これで、ジャパンの現状の立ち位置は残酷にも白日のもとにさらされた。
もはや隠しようがない。
戦前の私の予想ではフィジーの実力は凄まじく、前半は最低3トライは奪われだろうというものだったが、本当にその通りになった。
きっちり21点を取られた。
サモアを粉砕したフィジーのスクラムでジャパンは圧倒されるだろうことも全く予想通りであった。
しかし期待のラピースにリーチと同様にレッドカードがでることまでは流石に予想できなかった。しかも、そのショックと蝋梅ぶりが札幌以上に大きく見えたのは、全くの予想外であった。その上反則やミスを繰り返すジャパンが無得点で終わるなど全く予想できなかった。PGでもいいので12点は取れるのでないかと予想したが、ラピースのレッドカードの影響ははかりしれない。札幌での経験が生きていないのか?一方的なゲーム内容なのになんの手も打てない首脳陣に限界を感じた。バックスをさげFWを8人にしてスクラムを安定させるなどの手はなかったのか?
戦前の予想では、「多湿高温の日本の環境にフィジーの士気に課題がある。」という情報もあり、このゲームは後半が勝負であるというのは確かであった。ジャパンも後半から1列目を入れ替え反撃ムードを出した。もう少し点差を詰めていればこのような場合の手とは想定内の選択肢である。しかし21点差で数的優位は大きすぎ、しかもときより涼しい風もある環境の中、フィジーの士気を維持するのには充分であった。少しはスクラムでの安定は見せたが、フィジーの勢いは止まらない。3本ものトライがTMOで覆るなど、どのチームでもやる気を無くしてしまうものだ。この日のフィジーにはそれでも動揺は見せずに攻めてくる。こんな真面目で几帳面なフィジーであるとは全くの予想外である。70分を過ぎてやっとジャパンが2トライを返すが、完全に勝負が決まったあとである。
サモアよりもフィジカルに長け破壊力があり、セブンスの金メダリストを揃えたフィジーには足も早く、すさまじい。個人の力に加えて、組織力も加わっている。スーパーラグビーでフィジアンドウラとして、クルセイダーズなどを破り、プレーオフにまで進出した力は本物だ。このメンバーにフィジカルもモンスターのランドランドラやヤト、ツイソバなどを加えたフィジーの実力は只者ではない。ワールドカッププールCでは低迷するいま時点のウェールズ、オーストラリアよりは確実に力は上であると言える。そしてイングランドよりも強力である。フィジーがウェールズオーストラリアを破ってプールCのトップ通過の可能性が高くなってきた。ワールドカップでのプールCの戦いぶりが待ち遠しい。
気は早いが、ジャパンが今後の1ヶ月でイタリア戦、チリ戦で奇跡的に飛躍的改善成長を見せたとして、運良く準々決勝進出が果たせたとしても、マルセイユの順々決勝の相手がフィジーとなる可能性が高くなってきた。相手がウェールズやオーストラリアではまだ対戦の楽しみがあったが、このフィジーとの再戦では手の打ちようが見つからない。
その前にジャパンの劇的な改善をどうするのかが問われる。この5試合を通じて、現状のジャパンの実力や立ち位置は残酷にも誰も目にも顕になった。もはや隠しようがない。フィジーには遥かに及ばず、サモアよりも格下で、トンガとはどんぐりの背比べというところだ。南アに迫るアルゼンチンは更に遠くにあり、低迷するイングランドも手が届くとは言い難い。
当初「エベレストを登るのに着実に一歩一歩歩む」などと首脳陣は話していたが、5試合を通じて、少しは進んだが最後には大きく後退しているようさえ見える。1戦目のABXVからの課題が全く修正できていない。ミスの多さ、得点力不足、大外のディフェンスの穴、地獄の浦安合宿で真っ先に取り組んで身につけたはずのレッドカードの危険の回避方法の実践、勝負の時間帯での失点、キックオフの対処などである。
あと1ヶ月しかない、エベレストを目指すのではなく、もはや他の山にすることも考えなくてはいけない。それでもエベレストを目指すというなら、ヘリコプターやエレベーターを使うなどまったく常識外の奇策が必要になる。
大手術をするか?大鉈を振るうのか?
それは、監督スタッフの更迭や、15日発表の33人の中に全く想定外の異質の存在を呼ぶとかである。
たとえば、ジェイミーももう意地をはらずに、山沢を呼ぶなどである。
直前にオーストラリアからエディさんをさらってくるなんてスキャンダルな手はどうだろう