6ネイションズ総括

W杯イヤーとなる6ネイションズは、ウェールズのグランドスラムとなりました。

今回の6ネイションズはどのチームも万全でなく、結果的にそれぞれのチームが弱点を露呈したのが最大のポイントだったと思います。

特にどのチームも縦の線が万全出ないと、全く別のチームの如く力を発揮できずに終わってしまうという事実を何度も見せつけられました。縦の線とは2番8番9番10番15番です。その中でも特に大事なのが9番10番です。

アイルランド攻略法

当初の予想では、万全盤石ななアイルランドをどこがどう攻略するのかが見所だったのですが、初戦で見事にエディさんのイングランドがその攻略法1をお披露目。それはディフェンスで司令塔のセクストンへの圧力を終始かけまくるというものでした。いうは易しいがこれをその強度を落とさず80分間続けるとなると並のチームではできません。エディさんのリクエストで高額なサラリーで引き抜いたジョンミッチェルディフェンスコーチのもとイングランドはこれを確実に実行します。またこのディフェンス方はウェールズもアイルランド相手に実施し、セクストンをほぼ完璧に封じ込めました。

アイルランド攻略のその2としては、裏のスペースにキックを落としまくる戦法です。初戦のアイルランドはロブカーニーが怪我で出場できず代わりのヘンショーではキック処理が上手くいきませんでした。

ウェールズも頼みのハーフベニーは欠場したのですが、代わりのリーアムウイリアムスがその穴を埋めてあまりある活躍を見せます。

自ら仕掛けて自らそれが身にしみたイングランド

上記の様にアイルランドを攻略したイングランドでしたが、そのイングランドもウェールズがファレルへの圧力という形で同じように実行してイングランドは沈黙します。さらに最終のスコットランド戦でも後半になり、ファレルのリズムが狂い出すと全く違ったチームの如くミスが多く失点を重ねます。最後はやっと引き分けるという有様。

そういえば、11月のジャパン戦でも、ファレルがいない前半とファレルが出てきた後半では内容が違っていたことを思い出します。

イングランドは、ファレルがキャプテンで、スタンドオフでキッカーという仕事が集中しすぎるキーマンで、その出来如何でチームが変わっていましまいます

 

縦の線が揃わなかったスコットランド

スコットランドに至っては1、2戦はレイドロー、フィンラッセル、スチュワートホグの縦の線は揃っていたのですが3戦目のフランス戦では、フィンラッセル、ホグを欠き、さらにウェールズ戦からはレイドローが先発から抜けるとうことに。この3人の他にも12番ヒュージョーンズも3戦目から欠場している異常事態。一挙に並のチームになり下がってまいました。

縦の線が重要であり、一歩狂うと途端にチーム全体がおかしくなるという非常に怖い現実をまざまざと見せつけられました。優勝の決まった後の最終戦イングランド、スコットランド戦の後半はレイドローが出てきて、元に戻りまして、それを象徴しています。

どのチームも9番10番それに15番の2番手の選手の準備が急務であることを実感したと思います。

あっさりと若手に切り替えたフランス

フランスは独自の線でしたが、やはり初戦2戦目までで実力を発揮できなかったパラロペスのベテラントゥーロンのハーフ陣をあっさりと諦め、デュポン、ヌタマックの若手に切り替えます。フランスは23年自国のW杯も睨んでいて、若手に切り替えるのはある意味正解かと思わられます。若手が早くから経験を積むことでひょっとしたら今年のW杯で化けるか可能性さえ感じます。

イングランドはその勝負を惜しげもなく初戦でお披露目させ、最後は同じように自らのスタンドオフ、ファレルの不調の怖さという皮肉な結果となりました。

2番手の手当てと巡り合わせが良かったウェールズ

グランドスラムで優勝したウェールズも万全ではありません、確かにディフェンスはすばららしく早く、硬いという印象です。ただし不要な反則が多かったりします。また得点力がありません。ボーナスポイントを撮れません。

ウェールズはホームのカーディフのゲームで重要な試合がありものにしました。特に優勝のかかった最後のアイルランド戦を行えた巡り合わせは優位でした。また初戦でイングランドが見せたディフェンスなどは、イングランド相手の時や最後のアイルランド戦には非常に参考になったと思われます。

ウェールズだけが、スタンドオフでダンビガーとアンスコムをうまく使い分け、ハーフベニーの代わりのリーアムウイリアムスが大活躍します。

ウェールズは今回たまたまうまくいったということに過ぎないのではないかと感じます。

 

ワールドカップへの展望は

ワールドカップへの予測は現段階では全く分からなくなりました。アイルランド優勢とはもはや誰もいえません。混戦になるのではないかという方向になりました。ほぼ横一線、何が起こってもおかしくない様な状況です。

これから半年を切りましたが、これからは縦の線の2番手3番手をいかに準備しておくかが重要になってくるものと思われます。優勝予想が行えるのははそれを見極めてからでしょう。

この点、タレントの多いイングランドは優位でしょう。ファレルに集中する役割を分散させることができれば良いのでしょう。ただし、これまで何度も試してはきましたが、ジョージフォードが代わりをやれるのでしょうか?

我がジャパンとすれば、アイルランドはセクストン、スコットランドはレイドロー、フィンラッセル、ホグなどが今回の様に完璧でない状態であれば、勝機も出てくるということを言わざるを得ません。人の不幸や怪我を待つなんて、人としてラグビー関係者としてあるまじき行為ですが、それが事実だと思います。また代わりの選手、特に若手の成長、経験がどれだけ積み上がるかもキーとなりましょう。

他のチーム、例えばオールブラックスも正スタンドのボーデンバレットの次の2番手は誰なのか、モウンガも調子悪いし、マッケンジーでもチーフスではスタンドでは全く機能しなく不安が残ります。

オーストラリアも今の所、バーナードフォーリーが不調です。ゲニアとのコンビで気を吐くクレイドクーパーが正の位置を取り戻すかもしれません。そうなれば層が厚くなります。

同じ様にJAPANもそうです。田村が怪我をしたらどうなるのか?松田力也で良いのか?急遽サンウルブス へ招集した山沢の実戦経験は間に合うのか?こちらも不安が残ります。

フランスはもう心を決めて若手でいくとしたでしょう。逃げ道がなくなりますが、それもある意味正解です。

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