名曲紹介 ロジカルソング スーパートランプ

1,スーパートランプ

70年代から80年代のプログレッシプロックバンドでした。彼らの最大のヒット作が「グッドモーニングアメリカ」です。
このアルバムは、TOKYO2020の開会式で「翼をください」を歌ったスーザンボイルのようなウエイトレスが、自由の女神になっている衝撃的なイラストでした。

ところで、余談ですが、毎年24時間テレビで歌われる「Runner(=走る走るおれたーち)」のサンプラザ中野くんのバンド爆風スランプは、ヤマハのコンテストで爆風銃(バップガン)というグループと スーパースランプというバンドが合併して結成されました。スーパースランプはこのスーパートランプと、ドラゴンボールの鳥山明の出世作「ドクタースランプアラレちゃん」のもじりでしょう

この「ロジカルロング」は、難解な単語がたくさん出てくる曲でした。でもリズミカルで歌詞は韻を踏んでいます

2,歌詞と翻訳

1,
When I was young,
it seemed that life was so wonderful,
a miracle, oh it was beautiful, magical.
And all the birds in the trees, well they'd be singing so happily,
joyfully, playfully watching me.

1,
幼少時の世界
それは 素敵、奇跡、美的、魔術的
木々の鳥は囀(さえず)る
愉快、痛快、爽快、明快に

2,
But then they send me away to teach me how to be sensible,
logical, responsible, practical.
And they showed me a world where I could be so dependable,
clinical, intellectual, cynical.

2,
しかし、社会に放り出され、教え込まれた
深妙性、論証性、認証性、実用性を
世間で如何になすべきか
それは 心象、臨床、知能と冷笑 だと

コーラス
There are times when all the world's asleep,
the questions run too deep for such a simple man.
Won't you please, please tell me what we've learned
I know it sounds absurd
but please tell me who I am.

コーラス
世界が寝静まれば、問はより難解に                   世人(普通の人)の立場では                      稚拙なことだが、教えを請いたい,
私の獲得物は何?
私の実存とは何?

3,
Now watch what you say or they'll be calling you a radical,
liberal, fanatical, criminal.
Won't you sign up your name, we'd like to feel you're acceptable,
respectable,  presentable, a vegetable!

3,
君の言動は誤解を免れない
急進派、革新派、強信派、過激派 と

入信せよ、されば衆目は繕(つくろ)える
寛容、信用、体裁良う、中庸 へと




このあとLIVE盤ではエンディングに謎の言葉が入っています。

BBBB  BLOODY MANALES
と聞こえますがよくわかりません
BLOODY MAMMLS なら「血まみれの哺乳類」なので、人類のことをシニカルに、ペシミスティックに表現して締めているのかもしれません。


 

3,訳にあたって

訳にあたっては、難解な言葉が韻を踏むところが面白いので、無理やり似たようなそれっぽい言葉を選んでみました。結果的に形容詞や副詞を名詞にしてしまったりしています。

wonderful,a miracle, oh it was beautiful, magical.
素敵、奇跡、美的、魔術的
EKIで揃えました。

happily,、joyfully, playfully watching me.
愉快、痛快、までは良しとして
playfullyは遊び的なので、そのイメージから「爽快」
そして、見ているのは見られていることなので無理やりに「明快」として
これで KAIで揃いました。

dependable、clinical, intellectual, cynical.
dependableは「信頼できること」ですが、それば心象を良くすることなので「心象」、つまり信用される心象が大事だということ。
clinicalは「臨床」現場が大事だということですね。
intellectualは知的にですが、名詞にして「知脳」、
cynicalはそのまま「冷笑」。
これで3つはSHOU、4つはOUで揃いました。

sensible,logical, responsible, practical.
センシブルは「思慮深い」とかですので造語で「深妙性」として、
ロジカル(ここは原文は韻を踏んでいませんが)はそのまま「論理性」
responsibleは「責任をもって」ですが、責任の在り処を明らかにするので「認証性」
プラクティカルは実用的にということでそのまま「実用性」
これで3つはOUSEI、4つはSEIで揃いました。

radical,liberal, fanatical, criminal.
ラディカルは「急進派」
リベラルは「革新派」
ファナティカルは「強信派」
クリミナルは「犯罪的な」なにかなので、「過激派」として
最初の3つはSHINHA、4つはHAで揃えました。

acceptable,respectable,  presentable, a vegetable!
アクセスタブルは受け入れやすくということで「寛容」
レプセタブルは「信用」にしてしまいました。
プレゼンタブルは「見た目が良いこと」ですが、体裁をよくすすることなので、
かなり苦しいけれど「体裁良う」
ベジタブルは、野菜ですが、草食系で目立たない状態「=中庸」としました
これでYOUで揃いました。

4,世界ー内ー存在

この曲は、ハイデガーの匂いがします。
ハイデガーは人間のことを、他の物とは違った特別な存在として、「現存在(=ダーザイン」と呼びました。なにが特別かというと存在そのものを考えることができるのは人だけだからです。しかし、人は無防備に世の中に放り込まれた(「=被投性」な)存在(=「世界ー内ー存在」)であり、そこでまわりに気をつかいながら同調して埋没しまって何も考えなければ、「世人(ダスマン)」で終わってしまいます。そうではなくて、人は最後は死に行く運命に逆らえないので、自分自ら決意をして、自らを「投企」して、生きている間に「実存」の「本来性」をめさすべきとします。

このロジカルソングもそのような悩める人が主人公です。社会にでると、先輩など世の中の世人たちは楽な生き方(=処世術)を誘惑してきます。しかし「実存」に目覚めかけた主人公は、何度も「問」を自分に投げかけます。主人公は果たして、現代社会の中で「世人会?」へ入会のサインをしてしまったのでしょうか、心配です。

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