CCRは1969年になんと3枚のアルバムをだすのだが、これがその1枚目。録音は1968年録音暮れだった。同時に発売になった、プラウド・メアリーの大ヒット(全米2位)もありこのアルバムも売れに売れた。前作のデビュー・アルバムの南部デルタ地帯の雰囲気が踏襲され、一層色濃く出ているアルバムだ。複数の曲で同じような言い回しがでてくるなど何曲は強く関連づいている。しかし、7曲しかはいっていない。全曲聴いても30分そこそこの長さしかない。当時の音楽雑誌ミュージックライフの投稿欄では、CCRはケチ度をツエッペリンのジミーペイジと争っていた。
1. “Born on the Bayou” 5:16
2. “Bootleg” 3:03
3. “Graveyard Train” 8:37
Side two
1. “Good Golly, Miss Molly” 2:44
2. “Penthouse Pauper” 3:39
3. “Proud Mary” 3:09
4. “Keep On Chooglin'” 7:43
目次
1. “Born on the Bayou” 5:16
一曲目は、CCRの典型的な南部志向ソングの代表作だ。バイヨーとは本来はゆっくる流れる川の意味だが、ニューオリンズを中心とするデルタ地帯全体を意味する。「バイヨーに生まれて」。これは彼らにとって、自己紹介ソングのような意味合いである。その後のステージでも毎回オープニング曲として採用されている。彼らが本当に南部出身であるのではないかという噂がたったぐらいである。Bayou、hoodoo、Cajun、など南部を思わせる単語が散りばめられている。
Now, when I was just a little boy Standin' to my daddy's knee My papa said, "Son, don't let the man get you An' do what he done to me" Because he'll get you Because he'll get you now-now ちっちゃかった頃 親父の膝の上に乗っかってた頃さ 親父は言った 「あの奴には捕まるな、俺にしたことなど、させるんじゃないぞ」 やつは捕まえる、やつは捕まえに来る
主人公は、年少のころに南部(バイヨーカントリー)で生まれ育ったが、親父も結構なお尋ね者だったらしく、敵も多かったのであろう。そのトラブルをさけて、今は都会に逃げ帰っているのがわかる。
An' I can remember the fourth o' July Runnin' through the backwood bare An' I can still hear my ol' hound dog barkin' Chasin' down a hoodoo there Chasin' down a hoodoo there 7月4日を思い出す 奥の荒野(あれの)を超えてくる 猛犬が吠えるのが聞こえる フードゥーを追っかけて
7月4日は独立記念日である。この日は休日で、アメリカ人なら特別に家族が集まり、バーベキューをして花火を打ち上げて、独立や自由を祝う日だ。しかし、この家族にとって7月4日はちがったようだ。ここでは真逆で暗く陰鬱なイメージである。荒野をこえて、犬の遠吠が聞こえてくるしのは、土着の宗教である怪しげなフードゥーの念仏の唄声を追いかけているようなのだ。フードゥーはこの南部に住むアフリカ系住民に伝わるスピリチュアルな民間信仰である。その儀式の唄声が私を再びバイヨーの地に呼び戻すかのように聞こえてくる。
Born on the Bayou Born on the Bayou Born on the Bayou, oh, oh バイヨー生まれだ Wish I was back on the Bayou Rollin' with some Cajun queen Wishin' I were a fast freight train I'm just a chooglin' on down to New Orlean’ バイヨーに帰りたい ケイジャンの女王とねんごろに 高速貨物列車で ニューオリンズにチューグリンだ
ケイジャンは、フランス系の移民で、カナダに入植したが、その後南部に移り住んだ人たちの末裔。混血が多い。フランス語系の方言をつかい、独自の文化をもつ。ジャンバラヤ、ガンボなどケイジャン料理は有名。おなじフランス系の移民でもクリオールは経済的に恵まれているが、ケイジャンは経済的には貧困層が多い。
fast freight trainとは、高速貨物列車である。この時期、放浪者(ホーボー)は貨物列車に無賃乗車して、広大なアメリカ大陸を行き来していた。
ここに初めてこのアルバムの最後の曲のテーマでもある、「chooglin’」という単語が現れる。この言葉は辞書にはない。ジョン・フォガティの造語なのだろう。陽気に活気に溢れ、楽しむといたような意味なのだろう。スペルはだいぶ違っているが、日本人にはチューニングのアナグラムにも聞こえる。そこから波長をあわせるという意味合いも感じられる。
2,Bootleg 3:03
ブートレックは、海賊版のことである。主に「密造酒」を意味する。それだけでなく、要は法の目を盗んで売られている怪しい無許可の品物、サービスを表す。海賊盤のレコードもブートレックと言う。なかなか手に入らないこのような品物やサービスは、禁止とされるとよけい手に入れたいという触手を動かされてしまうものだ。
Bootleg, bootleg Bootleg, howl Bootleg, bootleg Bootleg, howl ブートレック ブートレックの遠吠え(誘い) Take you a glass of water Make it against the law See how good the water tastes When you can't have any at all 水を一杯いかがかな 違法なヤツをいかがかな どんなに旨いか試してみろよ これ以上は「飲めない」という時でも
水といってもただの水ではなさそうだ。これは密造酒にちがいない。
