フランスワインのお勉強 第十一回 ロワール川流域(その1)

ロワール川流域地域

ロワール川はフランス最大最長の大河です。全長は1000キロにも及びます。フランンスの南部の山中を水源として、まず北に流れ、途中で西に折れ、大西洋に注ぎます。
この流域は古くから歴史の舞台となりました。特に東から西に流る流域は美しく優雅なお城もたくさんあり「フランスの裏庭」と呼ばれます。シノン城、アンポワーズ城、シュノン城など、どれも美しいお城です。(参照)

この流域は同時にワインの産地でもあります。4つの地域ごとに、そのワインとお城、歴史などを、みていきたいと思います。まずは地中海の河口付近から「ペイナント地区」。続いて「アンジュー&ソミュール地区」、「トゥーレーヌ地区」、「サントルニヴェルネ地区(中央フランス地区)」となります。(参照)

1、ナント市周辺「ペイナンテ地区」

ナントは2023年のラグビーW杯の会場になっています

2007年のラグビーW杯の時は、日本と同じB組のフィジーがウェールズを破り決勝トーナメント進出を決めた試合がありました。ウェールズは決勝トーナメント進出を逃しました。
得点は、34−38。ウェールズが追い上げ僅差のゲームになりました。この試合は2007年のW杯の中でも一番ボールがよく動いて、ラグビーの面白さを伝える試合でした。

歴史上でナントといえば、何と言っても「ナントの勅令」です。(おきまりのダジャレです)アンリ4世の「ナントの勅令」です。宗教の自由を認める王の勅令をこのナントの地を選んで発令しました。カソリックとユグノーの対立からフランス国内を大混乱にさせたユグノー戦争を集結させました。

18世紀には三角貿易の拠点でした。多くの黒人奴隷が、この地からアメリカに売られていきました。悲しい歴史です。

 

スコットランドのジャコバイトやクロムウェルのピューリタンの移民先の中心がこのナントでした。英国との結びつきも深いと土地柄です。

フランス革命の終盤、この地に逃げ延びた反革命派の人たを、ジャコバンの命令で裸にして男女を縛り付け、船にのせ、晒し者にした挙句、ロワール川に沈めて処刑するという残虐な「共和国の結婚」が行われた場でもあります。

ワインでは「ペイナント地区」とされます。この地域では白ワインしか作られません。ここで有名なのは、「ミュスカデ(別名ブロンドブルゴーニュ)」と呼ばれる白ぶどうを使った白ワインです。マスカットのようなフレッシュで爽やかなワインです。ちょっと発泡性もあります。シュールリー方式という独自の製造手法を取り入れています。リーとは澱のことで、シュールリーはの澱の上の意味です。発酵を終えた酵母の死骸は旨味成分や栄養素を持った澱になります。この澱を除かずにワインを熟成させることで、味がまろやかに豊かになります。最低翌年の3月まで熟成をすることが法律で決まっています。

ナントでは美味しい牡蠣が取れます。生牡蠣との相性はシャブリだけではありません。W杯の時は、ナントでは是非ミュスカデを生牡蠣と共にいただきたいと思います。

 

2、アンジュ・ソミュール地区

 

アンジュはこの地区の中心地でありました。この流域の古城のうちに最も西にあるアンジュ城があります。

アンジュ城はルイ9世によって完成されました。川のほとりで何棟もの要塞のような円形の塔が取り囲んで、いかにも中世のお城といった風情です。

ロゼダンジュー
アンジューのロゼです。爽やかでほのかに甘いです。初夏に冷やして飲むべきです。手頃です。珍しいグロローという品種の黒ぶどうから作られます。

一方のソミュール城は川のほとりで丘の上に立つ、いかにも典型的なコンパクトな中世のお城といった佇まいです。

ワインのソミュールは、赤、白、ロゼがあります。
赤ロゼはカルベネブラン、白はシュナンブランです。

サブニエール
辛口白ワインで高級です。

コトーデュレイヨン

甘口です。ロワール川に流れ込む支流のレイヨン川周辺で取れる貴腐ぶどうから取れる貴腐ワインです。レイヨン川は蛇行しているので霧が発生しやすく、貴腐ぶどうが育ちます。
貴腐ワインはボルドーのソーテルヌが有名ですが、こちらにもあります。

 

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