フランスワインのお勉強 第九回 ボルドーその2 メドック地区

ボルドー の続きです

ドルトーニュ川からフランス中央部の粘土質の土砂が運ばれてきます。土壌は保湿性の高いものになります。ここでは早熟のメルローが育ちます。優しくまろやかな特質。対するガロンヌ川からはピレネー山脈の川砂利が多量に運ばれてきます。土壌は水はけの良い枯れた地になります。ここではカベルネソービニオンが育ちます。小ぶりですが、しっかりとした酸味と渋みとがあり、ガツンとした特徴です。またそのほかに甘口の貴腐ワインの生産にあうセミヨンにあった気候もあります。

それでは各地域ごとに見ていきたいと思います。今回は最重要なメドック地区です

 

ボルドーの街から下流に下り、ジロンド川の左岸に位置するボルドーでも最も重要な地域です、シャトーの格付けの最上位5大シャトーの内、4つまでがこのメドックにあります。さらにそのうちの3つまでが、ボイヤック村に集中しています。

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シャトー・ラフィット・ロートシールド

最も歴史が古く、現在も事実上最高峰と言えます。

ルイ15世の正妾ポンパドール夫人が宮廷のワインをブルゴーニュ産から全てボルドー産に変えた時に選んだのがこのラフィットです。(この時の話は面白いのですがまた別の機会にしましょう)

ロートシールトとは大富豪のロスチャイルド家のフランス語読みです。創始者は「ぶどう園の王子」セギュール子爵です。その後フランス革命後のゴタゴタがあり、19世紀中頃から現在のロスチャイルド家のものになっています。

アメリカ大統領ジェファーソンはパリ駐在中にラフィットにハマり、政策としてアメリカでラフィットを再現しようとしました。イギリスの首相ウォルポールは、このラフィットを樽買いし3ヶ月ごとに1樽(およそ300本分)を空けたと言われています。

シャトー・ラトゥール

大富豪のフランソワピノー氏の会社が保有しています。
現在はケリングという会社名ですが、グッチやイブサンローラン、スイスの高級時計などを傘下に持っている大企業です。一時はスポーツ部門にも手を出し、PUMAもその傘下にありました。ノートルダムの火災の際には1億ユーロを即寄付しています。
この資金力にものを言わせ、ラトゥーユは最新設備を使った大規模生産を実現、さらにはネゴシアンを切って独自の販売網も形成しています。

 

シャトー・マルゴー

「最も女性的なワイン」と言われます。

歴史は古く、12世紀エレノワがイングランドに初めて持ち込んだのがこのマルゴーだったと言われます。

ベルサイユ宮殿でデュバリー夫人がマルゴー派でラフィット派のポンパドール夫人と争いになったと言います。

また、あなたにとっての幸せは?との問いにアーネストヘミングウェイは「シャトーマルゴーの1848年」と答えたと言います。さらに孫娘ににも「マルゴー」の名前をつけたほどです。

このマルゴーだけはボヤック村でなくちょっと上流のマルゴー村です

jackmac34 / Pixabay

シャトー・ムートン・ロートシールト

こちらのロートシールトはロスチャイルドでもイングランド分家のロスチャイルド家の持ち物です。イングランドロスチャイルド家が買収したのが1853年で1855年の格付けでは、大方の予想を裏切り1級には選ばれませんでした。これはイングランドへの不当な嫌がらせではないかと国際問題になりました。

しかし当時オーナーは
「一級にはなれないが二級には甘んじれぬ、ムートンはムートンなり」
という言葉を残します。

その後もオーナーは何回かは変わりますが、ムートン方式と呼ばれる巨大なオークの熟成樽を用いる方法など伝統を守り日々研鑽につとめます。その結果120年も変わらなかった格付けに、1973年に念願かかって例外的に一級への昇格を成し得ました。

その時のオーナーの言葉も洒落ています
「われ一級になりぬ、かつて二級なりき、 されどムートンは昔も今も変わらず」

ムートンのエチケット(ラベル)にはアートが描かれていることも特徴です

 

 

 

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