6ネイション最終節、イタリアは木の匙(ウッドゥンスプーン)

木の匙(ウッドゥンスプーン)

ラグビーの6ネイションで全敗のチームもしくは最下位のチームには「ウッドゥンスプーン」という不名誉な賞が贈られるのが伝統です。実際には木のスプーンが贈られるわけではなく、比喩的に贈られる架空の賞です。

古くは1894年のウェールズ代表チームに贈られたという記録が残っています。今回のイタリアとウェールズのゲームでウェールズが勝ったので、今季は2年ぶりにイタリアになりました。

そもそもの始まりは18世紀のケンブリッジ大学の数学の最終試験に最下位で合格した者に贈られました。当時は成績はすべて発表される慣習だったということです。
該当者にはこんなに大きなスプーンが贈られました。

不名誉なことなのですが、考えてみれば不合格者も多くいるのですから、ただ単に不名誉ということではなくて、非常にラッキーだったということも出来ます。

しかし、さずがに不名誉の上書きのようなことで、集団いじめのようでもあります。今ではコンプライアンス上問題になるでしょう。最後にケンブリッジでウッドゥンスプーンが贈られたのは1909年のことだったということです。

その伝統が5ネイションから6ネイションになった今に残っているということになります。6ネイションで語られるので、他のスポーツでも最下位争いのゲームでは同じように語られるようになっています。

 

銀の匙(シルバースプーン)

ここからは蛇足ですが、木のスプーンはもともと「銀のスプーン」の反対語で出てきた言葉です。

英語でこんな言い回しがあります。

born with a silver spoon in mouth

実際に銀の匙を加えて生まれたのではなく、「裕福な家庭の子としてうまれた」という意味になります。

似たような言い回しは、クリーデンスクリアウォーターリバイバルの反戦歌でもある「フォーチュネイトサン」にも出てきます。

こんな歌詞です

Some folks are born silver spoon in hand
Lord, don't they help themselves, no

It ain't me, it ain't me
I ain't no fortunate one, no

一部のやつらは銀のスプーンを手に生まれてくるが
自分自身ををたすけない。
(裕福な家庭に生まれても、どうすることもできないのさ)

それは俺じゃない それは俺じゃない
おれはそんな上流階級の息子じゃない

「銀の匙」は、富や裕福さの象徴なのです。生まれた赤ん坊のお祝いに銀のスプーンを贈る習慣もここかから来ています。この時は「一生は食べることに困らないように」という願いを込めてプレゼントされます。

フランス料理のテーブルマナーを銀のナイフやフォーク・スプーンと一緒にフランスに持ち込んだのは、フィレンチェからアンリ2世に嫁いたカトリーヌドメディチです。彼女自身の結婚生活は悲惨で、フランス史上最悪の大惨劇「サンバルレルミの虐殺」の首謀者とも言われていますが、フランスが文化大国になったきっかけは彼女の成果です。

(カトリーヌドメディススの記事は下記参照)

https://rugma.sakura.ne.jp/01/2020/02/29/フランス史上の恐ろしき女史%E3%80%80第三回%E3%80%80カトリー/

https://rugma.sakura.ne.jp/01/2020/03/01/フランス史上の恐るべき女子%E3%80%80第三回%E3%80%80カトリー/

 

この言い回しの言い換えで出でくるのが「木のスプーン」になります
born with a Wooden spoon in mouth
こうなってしまうと、「不幸な家庭に生まれてくる」という意味になります。

最近の言葉で言えば「親ガチャ」ですね。
とても嫌な言葉です。「親ガチャ」に関する記事は別に書こうと思っています。

 

 

 

 

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