[Chorus] Bootleg, bootleg Bootleg, howl Bootleg, bootleg Bootleg, howl Finding a natural woman Like honey to a bee But you don't buzz the flower When you know the honey's free 生身の女性を見つけてる 蜂がむらがる蜜のような女だ でも、あんたは花に群がる虫けらじゃない 蜜は無料(ただ)なんだろ [Chorus] Bootleg, bootleg Bootleg, howl Bootleg, bootleg Bootleg, howl
女といっても素人ではなさそうだ、特別な裏メニューのサービスをしてくれるのだろう。しかしその誘いに引っかかってしまうとあぶない。甘い蜜には棘がある。裏で怖い人が待ち構えている。つまり美人局(つつもたせ)やハニートラップの可能性はあるかもしれないのだ。
[Verse 3]
Suzy maybe give you some cherry pie
But Lord, that ain't no fun
Better you grab it when she ain't looking
Because you know you'd rather have it on the run
スージーはあんたにチェリーパイをつくったかもよ
神様 そいつは戯れなんかじゃじゃない
隙を見て掴み取った方が良いいぞ
だって、逃げ出したほうが良さそうだからな
[Chorus]
Bootleg, bootleg
Bootleg, howl
Bootleg, bootleg
Bootleg, howl
スージーが作ってくれたのは、お菓子のチェリーパイでない。チェリーパイにはスラングで性的意味合いもあり、童貞や処女を意味する。ここでは初体験の意味だ。違法に調合した調合したや薬物の新作なのだろう。初めて手にするので、この表現になっているのだと思われる。スージーは危険な薬物で中毒にさせて、その後のお得意さんとしても金づるを狙っているかもしれない。
3、The graveyard train8:37
ワンコードの陰鬱なブルーズだ。高速道路での長距離バスの悲惨な事故を描く。このような恐ろしい曲調は、ジョン・フォガティの得意技。それが延々と8分以上も続く。30人が犠牲になったというその中に、喧嘩別れした直後の恋人のロージーも入っていたという悲劇。勢いからひどい言葉を投げかけてしまったことを、謝罪して許してもらおうと思っていたのだが、悲劇が2人を永遠に引き裂いてしまったのだ。
On the highway, thirty people lost their lives On the highway, thirty people lost their lives Well, I had some words to holler and my Rosie took a ride 高速道路で、30人が絶命した 俺はひどい言葉を使ってしまい。俺のロジーは乗っていった
私とロージーの間に諍いがって、ロージーにひどい言葉を投げかけてしまった。その結果、ロージーは別れを決意し、急遽長距離夜行バスにのって去っていくことになった。その長距離バスが高速道路で事故をおこし、30名の命が失われ、その中にロージーの名前があったのだった。
In the moonlight, see the Greyhound rolling on In the moonlight, see the Greyhound rolling on Flying through the crossroads, Rosie ran into the Hound 月明かりの中、長距離バスは行く そして交差点に飛び出した、ロジーはそれに偶然駆け乗ってった
[Verse 3] For the graveyard, thirty boxes made of bone For the graveyard, thirty boxes made of bone Mister Undertaker, take this coffin from my home 墓場の方へと、骨でできた30個の棺桶 葬儀屋さんよ この棺桶を俺の家から持ってってくれ [Verse 4] In the midnight, hear me crying out her name In the midnight, hear me crying out her name I'm standing on the railroad, waiting for the graveyard train 真夜中に 俺の彼女への叫びを聞け 線路に立って、墓場行きの列車を待ってるんだ
ロジーとの仲直りができず、そのまま死に別れたということで、彼女の名を呼んで嘆き悲しむ。彼女の死へに自責の念にかられた私は、とうとう、追いかけての自死を決意し、線路で投身自殺を図ろうをしている。
[Verse 5] On the highway, thirty people turned to stone On the highway, thirty people turned to stone Oh, take me to the station because I'm number thirty-one 高速道路で、人々が逝っちまった 駅に行かせてくれ。なぜなら、俺が31番目だからさ。
なんとも救いようがない曲である。これが8分も続くとやりきれなくなってしまう。
4,Good golly, Miss Molly
B面はうって変わって、気を取り直し、陽気でキャッチーなR&Bナンバーからスタートだ。リトル・リチャードの1958年のヒットナンバーのカバーだ。当然下ネタも爆発する、ユーモラスティックな内容である。リトルリチャードはオカマなので女言葉で歌う面白さもあるのだが、ここではジョンの骨太なボーカルが爆発する。
