9月9日(土)D イングランド アルゼンチン マルセイユ レビュー

1,日程、場所 

9月8日(土)D イングランド アルゼンチン マルセイユ

2,事前予測

イングランドはファレル問題だけでなく、レッドカードにけが人続出というドタバタのままついにWCに突入してしまった。アルゼンチンは対照的にチャンピオンシップのあとは、調整のスペイン戦を行っただけで、ほぼ無傷のまま大会に望むことになった(ベテランのチャパロは怪我で離脱)。この調整マネージメントの差は歴然。今回のマルセイユではアルゼンチン有利だというのが大方の見立てである。
私はキーを握るのはレフリーではないかと思う。なにかとお騒がせなフランス人のマシュレイナル氏が笛をふく。両チームともフラストレーションがたまり、またもやカードがたくさん出る荒れるゲームになるのではないかと予想する。イトジェとカード常習犯ラバニーニのバトルがあるかもしれない。そのきっかけをつくるのがマーカススミスであるようなイメージがどうても浮かんでしまう。

この2チーム、「フォークランド紛争の再燃だ」などというのはもはや当たらない。両チームはこれまで何度も対戦している。フォークランド紛争同様、アルゼンチンはイングランドに部は悪かった。WCでは1995年、2011年に続き、2019年にも味スタで激突し、そのときはラバニーニにレッドが出て39対10でイングランドが圧勝、その前にフランスにも最後のDGで負けたアルゼンチンはこのゲームでノックアウトステージへの進出がほぼ消えた。イングランドはこれを期に、台風でフランスとの戦いをせずに決勝戦まで勝ち上がった。
しかし、直近の2022年の夏にトゥッケナムで対戦し、29−30でアルゼンチンが勝利している。

 

3.プレビュー(メンバー発表後)

イングランド
Eゲンジ、Jジョージ、Dコール、Mイトジェ、OH チェサム、Cロウズ、Tカリー、Bのアール
Aミッチェル、Gフォード、Eデイリー、Mツイランギ、Jマーチャン、Jメイ、FWスチワート
Tダン、Jマーラー、Wスチワート、Gマーティン、Lラドラム、Dケア、マーカススミス、Oオーエンス

イングランドはSHにミッチェルを使ってきたのが注目である。SOはファレル復帰まではフォードでいくのだろう、マーカススミスは控えからの登場となる。ブリボラの穴は前回のフィジー戦同様Bアールが務める。Tカリーが久々に復帰は大きい。Aワトソンの穴はEデリーとJメイが務める。

アルゼンチン
Tガジョ、Jモントーヤ、FWゴメスコデラ、Mアレマノ、Pマテーラ、Mクレメル、Jゴンザレス
ベトラドウ、Sカレーラス、Sチョコバース、Lシンティ、Fボフェリ、Jクリスマリア
Aクレービー、Jスクラビ、Eベロ、Gペッティ、Pルビオロ、Rプルーニ、Lバッサン、Mモローニ

アルゼンチンは南アの様に控えをFW6名とし、BK控えはSHバサンとモローニの2人だけという布陣で、FW戦を挑んできた。

 

4,結果

 

イングランド
前半
T G PG DG 得点
0 0 1 3 12

後半
T G PG DG 得点0
0 0 5 0 15

得点 BP 勝点 累計勝点
27 0 4   4

アルゼンチン
前半
T G PG DG 得点 後半 T G PG DG 得点
0 0 1 0 3  1 1 0 0  7

得点 BP 勝点 累計勝点
10 0 0  0

5,レビュー

お騒がせのマシューレイナルのゲーム。彼が悪いわけでな無いのだが、この人の行くところトラブルが巻き起こる。プレビューでは荒れた試合を予測したが、最初はたしかにその通りになった。しかしその後、まったく予想外のことが繰り広げられた。これは今後のラグビーの歴史を変えるエポックなゲームとなるだろう。

前半早々で久々登場のトムカリーがキックコンテストのヘッドコンタクトで黄色のカードガ出され、バンカーシステムにかかる。ヘッドバッドを受けたクリスマリアは血だらけだ。直後にこんどはキックチャージでいわゆる「けつバッド」をしてしまったSカレーラスにもバンカーシステムが採用される。14人対14人。版あーシステムの結果はロムカリーはレッド、カレーラスはイエローのままで10分後にピッチに戻れた。イングランドは残り70分も14人で戦うことになった。イングランドにまたしてもカードの因縁がついて回る。イングランドに限らず久々登場の注目選手にレッドが出る傾向にある。

窮地に陥ったイングランドは攻め手がない。イングランドは徹底してキックを上げる。ハイボールのコンテトのたびに再び、三度と惨劇が起こるのでは無いかと恐怖が脳裏をかすめる。

ところがここからがまたもや何年後もは価値継がれるであろう歴史的プレイが広がる。トライをとれる気配が微塵もないイングランドは完全に開きなってキックとディフェンスに徹底する。そしてそれが結集したのがジョージフォードのドロップゴールだ。冷静沈着という言葉を超えている。14人となったチームとしては理にかなった選択。ジョージフォードのその半開きの目は座っていて常にドロップゴールを狙い続ける。結局3回連続成功。神か悪魔か狐かもののけか、これはもはやツキモノがついている。12−3で前半終了。たった一人の神がかった人物により完全にイングランドペースになった

後半になっても構図は変わらない。イングランドにはトライを取ろうという意志が全く見当たらない。常にドロップゴールを狙う位置にフォードがいる、ツイランギの入ったスクラムも安定。そしてキックとディフェンスだけで、相手のミスや反則を誘う。PGをもらえば、なにかに取り憑かれたような半開きの目が座ったフォードが徹底して迷わずゴールを狙う。気がつけばすでにイングランドには27点も入っている

アルゼンチンは79分にやっとトライをあげたが、そのトライはそれまでの溜飲をさげる価値をもたらすまでも行かなかった。

トライを狙うだけがラグビーでなないということだ。

フォードはゲーム後マンオブザマッチとなりプレゼンターの純真な子供の顔を見たときに、突然、彼に着いていたツキモノが去って笑顔がでた。それはフォードが人間界に戻ってきた瞬間だった。

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