RWC2023フランスへの準備 プールCの見どころ (開幕まで79日)

このプールは実力伯仲でどこが勝ってもおかしくはない。激戦必至で下剋上も充分有り得る。もっともカオスに満ちたプールである。

このプールはウェールズとオーストラリアの2強が抜けているという力関係であると思われがちである。しかしこの2チームはメンバーは強力なのに戦い方がチグハグでここ数年完全に力を落としてしまっているのだ(6月21日現在オーストラリア7位、ウェールズ9位)。現在両チームとも再建道半ばである。同組のジョージア(11位)、フィジー(13位)にとっては過去の苦杯を舐めさせられた借りを返す絶好のチャンスである。その差はほんの僅かである。

1,チーム再建途上 新名物ベテラン監督の競演

ウェールズ、オーストラリア共に再建のためについに伝家の宝刀をくりだした。ウェールズには名将ガットランド監督がチーフスから呼び戻され、オーストラリアには才将エディ・ジョーンズがイングランドから故郷の地に呼び戻された。

エディさんは今年1月イングランドのヘッドコーチを解任され、直後にオーストラリアの監督に就任した、まだ今のオーストラリアではヘッドコーチとしてのゲームの采配はしてない。7月開催のチャンピオンシップが初陣となる。

オリバー・クロムウェル、ロペス・ピエール、スティーブ・ジョブス、そしてエディさんは同類の人種だ。みな天才肌には違いない。夢を描き、狙いを定めまっすぐに実行する。短期間に着実に成果を上げる。しかし如何せん純粋すぎる。純粋すぎるのは危険である。そのため周りが見えなくなる。手段を選ばなくなる。組織や体制を変革をするには長けているのだが、組織を維持し続ける力は持っていない。エディさんが、JAPANで成し遂げ、JAPANを去った理由もここにある。今回イングランドを去ることになった理由も同じである。今回のオーストラリア監督就任はそこまでオーストラリア協会に危機感があったということだ。オーストラリアがこの短期間にどう変革できるのかが見ものである。

オーストラリアはそもそも選手人材には事かかない。4月には52人のキャンプがあり、それから最終の33人に絞られることになる。日本で活躍する選手だけも豪華である。コロインベテ(パナソニック)がどんなトライをとるか楽しみである、バーナードフォーリー(クボタ)と怪我から復帰したクエイドクーパー(近鉄)のスタンドオフ争いが期待できる。マイケル・フーパー(元トヨタ)がまだキャプテンをやるだろうか?サムケレビ(サントリー)も普通に頑張ることだろう。ゲニア(近鉄)は復帰できるだろうか?この夏突然これまでと全く違った「ニューモデル軍」のワラビーズが現れる可能性すらある、

一方のガットランドは全く違うアプローチである。じっくり選手を育てじっくり組織をまとめるタイプだ。選手や関係者をうまくその気にさせ、知らないうちにまわりも巻き込んでしまう、いわば「たぬきおやじ」である。

歴上の人物で言えば、タレーラン、ビスマルク、徳川家康(異説あり)といったところだ。

2009年から2019年まで長きにわたりウェールズのヘッドコーチをしており、人材の少ないウェールズを長期にわたり上位に定着させた。ワールドカップでも3回指揮をし一度はベスト4にもなった。6ネイションでもグランドスラムを何度も達成している。そして最終的には世界ランク1位まで上り詰めた。その間ブリティッシュ&アイリッシュライオンズの監督も2013年から現在まで10年もやっている。2019年からは自ら身を引き故郷に戻り、息子がプレーするチーフスの監督を努めていた(その息子は来年度からコベルコスティーラーズへ移籍する)。

ウェールズ監督復帰は、そういった実績や信頼に頼らざるをえないウェールズ協会の人材難、財政難、スキャンダル勃発など苦しい状況も反映している。昨年12月にガットランド就任後もガットランドは目先の勝ち負けでなく、どのようにチームを立て直すのかをじっくり考えたチーム作りをしている、ベテランを呼び戻したり、若手を試したりと試行錯誤し、今年の6ネイションでもまだ実績は出ていない。長年チームに貢献したアランウィンジョーンズとティプリックというベテラン2人が同時に引退したウェールズをどう立て直していくのか。

この対照的な2人の名物監督に率いられた2チームはウォームアップマッチで8月5日に対戦する。両チームにとってはワールドカップはもう始まっている。腹のさぐりあい、だましあい、挑発、見せ球、布石、撒き餌、など、両ベテラン監督の采配の駆け引きが見ものである。

