今回は、Que Sera, Seraがメインです。
スライのオリジナルとは違って、50年代のヒット曲のリメイクです。
元はヒッチコックの映画「知り過ぎていた男」でドリスデイが歌い、アカデミー賞をとった曲です。映画でも最初の方とクライマックス近くで2度登場してきます。日本でもペギー葉山なんかが歌っていて、誰も一度は聞いたことがあると思います。ケセラセラ とはジャパニーズ英語ならぬイングリッシュスペイン語で、スペイン語にはこの言葉は無いそうです。意味は「Whatever Will Be, Will Be=なるようになる」です。非常に明るく前向きで楽天的な歌詞の内容です。
こちらでお聞きください
ドリスデイバージョン When I was just a little girl I asked my mother, what will I be Will I be pretty, will I be rich? Here's what she said to me: ほんの小さな頃 ママに聞いたの 可愛くなれる?お金持ちになれる? ママは言ったわ Que Sera, Sera Whatever will be, will be The future's not ours to see Que Sera, Sera What will be, will be ケセラセラ なるようになるわよ 未来は誰もわからない ケセラセラ [Verse 2] When I was young, I fell in love I asked my sweetheart what lies ahead Will we have rainbows, day after day Here's what my sweetheart said: 若かった頃恋に落ちたわ 恋人に聞いたの もっともっと幸せになれるかしら すると恋人は言ったわ Que Sera, Sera Whatever will be, will be The future's not ours to see Que Sera, Sera What will be, will be ケセラセラ なるようになるさ 未来は誰もわからない ケセラセラ Now I have children of my own They ask their mother, what will I be Will I be handsome, will I be rich I tell them tenderly そして、今は坊やを持ったわ 子供達は私に尋ねるの カッコよくなねる?お金持ちになれる? 私は優しく答えたは Que Sera, Sera Whatever will be, will be The future's not ours to see Que Sera, Sera What will be, will be ケセラセラ なるようになるわよ 未来は誰もわからない ケセラセラ 実は本来の2番があって、学校に言って先生に尋ね、先生もケセラセラと答えるという設定がありますが、大抵省かれてしまっています。
またこの曲はジブリ映画 「となりの山田君」のエンディングテーマでした。矢野顕子がメインボーカルで、日本語で歌われます。ノーテンキな歌声です。・
またまたこの曲はこのアレンジのまま、サッカーのイングランドの応援歌となっています。一部がサッカーの聖地ウェンブリーに言い換えて歌われます。
Que sera sera, Whatever will be will be, We're going to Wembley, Que sera sera
動画はマンチェスターの応援団です
こんなハッピーな曲ですがスライは、アルバム「フレッシュ」の中で、スローなブルースに仕立てて作り替えました。それなりに聞いてもコード進行やベースラインなどかっこいいです。しかし、全く同じ曲でも正反対で、暗く、重く悲壮感に逢れてしまっています。まず聴き比べてください。
こちらがスライのバージョンです
なぜこうなったかはその前のヒット曲ファミリーアフェアと続けて聴くと理解できます。
Family affair It's a family affair, it's a family affair It's a family affair, it's a family affair それは家族の問題、それは家族の問題 それは家族の問題、それは家族の問題 One child grows up to be Somebody that just loves to learn And another child grows up to be Somebody you'd just love to burn Mom loves the both of them You see it's in the blood Both kids are good to Mom 'Blood's thicker than mud' ある子は勤勉で(真面目に)育っていく またある子は荒れて(ひねくれて)育っていく 母さんはどちらも大切さ 血を分けた子供達だから どちらの子も母さんにとってはいい子なんだ 血は泥水よりも濃いから It's a family affair, it's a family affair それは家族の問題、それは家族の問題 Newlywed a year ago But you're still checking each other out Nobody wants to blow Nobody wants to be left out You can't leave, 'cause your heart is there But you can't stay, 'cause you been somewhere else! You can't cry, 'cause you'll look broke down But you're cryin' anyway 'cause you're all broke down! 1年前は新婚だったのに お互いにまだツノを付き合わせている 誰も責めらたれたく無いし、無視されたく無い 出ていくこともできない、まだ未練があるから でももうここにはいられない、もともと他人だし 泣くこともできない、惨めだから でも最後は泣きを見る、お互い惨めになって It's a family affair It's a family affair それは家族の問題 それは家族の問題
('Blood's thicker than mud' 普通の使い方がBlood's thicker than water 血は水よりも濃い=他人より身内 をもじっていると思われます)
貧困、差別、格差、様々な問題が渦巻く社会の中で、真っ当な生き方がで出ない人たちが出てくるのは、結局は家庭環境の問題だと。夫婦の不仲などから家庭内暴力、虐待など、荒れた生活になっていく。 けれども母親の子供への愛は純粋で変わらない。それでも母の愛だけではどうしようもならない。こんなことが歌われます。
その後で、スライのスローなケセラセラを聴くと同じ歌詞が、こんな風に聞こえます
When I was just a little girl I asked my mother, what will I be Will I be pretty, will I be rich? Here's what she said to me: Que Sera, Sera Whatever will be, will be The future's not ours to see Que Sera, Sera What will be, will be ケセラセラ なるようになるしか無いわね 未来は誰もわからないから ケセラセラ (そんなのなれるわけない、この子が不憫だわ) When I was young, I fell in love I asked my sweetheart what lies ahead Will we have rainbows, day after day Here's what my sweetheart said: 若かった頃恋に落ちたわ 恋人に聞いたの もっともっと幸せになれるかしら すると恋人は言ったわ Que Sera, Sera Whatever will be, will be The future's not ours to see Que Sera, Sera What will be, will be ケセラセラ なるようにしかならないさ 未来をわかるやつなんているもんか ケセラセラ (そんなの無理でしょう、かわいそうに) Now I have children of my own They ask their mother, what will I be Will I be handsome, will I be rich I tell them tenderly そして今や、私は自分の子供を持った 子供達は私に尋ねるんだ カッコよくなねるかな?お金持ちになれるかな? だから、私は優しく答えた Que Sera, Sera Whatever will be, will be The future's not ours to see Que Sera, Sera What will be, will be ケセラセラ なるようになるでしょう 未来は誰もわからない ケセラセラ (この子も不憫だ)
なぜ金持ちになれるかと聞いてくるかというと、今が貧困だからでしょう。それに対して母は優しく愛を持って語って、夢を見させてあげます。内心はいろいろ問題を抱えているので、複雑でしょう。スライの歌声には希望が全く感じられません。ギターソロもふにゃぬにゃで全く気が抜けてしまっています。力づよさが感じられません。行き場がありません絶望感だけがあります。考えさせられることがたくさんあります。
最後にコード進行とベースラインをおさらいしておきましょう。
ドリスデイのバージョンはKEYはAで3コードでシンプルです。
スライのバージョンはリズムがブルースのハチロクになっていて、和音はセブンスが多用され、複雑です。KEYはEで E、B C# B F#7 B E7 B7 E7
ベースラインが ミ レ# ド# シ ときます
コーラスは A7が四回 でE7になってB7A7 E7
B7からA7になる際にB♭が入ったりします。
ギターソロの部分コードはE7でベースはEの連打というシンプルなものです。