[Chorus] Good golly, Miss Molly, sure like to ball Good golly, Miss Molly, sure like to ball When you're rocking and a-rolling Can't hear your momma call 品行方正なモリーはボール遊びが好き 君が転んで揺れているとき、ママの呼ぶのも聞こえない [Verse 1] From the early early morning till the early early night You can see Miss Molly rocking at the house of blue lights 朝早くから夜遅くまで モーリーが青い照明のなかで揺られてる [Chorus] Good golly, Miss Molly, sure like to ball When you're rocking and a-rolling Can't hear your momma call [Verse 2] Well, now momma, poppa told me, "Son, you better watch your step" If I knew my momma, poppa, have to watch my pop myself ママとパパがオレに言った、「息子よ、足跡には気をつけろ」 もしもオレがママとパパが、パパ自身の(の行動)に気をつけなければならないこと知っていたらね [Chorus] Good golly, Miss Molly, sure like to ball When you're rocking and a-rolling Can't hear your momma cal
balとlは、ピンボールやビリヤードやサッカーなどボール遊びのことだが、そんな訳はない。ここでのbalはお察しのとおり、男性の睾丸を暗示している。真面目に見えるモーリーは男遊びが好きなのだ。
リトル・リチャードが歌うとこんなふうに聞こえる
ぶりっ子のモーリー 実は おいた がお好きなの 毎晩朝まで お家も揺さぶる はげしさなのよ ママの呼ぶ声なんか 聞こえっこないわね
さて、
Well, now momma, poppa told me, “Son, you better watch your step”
If I knew my momma, poppa, have to watch my pop myself
ママとパパがオレに言った、「息子よ、足跡には気をつけろ」
もしもオレがママとパパが、パパ自身の(の行動)に気をつけなければならないこと知っていたらね
ここの一節がなぜおもしろいのか、野暮を承知で解説すれば
私は両親から、女の子と懇ろにうまく一夜を過ごす時に、その証拠を残してしまうと厄介になるということを忠告されたが、実は私は、その父の行動(浮気)の証拠を掴んでいるといったところなのだ。パパの浮気の相手、それは、ボール遊びがお上手なモーリー嬢にちがいない。
5 penthouse pauper 3:39
ペントハウスといえば、日本人にとっては高級マンションの最上階の大豪邸しかイメージできないが、米国では違っている。それもペントハウスの一つには違いないが、古いビルの荒れた屋上に建てられた掘っ立て小屋を意味している。貧困で家賃も払えない。日本で言えば橋の下の住人と変わりがない。
そんな貧乏人でも夢がある。すべてを無くしてしまった以上、想像の上では何でもなれるという可能性を持っているのだ。
[Verse] Now, if I was a bricklayer I wouldn't build just anything And if I was a ball player I wouldn't play no second string And if I were some jewelry, baby Lord, I'd have to be a diamond ring もしレンガ職人だったら、何でも建てようとはしないさ もし野球選手だったら、二軍なんかじゃプレーしない もしも宝石だったら、ダイヤモンドの指輪だったのに If I were a secret, Lord, I never would be told If I were a jug of wine, Lord, my flavor would be old I could be most anything But it got to be twenty-four karat solid gold, oh もしも秘密だったとしたら、誰にも話させない もしも一瓶のワインだったら、年季が入った香りなのさ 何にでもなれる 24金の純金でもさ If I were a gambler, You know I'd never lose And if I were a guitar player Lord, I'd have to play the blues もし、賭博師だったら、決して負けはしない もしもギター弾きだった、ブルースを引いてただろうに If I was a hacksaw, My blade would be razor sharp If I were a politician, I could prove that monkeys talk You can find the tallest building Lord, I'd have me the house on top もしも金鋸だったら、剃刀のような切れ味さ もしも政治家だったら、サル語(嘘偽り)を証してやるともさ 一番高いビルにオレのベントハウスを見つけられるとも
Lord, I’d have to play the bluesのところで、間髪いれずにブルースっぽいギターのソロが聴けるところが粋である。
that monkeys talkとはサル語のことだが、ろれつのまわらない喋り方を意味し、ここでは政治家の二枚舌や嘘を付いている様を言っている。したがって、おれが政治家だったらそんな政治家の嘘や、人気取りの言い回しを見破ってやると言っているのだ。発表の69年当時からもそうだったが、今のトランプや日本の高市総理にいたるまで政治家は本当のことを話さないなど当たり前だ。黒を白といってもそれが正解になってしまう。
このあとの「フォーチュネイトサン」につながる、自虐的プロテスト・ソングになっている。
キーはD、12小節のブルースで、DGDD GGDD B♭CDD
6、Proud Mary 3:09
