならではの未熟さや勢い、メンタル面などが加わる。もちろん各校の伝統や歴史が積み重ねられており、語るべきことがたくさんある。グラスを傾けて夜中まで語り合ってもその魅力は語り尽くせない。これが大学ラグビーである。

昨年度の早稲田には、斎藤という早熟な天才肌のSHがいて、中野というこれもプロ級の突破力をある選手が存在した。今年の早稲田にはその様な選手はいない。残ったスーパースターの河瀬も出遅れてこのゲームは途中出場にとどまった。昨年大活躍の
代わりに活躍したのが対照的な両フランカー。7番はオープンサイドでボールキャリーに優れた体も大きい1年生村田。ボールを持った瞬間に華やかでスター性を感じる。6番は徹底したタックルが魅力の小柄な4年生坪郷。埼玉の川越東 高校では野球部で、1浪して早稲田に入学、それからラグビーを初めて3年半、4年生になって初めて先発である。この日はタックルだけでなく2トライもしてマンオブザマッチにも選ばれてしまった。「しまった」と書いたのはTVでアップになった本人にその意識が全く感じられないからである。
スーパースターではなく、この様な印象的な新人が突如現れるのが早稲田ラグビーの魅力であり、その年の早稲田ラグビーは確実に結果を歴史に記している。

明治も天才肌の山沢が出遅れており、昨年活躍した雲山もまだ参戦できていない。明治を体現するはずの箸本もその実力を発揮できていない。さらに箸本にはキャプテンとしての成長が求めらる。どの様にチームが変わっていくのか、成長していくのかが非常に楽しみである。

帝京もキャプテンがこの日も途中出場にとどまった。チームの意思統一をどう図っていくのかも興味津々である。

今季の大学ラグビーはコロナという特殊な環境下に置かれており、現在までの結果は全く参考にならない、どの様な展開になっていくのか、興味は尽きない。

 

 

 

 

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