高校ラグビー決勝 「選手権大会」でないことの意味

第99回全国高校ラグビー大会は、桐蔭学園の2回目、単独では初の優勝で幕を閉じた。
御所実業も桐蔭のミスから2トライを先制し、さらにしつこいディフェンスで追いすがるが、体格差はなんともし難く、連戦の疲れからか、後半になるとほんのすこしではあるがにディフェンスの圧力が失われ、そのちょっとしたすぎが、ラインプレイクやペナルティーになって、桐蔭のアタックを許す展開になった。
今年もまた見応えのある決勝戦となった。

高校ラグビーは30分ハーフで行われるので、一度流れをわたしてしまうと、自分達の時間が極端に少なくなってしまう。桐蔭も御所も大人のラグビーで最後まで素晴らしいファイトを見せてくれた。一人一人が経験に裏打ちされ、高校ラグビーの勝ち方を知っている試合巧者であった。

強豪校私学高には全国から選手が集まるのは当然であるが、御所のような公立高校にも県外から移住をしてそのラグビーを求めて入部してくる者もいる。県立高校ももっと門戸を開いてほしいと思う。留学生の受け入れもどんどんやってほしい。私学も選手の人としての成長を第一に考えてほしい。私学が学校経営の売名行為かとの空気が隠れするのは全くもって興ざめである。純粋な者にはすぐにその匂いは嗅ぎ分けられてしまう。そのような学校では長続きしない。

今年はFWにもBKにも才能溢れる逸材が見受けられることである。彼らは、そのプレーだけでなく、プレーに臨む純粋な姿勢も魅了的で、かつスター性も兼ね揃えている。今後の活躍が期待される。素直に育て上げた指導者にも感謝したい。

大学に進む者、留学する者、社会人になる者、トップリーグに入る者、様々な道が待っている。

来年度は区切りの100回の記念大会となる。
負ければ終わりの高校ラグビーの花園大会のあり方も、様々な意見があると思われる。すこしでも長く花園でラグビーをしてもらいたい。今年も100点差以上の差が出てしまったゲームが数試合あった。地域格差も問題である。もちろん安全面での配慮も必要である。敗退していくチームも選手も多くのことを掴んでグランドを去っていった。

ラグビーの大会では、大学選手権、日本選手権などあるが、高校ラグビーの全国大会の正式名称は、「全国高等学校ラグビーフットボール大会」である。「選手権大会」でなない事に重要な意味がある。優勝は決定をするが、それだけが目的ではないと言う思想である。いや思想だけでなく、まさにその通りなのだ。

ファイナリストになろうがなるまいが、ゲームに勝とうが負けようが、例え100点差で負けたにしても、この花園の地で多くを経験し、学び、成長した者が最高の勝利者である。それを今後の生き方(ラグビーだけではない、人生や生活)に活きないはずはない。

選手権大会という冠が大会名に付いていない事に意味があるのだ。

今日のような決勝戦はそれはそれで素晴らしいが、できれば、毎年年内に行われる1回戦2回戦を一度観戦して見てほしい。そこにこそ選手権でない高校ラグビーの魅力と真髄が詰まっている。

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