シャンパーニュ概要
今や、シャンパンはスパークリングワインの代名詞になっています。シャンパンと呼べるのは世界中でこのシャンパーニュ地方で生産され、様々な条件を見なさねば認められません。(シャンペン、シャンパン、シャンパーニュと呼び名はありますが、昭和世代がシャンペン、平成はシャンパン、今後はシャンパーニュと呼ぶのがよろしいかと思います。この記事では気分で使い分けています。)
シャンパーニュ地方はパリの北東130km、TGVでは30分、中心都市はランスです。ランスはかつて歴代の王の戴冠式が行われました。ここの大聖堂です。シャルル王太子もジャンヌダルクによって戴冠式が行われました。
また、マース、モーゼル、セーヌの河川に近く中世から交通の要所で、ワインを中心にフランドルの毛織物や、イタリアの絹、東方の香辛料などの大市が開かれました。
フランスではボルドー、ブルゴーニュと並び3ワインの大産地の一つとされます。しかし、シャンパーニュのブドウ畑は3万ヘクタール、ボルドーの4分の1の大きさです。
シャンパーニュの特徴
シャンパーニュのAOCは簡単です。ほとんど地方名AOCしかありません(その他に2つだけ)。しかもラベルには、AOCと書かれていません。AOCと書かずにシャンバーニュと表記するだけでAOCの表記に認められます。
シャンパーニュの土壌は石灰質です。ローマ時代にはここから多くの石灰岩が切り出され、ローマの建造物に使われました。シャンパーニュの地下にはこの石灰岩の採掘穴が四方八方に広がっており、この穴でワインが貯蔵されます。
ブドウは3種類しかつってはいけません。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノムリエです。黒ぶどうもありますが、皮を完全に取り除くので、ワインは白になります。
ここで重要なのはシャンパーニュのブドウは手積みしか認められていないことです。
それを最終的的にはブレンドして作っています。ブレンドすることをフランスではアッサンブラージュと言いますが、シャンパーニュでは3種だけでなく、他の畑で作られたワインも混ぜて良いです。さらになんとビンテージの違ったワインを混ぜることもOKです。ブルゴーニュが畑にこだわり、純粋性を守り抜くのとは全く逆のワイン製造文化と言えると思います。
製造工程は第七回も参照ください。
ここではそこに書ききれなかったことを追加します。
一つはシャンパーニュの一番搾りの樽の大きさが決まっているということです。
4,000kgのブドウから、最初キュベ(=一番搾り)といって、10樽分(=2,050L)絞ります。なぜ2,050Lという半端なのかというと昔に使っていた樽の大きさに起因しているということです。この大きさも法律で決まっています。次に今度は二番絞りで500L分を絞ります。これを プルミエール・タイユと言います。プルミエールは一番という意味ですが2番絞りのことです。
シャンパーニュにはぶどう栽培農家が1万6千、製造御者が320社もあります。自社で栽培したぶどうを使った製造をRM(レコルタンマニュプラン)、協同組合で仕入れたぶどうを使った製造をNM(ネゴシアンマニュプラン)といい、これもラベルに表記が必要です。NMは大企業が多いです。
ドンペリについて
シャンパーニュはAOCによる等級がないので、製造業者が勝手に上級ブランドを作って売り出しています。
例えば、夜の世界での高級シャンペンの代名詞、ドンペリは今ではF1などのスポンサーも務めるフランスの大企業モエエシャンドン社がブランドとして作り上げました。クイーンの名曲、「キラークイーン」の冒頭にも出てきます。
She keeps a Moët et Chandon
In her pretty cabinet
彼女は素敵なキャビネットに
高級シャンパンをいつでも入れておくのさ
動画はこちらを参照ください
ドンペリの命名は、シャンパンの生みの親と言われる17世紀のベネディクトの修道士、ピエールペリニョンです。
彼は、うっかりミスで、ワインを貯蔵庫に入れ忘れて外に放置したまま死してしまいました、数ヶ月経って飲んでみると、瓶内で二次発酵が起こり発泡もあり爽やかな味でした、これがシャンパンのはじまりとされます。
その後、この畑を18世紀中にモエエシャンドン社が買い取ります。通常のシャンパンはアンペリアルとして販売していましたが、高級路線で別ブランドとしてドンペリニヨンを立ちあげます。商標権を得たのは1930年のことでした。
そのモエエシャンドン社は、ブランディのヘネシーやルイビトンとも合併し、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンという高級ブランドのコングロマリットの一角になっています。
さらに日本では、酒類の世界最大の巨大組織ディアジオとの合弁で、モエヘネシールイヴィトンディアジオ社(なが!)の取り扱いになっています。