名曲紹介 オフェリア ザ・バンド

オフェリアといえば、シェイクスピアの4代悲劇の中のハムレットのヒロインです。
作者のロビーロバートソンにはハムレットの意図があったかどうかはわかりませんが、たぶんなかったでしょう。しかし今回、思い悩む主人公はハムレットなのだという設定で無理やり解釈しなおしてみました。

 

Boards on the window, mail by the door
What would anybody leave so quickly for?
Ophelia
Where have you gone?

窓には板張り、ドアには置き手紙などと
別れというもの、さも、いまいましくも不意に訪れるものなりや
オフェリアよ
汝は今いづこぞ

The old neighborhood just ain't the same
Nobody knows just what became of
Ophelia
Tell me, what went wrong

隣人たちは皆 異口同音に
汝の身柄を知り得ぬという
オフェリアよ 教えてはくれまいか
何か良からぬことなのでは

Was it somethin' that somebody said?
Mama, I know we broke the rule
Was somebody up against the law?
Honey, you know I'd die for you

誰かに知恵をさずかったことではないのか?
たしかに、しきたりを軽んじはした
さもあれ、それは法をやぶったといえるのか?
死さえも厭わぬというのに


Ashes of laughter, the ghost is clear
Why do the best things always disappear
Like Ophelia?
Please darken my door

ああ、嘲笑は灰と散りゆき、父君の亡霊ぞいでる
よかれと思うものは、すべからく塵と消え失せる
さもオフェリアの如くに
ああ もう吾が心を閉ざさせてはくれまいか

They got your number, scared and runnin'
But I'm still waitin' for the second comin'
Ophelia
Come back home

やつらは汝のとりまきをたぶらかし、わめき逃げ回る
それでも、我は次なる仇討ちの機会を待ち続けている
オフェリアよ
どうか戻ってはくれまいか

by Robbie Robertson

 

「クリアに見える幽霊」とは、ハムレットにあだ討ちを命令する父の亡霊でしょう
「誰かに言われたことと」は、オフェリアが父のボローニャにそそのかされたことでしょう

ハムレットが「待ち続けている」のは、次の復讐の機会でしょうか

この歌は、オフェリアが父のボローニアにそそのかされて、ハムレットに別れを告げる芝居を打たされる場面で、ハムレットは有名な台詞「尼寺へいけ」を心ならずも言い放つという場面があってからのことを考えてみました。

ロバートソンの歌詞は現代的で軽くくだけているのですが、訳はあえてシェイクスピア風に重々しくしてみました。

オフェリアには「尼寺へいけ」というハムレットですが、心の中は張り裂けんばかりになっています。思い悩んで優柔不断で、強い衝動と理性の間で揺れ動いています。別れを告げても未練はのこるのです。

その未練を断ち切ろうとするハムレットですが、そのような策略でオフェリアをくるしめた、オフェリアの父のボローニアを殺害してしまいます。

ボローニアはルール違反をしてはいますが、法にはふれていません。そのボローニアを情動で法を破って殺害してしまったハムレットは、さらにさらに思い悩みます。

オフェリアはとうとう気がふれてしまい、行方知れずになります。
その後、ハムレットの母のガートルードの話として、オフェリアは変な歌を歌いながら折れた柳の枝とともに小川におちてしまい、そのことさえもわからずに、そのまま水死してしまったのがわかるのです。

その場面は前ラファエロ派の画家ミレイの有名な絵画になっています。

 

情動と理性の間で思い悩んでいたハムレットは、オフェリアの死によって、情動がうすれてきて、冷静さ冷酷さが強くなってきます。

こんなことを思うと
作者のロビー・ロバートソンの頭の片隅にも、優柔不断で思いと言動が一致しない不器用なハムレットのような主人公像があったようにも思えてきます。

 

コード進行

C E7 A7 D7
F G C  (C7DEm)

F C G C(C7DEm)
F C G Gaug

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