準々決勝その1 ウェールズVSアルゼンチン「想定外の対戦カード 結果は残したウェールズ」

大会前このマルセイユの試合の組み合わせがどうなるかは非常に予想が難しかったし興味を引き寄せていた。C組では台風の目のフィジーの勢力や被害がどのくらいなのか、大会前低迷していたウェールズのプール戦通過は可能なのか、など話題で持ちきりだった。D組では低迷したイングランドがどうなるのか、や、ジャパンへの熱い期待などあった。オーストラリアとジャパンのエディさんを巡る再戦となるやも、との淡い期待もあった。

チケット購入の選択も難しい。オーストラリアサポーターは当然一位通過を見込んでやっと確保したチケットを握りしめ、この日を目当てに早くからフランスを訪れたことだろう(事実26日のシャルル・ド・ゴールのイミグレの列で見かけた前のオーストラリア人と見られる人たちはすでにかなり暗い表情であった)

結局この準々決勝の組み合わせは、10月7日と10月8日のナントで勝利したもの同士がブルゴーニュの地から地中海の港町マルセイユに会場を移しての対戦となった。ウェールズはジョージアを退け、混迷のC組の一位通過を確実にした。アルゼンチンはジャパンを接戦で退けD組2位通過をきめた。ナントでは両チームのサポーターは熱く非常に盛り上がり、気を吐いた。しかし、そこからマルセイユの直線距離は約1000km、直行便はすくない。一度パリに戻りそこからTGVや空便でマルセイユは向かうことになる。

このように、結局予想もしなかった、ウェールズとアルゼンチンの対戦となり、多くのチケットがリセールに出された結果になった。その結果なのか、残念だが観客席には空席も目立った。

しかし、よく見るとジャパンのジャージ姿やフランスのジャージ姿も目立っている。イングランドやジョージアのジャージ姿もいる。こうやって自国の応援だけに終わらないで、ともに集まりその場を楽しむことが、他のスポーツではあり得ないラグビーワールドカップの正しい楽しみ方の姿なのだと思う。

それに対し、肝心の試合内容といえば、最初のうちはとても残念なものだった。両チームともミスも多く、のりも良くない。ウェールズの赤のジャージは背番号が取れてしまい、バックスの番号はほとんど1番とプロップ化してしまうし、レフリーのヤコペーパーも足を負傷しカールディクソンさんに交代するハプニング。変な反則で流れがころころと変わってしまう。前半だけを見ると、正直言ってこのレベルなら日本がこの場にいれば確実に4強入りが可能だったのではないかと思えたほどだった。

しかし全終了間際から後半開始の数分間で様相はころっと変わってしまう。ボフェリにPGが立て続けに3本成功。12−10と一気に逆転だ。ウェールズも意地をみせ再逆転をはかる。緊迫感のただよう好ゲームとなった。最後はアルゼンチンが逆転し、さらにベテラン勢のクレービーがボールを奪い返し、サンチェスがインターセプトしてのダメ押しのトライで締めくくり、ウェールズを退けた。

大会前には最低の状態だったウェールズは大会期間中にチームがまとまり、期待以上の素晴らしい結果を残したと思う。歌のうまいウェールズサポーターたちも、「ランドオブマイ・ファーザー」や、「ヒームスアンドアリア」を何度もスタジアムに響かせることができた。

アルゼンチンは初戦のイングランド戦でいきなりフォードのカウンターの洗礼をくらい、すっかり脇役になってしまった感が拭えなかったが、徐々に力を出しつある。加えて予想外に反則がすくないのが幸いしている。次はいよいよパリに乗り込み、サンドニでのオールブラックス戦である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です