オールブラックスが来日、しかし、
オールブラックスが来日、ただし日本戦には主力の大部分は出場しないことが発表されました。日本ファンとしては複雑で残念。高いチケットを手に入れた人は「一枚食わされた」思っているかもしれません。
現在32名の正規スコッドに加え日本戦に出る19名のワイダースコッドというなんと51名が来日します。ブレディスローカップ終了後で主力22名がイングランドへすぐ移動、残り29名で日本戦を戦うということです。
マオリオールブラックスへはワイダースコッドから5名だけがブラジルから合流する予定。つまりマオリオールブラックスのシカゴのアメリカ戦には、ミルナースカッターやマットプロクターは参加しません
ニュージーランドの国民性
ラグビー界では、圧倒的に強いニュージーランドオールブラックス。しかし、ニュージーランドの国民性は、常に自信に溢れているわけではなく、素朴で純粋で心配性。オールブラックスが負けでもしたら「国全体がお通夜の様になってしまう」ほど。ワールドカップでも1987年に優勝した後、実に2011年の自国開催まで24年も優勝できなかった。フランスなどにいつもいいところで足元を救われてしまっていた。2011年もダンカーターはじめSOの相次ぐ怪我で、最後フランスにやっと勝てて優勝、2015年の連覇をかけた、決勝もオーストラリアに苦戦している。
だからこそ、ニュージーランドは様々なことを想定して準備を入念にする。ダンカーターはゲーム前の1週間の準備を完璧にする。どうしたら次のゲームで自らの最高を出せるのか。今はチームメイトの日和佐選手曰く、「とても参考になる、どうしてそこまでするのか聞いて見たい」とのいうほどです。
不安の残る現状とその中での欧州遠征
オールブラックスは南半球の王座決定戦、チャンピオンシップで優勝しましたが不安の残る内容です
最初はオーストラリアにいつもの通り、圧勝で2連勝をした後、3戦目のアルゼンチン戦でふわついた所も見え始めます。この試合、ペネレア、モウンガのハーフ団がセンパツで、キャップ一桁台の選手が多く控えには1人ノンキャップという編成でした、キックオフからキックミスやパスミスが多く、相手に主導権を奪われ、なかなか調子があがリません。その後、自国で南アに敗戦、最後のゲームでも南アに70分間リードを許す展開。これは非常に不安に思える内容です。
27日の部レディースローカップは戦い慣れたワラビーズが相手で展開をある程度予想できます。ただし、結果勝てたとしても、チャンピオンシップでの第1戦、第2戦の様に圧倒して勝てないと、不安はさらにより大きくなります。オーストラリアに復活の兆しが見える今、その可能性は十分考えられます。
10日のイングランドのゲームはなんとしても勝たなければなりません、イングランド戦は圧倒できなくても、勝てば自信は深まります。そのための準備は入念に行わねはなりませねん。
ところが間に日本戦が入っています。
日本を警戒しての人選
日本はイングランドと違って、オーストラリア以上に圧倒的な力の差を見せて勝たなければならない相手です。そうしないとイングランド戦は一層不安になってしまいます。ところが、日本の強化の情報も続々と入ってきています。主力をそのまま日本戦に出して、もしも少しでも不安の残るゲーム展開をしてしまい、そのまま長距離を移動しイングランド戦を迎えても大丈夫という、そこまでの自信が今のオールブラックスには無いのだと思割れます。
また同時期に米国、南米を遠征するマオリオールブラックスと重なります。マオリオールブラックスの選手から多くを日本に呼ぶことは叶いません。
一方、若手の選手の選択にも不安があります。本当に今のチョイスで良いのかどうか見極めておかねばなりません。もう時間がありません。一度でもオールブラックスを経験させることの最後のチャンスであリます、
そこで苦渋の選択で、不安の残る日本戦は若手で、たとえ圧倒はできんなくても、傷が残らない様なゲームをし、また選手選択の場を作れる道を選んだのだと思われます。
オールブラックスはとても謙虚で対戦相手に敬意を払い尊重します。特に今日本のファンは大切に思っています。(ダンカーターに続き、なんとボーデンバリットも日本でのプレーを希望している様です)ですから、数名のスター選手は日本戦に残すはずです。日本で人気のあるソニービルやアーロンスミスなどさらにはダミアンマッケンジー、いずれかは日本戦に出るのではと予測します。ルークロマノ、ミルナースカッター、マットプロクターはワイダースコッドのメンバーなので、日本戦もオールブラックスとして驚異なメンバーであることは間違いありません。
まとめ
今回日本との対戦に主力が出ないのは残念だが、それは日本を見下したり、甘く見ているのではないと思います。日本戦に主力を多く出すことができない状況、それはそれだけオールブラックス内に危機感があり、逆に日本の戦力のこともとても警戒していることの現れであると見ます。見かけは強いオールブラックスですが、本当のところは非常に繊細である面もあるということです。