新監督といえば、フィジーも今年2月に元フィジー代表のライワヌイ監督が就任した。フィジーは8月5日に秩父宮でジャパンと対戦する。

(新名物ベテラン監督とししては、B組ルーマジアのアンディロビンソンも負けていない。イングランドのヘッドコーチ、スコットランドのヘッドコーチを歴任したツワモノである。ルーマニアは予選でロシアの出場停止を受けて予選繰り上げ、B組になった。もし、ジョージアに勝っていれば、この組になるところだった)

2,1位抜けか2位い抜けかそれが問題だ

このプールの1位と2位は日本のいるプールDの2位と1位と対戦する。日本が準々決勝に進出するとして、このグループ、ウェールズとオーストラリアどちらが日本と当たるのかが注目される。オーストラリアと日本が当たることになれば、ニースでのイングランド戦で実現できなかったエディさんとジャパンの対決がマルセイユで実現するのだ。もしくは、オーストラリアとエディさんの古巣だったイングランドが当たることになってもこれはこれで面白い。

その意味で9月24日のリヨンでのウェールズーオーストラリア戦が俄然注目されることになる。

この試合の日までには、すでにDグループではイングランドとアルゼンチンの対戦(9月8日)、イングランドと日本の対戦(9月17日)は終わっているので、日本の順位はほぼ確定していると思えるからだ。

3,2019大会プールDの再現?

2023年のこのプールCは2019日本大会のプールDとほとんど同じ顔あわせになった。違ったのは、ウルグアイのかわりにポルトガルが入ったことだけだ。南北アメリカ代表の予選でウルグアイがアメリカにやぶれ、そのアメリカがポルトガルにも破れたことでポルトガルの出場がきまった。もしもアメリカ戦にウルグアイが負けていれば、前代未聞の2大会連続同じ顔合わせになるところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけでまずは2019年の大会を振り返ってみる。

開幕の翌日、まず札幌でフィジーとオーストラリアが激突した。このゲームフィジーのコクなシーガらのフィジカルが爆発した。39−21でオーストラリアの勝利。前日は日本とロシアの開幕戦があったのだが、日本のにわかファンはこのゲームをど迫力を目撃して、「これがワールドカップというものだ」という衝撃の初体験だったはずだ。

次に豊田スタジアムでウェールズとジョージアが対戦した。ウェールズは6トライを奪い、43−14で勝利する。しかし、後半は14−14の同点であった。ジョージアの控えから登場のサンウルブスでおなじみのブレグバゼのシンビンが痛かった。

フィジーはもはや伝説となった釜石戦鵜住居復興スタジアムでのウルグアイ戦でまさかの敗戦をした。そのウルグアイの次戦は中3日での猛暑の熊谷となり、ジョージアに粉砕された。次にフィジーとジョージアの2カ国は雨の花園で対決して、こんどはフィジーがジョージアを粉砕する。この結果、ウルグアイとジョージアとフィジーは1勝3敗でならび、勝ち点差でフィジーが3位、ジョージアが4位、ウルグアイが最下位となった。

ジョージアが猛暑の熊谷でウルグアイに勝利した同じ日に東京の味スタでは、オーストラリアとウェールズが直接対戦した。トライ数ではオーストラリアが上まわったが、ダンビガーのキックによりウェールズが勝利している。これで、ウェールズが1位オーストラリアの2位抜けとなった。

それでは2023年の対戦順を見てみよう

まずは、大会2日目にサンドニでオーストラリアにジョージアが挑み、翌日9月10日にはウェールズにフィジーが挑む。そしては17日にはフィジーがオーストラリアに挑む。24日に前記したウェールズとオーストラリアの直接対決。30日にボルドーでジョージアとフィジーの対戦があって、最後10月7日にナントでウェールズとジョージアが当たることになる。

まず最初のオーストラリアジョージア戦がその後の展望のヒントになるだろう。
そして最後の10月7日ウェールズとジョージアの対戦までどこが抜けるのかは目が離せない。

4,ポルトガルにも注目を

ポルトガルも忘れてはいけない。実はポルトガルは6月20日現在世界ランク16位、17位のウルグアイよりも上位なのである。というとことは4年前以上の激戦となる。
最終予選でアメリカなどを破り優勝し、最後の切符を手にいれた。2007年以来2度めの出場になる。2007年はニュージーランド、スコットランド、イタリア、ルーマニアと同組で、全敗ながらルーマニアから勝ち点1を取っている。2022年には日本が招かれ初のテストマッチとなった。この試合日本はかなり手こずった。それよりもポルトガルのファンの熱狂ぶりが印象的であった。今回のWCでは特にトゥールーズで行われる2試合、23日のジョージア戦、10月8日のフィジー戦(全てのプール戦の最後のゲーム)には、スペインの大地を超え、さらにピレネー山脈を超えて多くのサポーターがスタジアムに来るはずである。初勝利にも期待がかかる。

どこか勝っても不思議ではない。下剋上も充分ありうる

 

 

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