ラグビーと音楽 その2 サウンドとチームカラー

ラグビーのチームカラーは、音楽のサウンド、和音の響きの音色にも例えられる。

音楽の和音=コードには特有の響きがある。
メジャー和音(Cならドミソ、Fならソファラ)は基本でかっちりしている。
これらを組み合わせた曲の持つ雰囲気はかっちりした覚えやすいわかりやすい曲になる。童謡や讃美歌などに代表される曲はほとんどこの和音で成り立っている。わかりやすいし歌いやすいが、その案面、面白味がないとも言える。

ラグビーでいえば、基本のラグビー。真っ直ぐ走る、まっすぐ押す、良い姿勢でタックルする、基本のパス、基本のキックをする様なことである。
この様な基本に忠実なラグビーをすることは重要であり、全ての土台にあることは確かではある。あまり難しいことはせずに、実直なラグビー。この様な真面目に最後までやり通す。これは簡単な様で難しい。これをやり遂げるチームはかなり強い。ラグビーのチームカラーとしては、2世代前のアイルランドがそうであった(オドリスコルのチーム)。

近代ラグビーはそれだけでは勝てない。そこに何かのプラスアルファがないといけない。テンションが必要になる。
和音でのテンションの基本の3音にもう一つ二つ音を重ねることと同じである。それによって音の響きがなめたかになったり、ゴツゴツしたものになったり、フワフワしたものになったりする。

例えば和音では7番目の音(Cの和音=ドミソドならばシのフラット)を加えた場合、そこには何かしら切なさを感じる響きがある。気持ちはどこか晴れずに重荷を背負っている様にも聞こえてくる。しかし悲しみではない。何かを求めている様ですらある。これらの和音を組み合わせた曲の曲調は、ゴツゴツして、泥臭いものになってくる。寝米国南部の音楽であるブルース、それから派生したR&Bなどがそうである。専門用語で言えば「イナタイ」ものになる。

今年大学ラグビーで優勝した天理のラグビーの様なものである。決して完成形ではない、何かが足りなかったり出っ張っていたりする。粘り強い。チームカラーは派手ではない。スター選手はいない。洗練されてはいない。味のあるラグビーである。

次の和音はメージャーセブンとナインスである。
メージャーセブンはやはり7番目の音だが、フラットしない1音を加える(例えばC=ドミソドならばシの音)。こうなると途端に滑らかな音色になる、滑っていりる様な感覚。そして、ナインスとは9番目の音を加える和音である。これらを組み合わせると曲調は断然「おしゃれ」になり、都会的になってくる。この音を16ビートに乗せれば、80年代のシティポップの出来上がりである。

ラグビーでいえば、流れる様なライン攻撃、華麗な玉さばき。頭脳的なサインプレー、それを涼しい顔をして余裕でやってしまう。この様なチームカラーのチームもある。彼らは微塵の疲れも見せない。徐々に得点を重ね最後は大差で勝利をものにする。一見かっこいいラグビーだが実は脆い面もある。一歩つまづくとそこから崩れていってしまう。
ナインスやメージャーセブンを使った曲調が、軽く浮遊感が漂っているのと同じである。
最近の明治のラグビーがこんな感じになってしまっている様に感じて残念で仕方がない。年寄りの私には、昔の明治はゴツゴツしていてガムシャラだった様に思える。

 

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