ご存知言わずとしれたCCR最大のヒット曲。2位まで上がった。そして、カバーしたティナ・ターナーのバージョンも大ヒットし彼女の十八番になった。ティナはアイクアンドティナ・ターナーの頃にヒットしたこの曲をソロになってもコンサートのハイライトにしている。序盤リズムにのっての静かな語りから始まり、テーマが始まると急にハイテンポになる。フリもまったく昔と変わらない。今やもう伝統芸能の域だ。このティナのものまねをするフォローワーも後を立たない。
詩の内容とすればこうだ、
主人公は都会で仕事に疲れ南部に流れ着き、ミシシッピー川を行き来する外輪船メアリー号にのる。金ではない、南部の気のいい人たちが最高なんだ。
外輪船は、ミッキーの「蒸気船ウィリー」の様に外輪が両サイドについているものもあるが、ミシシッピー川の外輪船は、外輪は船尾についている。東京ディズニーランドにあるマーク・トゥウェイン号とおなじだ。しかし、マーク・トゥウェイン号は外輪で進むのではなく、実は川底にレールがついているらしい。
1, Left a good job in the city Workin' for the man every night and day And I never lost one minute of sleepin' Worryin' 'bout the way things might have been 都会のいい仕事をやめて 毎日昼夜ボスのために働く そうなってたらと心配で 一分たりとも熟睡できやしない Big wheel keep on turnin' Proud Mary keep on burnin' Rollin', rollin', rollin' on the river でっかい車輪が回って ブラドメアリー号は行く 川面をぐるぐると 2, Cleaned a lot of plates in Memphis Pumped a lot of 'pane down in New Orleans But I never saw the good side of the city Till I hitched a ride on a river boat queen メンフィスでは皿を洗って ニューオリンズでは 石油を汲み上げた 都会のいいとこなんか見なかった リバーボートクイーンに乗るまではね Big wheel keep on turnin' Proud Mary keep on burnin' Rollin', rollin' (Roll on), rollin' on the river でっかい車輪が回って ブラドメアリー号は行く 川面をぐんぐんと ソロ Rollin', rollin', rollin' on the river 3 If you come down to the river Bet you gonna find some people who live You don't have to worry 'cause you have no money People on the river are happy to give 川に来るなら 素敵な奴らが住んでいる 金なんてなくっても心配しない 川の人達が幸せをくれるから Big wheel keep on turnin' Proud Mary keep on burnin' Rollin', rollin', rollin' on the river Rollin’ (Roll on), rollin', rollin' on the river Rollin', mm, rollin', mm, rollin' on the river Rollin', rollin', rollin' on the river でっかい車輪が回って ブラドメアリー号は行く 川面をぐんぐんと
7,Keep on chooglin’ 7:43
Keep on chooglin' Keep on chooglin' Keep on chooglin' Chooglin', chooglin', chooglin', chooglin'[ 1 Maybe you don't understand it But if you're a natural man You got to ball and have a good time And that's what I call choogling Here comes Mary looking for Harry She going to choogle tonight Here comes Louie, works in the sewer He going to choogle tonight 分かっちゃねえかも知んねえけど あんたもほんまの男なら イッチョ楽しくやらねえか オレに言わせりゃ それがチューグリン 今夜メアリーがハリーを探しに来た 彼女は今夜はチューグリン そして下水道で働くルイがくりゃ 奴も今夜はチューグリン
You got to ball and have a good time
このballはこのサイドの1曲めのGood golly, Miss Mollyにでてくるballともちろん同じ。
Here comes Louie, works in the sewer
下水道で働くルイなのだが、下水道とは地下であまりキレイなところではない。地下組織=裏社会をイメージさせる。ルイはA面2曲めのブートレックを扱っているに違いない。
Keep on chooglin' Keep on chooglin' Chooglin', chooglin', chooglin', chooglin'[ Guitar Solo
Keep on chooglin’
Keep on chooglin’
Chooglin’, chooglin’, chooglin’, chooglin’
If you can choose it, who can refuse it Y'all be chooglin' tonight Go on, take your pick, huh, right from the get go You got to choogle tonight 選べるんなら 嫌とは言えねえ あんたも今夜はチューグリン こん中から 好きヤツを取ってくれ あんたも今夜はチューグリン






