ジャパンV.S サモア戦 展望 (その1) 取り巻く状況から

1,会場は「バラ色の街トゥールーズ」

南西フランスの「バラ色の街」、トゥールーズ。レンガ出できた町並みが夕日に赤く染まることから、この街はそう呼ばれつづけてきた。そこを南北に流れるガロンヌ川。その中洲にあるのが決戦となるこのスタジアム。満員の監修は開始前からビール片手にもうお祭り気分だ。そして友好的で穏やかな両国の国歌斉唱が行われる。その時が来た。突然オクシタニーの夜空を切り裂くように、シビタウの掛け声が響き渡る。一気に空気が変わる。その迫力には、歌い踊りだすものも、お喋りに興じていた者も、流石にシンと静まり返る。そんな光景が今から思い浮かぶ。緊張感は高まる。いよいよだ。

トゥールーズは街をあげてジャパンを押してくれている。キャンプ地でもあるからだ。だがそれだけではない。フランス広しといえどもここトゥールーズは、ラグビーマット地帯してはダントツである。目の超えた市民は、日本の快勝したチリ戦でジャパンのラグビーの魅力を知っただろう、負けたイングランド戦でさえ充分な好印象を与え続けている。

一方、サモアのプロップ、オールブラックス50キャップを誇るファウムイナは、スラッドトゥルーザンの赤黒ジャージ姿で地元では大人気な選手の一人である。

こうなると両チームのサポーターは二分すると思われる。

どちらのチームにとってこの街が「バラ色の街」になるのだろう。

2,三大会連続しかもすべて南アレフリーが担当

サモアとはラグビーワールドカップでは3大会連続の対戦だ。しかもその3大会ともジャパンにとっての3戦目。今回も19年の豊田スタジアムに引き、あのサンドニの開幕戦を任されたヤコペーパー氏が連続して担当する。これで3大会連続南アフリカ出身のレフリーとなった。相性は良い。そして彼なら、笑顔が素敵でコミュニケーション能力が高いので信頼ができる。(ただし、彼はお茶目度がすぎて、ゲーム終了後のおふざけが問題になったこともある。)

ただし、3大会連続といってもその状況はすこし違っている。

8年前のミルトンキーズでは、「ブライトンの奇跡」のあとスコットランドに苦杯を飲まされ一度落ち込んだジャパンが、気を入れ直しての一戦だった。サモアの危険なタックルが最大の障害だったが、山田のゴールポスト際の回転の技ありトライ、サモアの反則からの五郎丸の確実なPGなどで圧倒した。

そして、4年前は初戦では日本もサモアも同じような点差でロシアを退けた。ここまでは今回同じような点数でチリを退けたのと似た状況。しかし前回のジャパンは「もう奇跡とは言わせない」静岡でアイルランドを倒してからの、勢いにのっての豊田スタジアムの乗り込んだ。一方のサモアは神戸でスコットランドにコテンパンにやられて落ち込音での豊田入であった。最後は笛にも助けられ、終了間際のトライでBPを獲得できた。

2、まったく参考にならない前哨戦

実は今年7月22日、札幌での前哨戦があった。あのリーチのレッドカード問題が勃発しジャパンが惜敗を期したゲームである。

今回のサモアはそのチームと全く様相を異にしている。サモアはその時点では出場規格の緩和策をまだ有効に活用できていなかった。今回のサモアメンバー表には豪華な有名選手たちがすでにチームの一員として馴染んでいる。彼らは開幕直前には世界ランキング1位のアイルランドを敵地できりきり舞いさせた者たちだ。更に強力な布陣だ。

一方のジャパンは開幕までの強化の6試合では、良い成果を挙げられず不安だらけのままワールドカップ突入となった。しかし、大会にはいってからは快勝したチリ戦、イングランド戦を経て、その不安材料の殆どは順調に払拭されきている。ケガ人も戻り、レッドによる出場停止も解消され、不調だったキッカーは松田が復活、課題のスクラムの調子も取り戻している。

3,日程の妙とメンバー構成

今回のジャパンはイングランドに星をおとしたあと長いインターバルがあり、この日を迎える。南フランスでのオフの時間もあり、フレッシュな状態でこの試合に望める。ラグスカフニやディアンズという頼もしい仲間が復帰できている。しかもこの間に待望の山中の交流がなされた。アゲアゲムードで慣れ親しんだトゥールーズに戻ってきた。ただしメンバー選定は悩みとなるはずだ、つぎのアルゼンチン戦も考慮しなくて無い行けない。小倉や福井、フィフィタなど出番のないままおわるのか、好調とはいえ出ずっぱりの松田で行くのかなど悩みはたえない

サモアはアルゼンチンに僅差でやぶれてまだ数日なので疲労や精神的ダメージが残る戦いになる。しかも、サンテティエンヌからトゥールーズまでの直行便やTGVはない。長い時間をバスにゆられての移動日に1日を取られてしまっている。状況は日本に有利である。サモアは次節にイングランド戦を残しており、メッンバー構成はこれまでと大きく変えてこざるをえない状況にある。いろいろの条件でジャパンに追い風は吹いている。

その2ではジャパンのメンバーを妄想&希望的観測をおこなう

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