サッカー通のためのラグビー知ったかぶり講座 なぜ監督は背広姿なのか

KeithJJ / Pixabay

今回は監督コーチの服装や試合中の立位置から、スポーツの特性を理解したいと思います

野球、アメフトとサッカーラグビーの違い

 

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野球の監督やアメフトの監督はユニホーム姿で選手と同じベンチから細かい支持を出します。しかしサッカーやラグビーの監督は背広姿です。サッカーの監督はコーチボックスに立って大声と身振り手振りで指示している人が多いですが、ゲームの展開が早く、とてもそのピッチの選手には届いているとは思えません。ラグビーの場合は監督は観客席の上段に陣取ります。ラグビーの場合はピッチ内のキャプテンが全てのプレーの選択を任されています。

野球やアメフトなど、アメリカ発祥のスポーツは合理的で専門別、分業制になっています。野球ならピッチャーと野手、ビッチャーでも先発か中継ぎか抑えかなどです。2刀流の大谷翔平選手の様な選手は何年も出現しませんでした。アメフトはより細かい分業制で、キックチームはキックのだけの専門のチームという様になっており、また全ての選手のプレーの動きが細かくサインで決められてられていて選手はその通りに動きます。

人は頭で考え肉体を動かすのですが、専門性合理性を考えると、頭脳だけの選手、肉体だけを使う選手に別れたと考えられます。従って、野球やアメフトで、頭脳を使う特別な選手ということができます。従って、アメフトや野球の監督はゲームの勝敗を決める頭脳で戦っており、選手たちと同じ様な格好をして選手と同じベンチに入っているのです。従って、全ての指示は監督から伝えられます。(日大アメフト事件の実際もそうでした)

 

サッカーラグビーの指示 2つの事例

ひとつは先のサッカーW杯ロシア大会での予選最終戦での引き分け狙いの指示と伝達です。西野監督はその後の全責任を受ける覚悟で引き分け狙いを決断します。そして、全員が信頼できる長谷部選手に指示を携えピッチに送り込みました。香川選手からの伝達で全員の意思統一がなされて引き分けに持ち込めて、結果決勝トーナメント進出を果たしました。

もうひとつはラグビーW杯の南ア戦です。試合終了直前に3点ビハインドでエディー監督は引き分け狙いのキックを指示、しかし現場を任されているキャプテンのリーチは勝利を狙いにスクラムを選択、世紀の番狂わせという勝利でした。この時ピッチにいた15人は誰一人キックでの同点を狙う選択は頭の中になかったということで、やはり現場の意思の統一は完璧になされていました。

この時サッカーで違う考えで違った行動をした選手がいたらどうでしょう、また、ラグビーでキックを狙って、同点で終わっていたらどうでしょう。その場は済むかもしれませんが、その後チーム内に決定的な亀裂が生じてしまったのではないかと思います。

サッカーの場合は直前に監督交代という危機感から短時間でチームをまとめました。ラグビーではエディ監督は負け癖ということからのマインドセットを時間をかけてチームに浸透させtました

英国発祥のスポーツ

サッカーもラグビーも英国発祥のスポーツです。元は原始フットボールとされ、11世紀後の隣村通しのお祭りとして、日頃の鬱憤を晴らすための気晴らしで始まっものです。灰の火曜日に年に1回に行われました。デモンストレーションの意味合いもあった様で、当時の国王から何度も激しく禁止令が発行されました。それが18世になるとパブリックスクールなどで生徒たちの間で、やはり楽しみ気晴らしとして行われます。最初は全て生徒たちの運営に任されていました。しかしトラブルも多いので、先生も危ないことを監視監督する様になりました。これが監督の始まりです。サッカーやラグビーの監督は頭脳でもプレーに参加していなく、先生だから背広姿なのです。

今でもサッカーもラグビーも一度選手をピッチに出してしまうと、作戦タイムは取れません。次に指示できるのはハーフタイムだけです。サッカーはプレーも止まらないのでどれだけ共有のプレーをイメージできるかで決まります。大声をあげる監督がいても、ピッチの選手には伝わってはいないと思います。

英国(スコットランド)発祥のスポーツではゴルフがありますが監督や審判はいません。野球に似ている英国発祥のスポーツクリケットも試合は休憩を挟んで6時間にもわたりますが判断はキャプテンでプレー中には監督は指示を出しません。

英国のスポーツはもともと最初は民衆のものだったが、エスタブリシュメントの人のものになってその形作られました、だから、肉体よりも、知性や品格などが前提としてありました。一方米国発祥のスポーツは国の歴史が浅く、民衆の中で楽しみとして、また、どんな人でも参加でできるものとして、またエンターテイメントとしてわかりやすく、見ても楽しいことが最初から求められてきました。

サッカーラグビーの民主化

サッカーはいち早く民主化やプロ化を図って、世界的な広がりを見せました。ラグビーも今では一部の特権階級のものではなく、民主的になり、広く有能な選手をつかい、またプロ化も進み、興行的な面も重要視され、見ても面白い様に改善されています。

今でのラグビーでは最近は監督は観客席最上段にいることには変わりません。しかし、インカムをつけていて、やはりインカムをつけた、ウォーター係へ指示を出し、ウォーター係からピッチの選手へ指示をだす光景が一般的になってきました。ラグビーのウォーター係はコーチでなくチームの中の信頼できる控えの選手がやることが多くなってします。例えば最近ではパナソニックではキャプテンである布巻選手、神戸製鋼ではダンカーター選手がウォーター係をやっています。監督の指示をそのまま伝えるのではなく咀嚼して全員にわかる様に伝えていると思います。その意味ではサッカーでの香川選手投入と重なります。

上意下達成型の組織は一見合理的ですが、咄嗟の機転が利きません。ラグビーやサッカーでは自分の判断で動ける人、またその動きに合わせ全体も理解し的確なフォローに回ることを自ら決めて動ける人材も重要です。

ところで

ところで、日本では監督という言葉とコーチ、ヘッドコーチという言葉が曖昧に使われています。この記事も敢えて使い分けないで書いて見ました。なぜなら肩書きと実際の役割がちがっていからです。

またスポーツチームには、GMという肩書きも多いです。マネージャーでは女子マネもいますね。一方、現場監督や映画監督は監督です。この辺はどうなっているのでしょう。また他の機会に考えて見たいと思います。

 

参考

オフサイドはなぜ反則か 中村俊雄 三省堂選書
トムブラウンの学校生活 トムヒューズ 岩波書店
NHK  総合 「チコちゃんに叱られる」

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