日本のはいるこのプール。どうしても冷静にかけず記事が長くなるばかりなのでご了承をねがいます。
1,定着?イングランドのヒールイメージ
前回のRWC2019は、釜石鵜住居復興スタジアムでのウルグアイや、台風への対応、各地のキャンプ場での交流など、多くの美談が生まれた。ノーサイド後にチームがならんで「おじぎ」をするという感謝の気持ちをあらわすパフォーマンスは全チームに自然に広がった。肌の色、国境を超えて「ワンチーム」となってクリーンに戦う姿、ノーサイドになれば勝敗抜きに称え合う姿。これぞ「ラグビーの魅力であり、ワールドカップなんだ」ということが日本だけでなく世界中に発信できた。巨大台風をも吹き飛ばす「感涙の嵐」だった。
しかし、そんな中に1チームだけ、その大会の流れに逆らって物議を醸し出したチームがあった。それがエディさん率いるイングランドであった。
エディさんは勝利至上主義でそのためには何でも利用する。当初から言動にどうも上から目線の横暴さがめだった。台風で中止になったフランス戦も相手やファン、被災者などへ気遣いなど全く無く、ただ単に一位通過を喜んだ。問題となったのは、準決勝オールブラックス戦のハカへの対応である。不敵な笑みをうかべてて隊列を組んでハーフウェイを超えて威嚇した。もちろん違反である。さらに印象を悪くしたのが決勝戦で負けたあとの振る舞いであった。準優勝のメダルを笑顔一つ見せず無言でもらうと、首から外し、まるで不名誉でそれを不服とばかりにポケットに隠してしまう。チームからは最後まで感謝の気持や、友好の証や、謙虚さなどが微塵も感じられなかった。
イトジェのいつもなにかに怒っているようなギョロ目、エディさんお得意の上から目線の話しぶりはあまりいい印象を与えるものではなかった。極めつけはキャプテンのオーレンファレルの薄笑いの顔である。これこそ悪役顔の象徴である。
(これがかっこいいとイングランドでは評判になったらしい、いかがなものか)
イングランドの肩を持つわけでな無いが、イングランド側にも事情があった。2015年自国大会でまさかのプール戦敗退という失態を演じて、エディさんを監督にして、何が何でも結果を残さなけれなならない2019年この大会であったからである。
このように前回大会は15年のプール敗退の汚名返上が至上問題だった。今回は19年の言動の汚名返上が至上問題になっているべきである。残念ながらその後のイングランドにはそんな言動など微塵もない。相変わらず上から目線で、相手を威嚇、挑発し、反則ギリギリのプレーも目立つ。キャプテン自ら相手に掴みかかる。東洋の血を引く若きスタンドオフ、マーカススミスでさえ最初のうちは初々しく好感がもてたが、徐々にイングランド風の悪役の顔になってきている。
昨年度秋のテストマッチで、トィッケナムでアルゼンチンに不甲斐なく破れ(29−30)、翌週の日本戦では危機感をもって真剣に準備し快勝した(52−13)。その後もオールブラックスに引き分け(25−25)、南アに破れたこと(13−27)でついにエディさんは解任となった。
監督が日本でもFWコーチをしていたボーズウィックに代わった。ボーズウィックがどんな人なのか、一番指導をうけただろう大野均選手から直接話しを聞くことができた。大野さん曰く「普段は紳士的ですよ、でも勝利へのこだわりは別人」だそうである。
私個人的には勝敗ではなく、イングランドがこの悪役イメージを払拭できるかを注目して見ていきたい。もしくはそのヒールぶりに徹した姿を見てみたい。
2,コートダジュールの碧い海への妄想
組み合わせが決まったときに、日本のファンのエディさんのイングランドとの対戦に注目が集まった。次に試合日と会場がニースだと決まった時には、心はもう南フランス、コートダジュールの碧い海に浮かんでいた。頭の中ではエディさんが仕掛けてくるだろう言戦の言葉が海鳥の声のように聞こえてきた。
昨年秋のトゥッケナムでのテストマッチも注目されたが、山沢、山中、李くんの正直なキックはすべてフルバックのフレディスチワートの餌食になった。そして大敗に終わった。スクラムでも解釈の違いで惨敗した。でも戦い方次第では手がとどかない相手ではないと感触をもった。ニースへの思いは積もるばかりだ。
そして、妄想はますます膨らむ。
山沢の変幻自在のキックにあたふたするフレディスチワート、タックルを外されマーカススミスの悔しがる顔、ラインアウトをうばわれイトジェの目が泳ぎだす姿、ノーサイド間際になってしまい不敵な笑みでも内心を隠しきれないファレル、怒り狂ってヘッドセットを投げ捨てるエディさん、そんな光景は目に浮かんでいきた。
しかし、エディさんの解任により、コートダジュールの碧い海の妄想もしぼんでしまった。ニースのジャパンーイングランド戦の魅力は半減してしまったといえる。
そしてジャパンには山沢も選ばれなかった。エディさんがいなくなったことでジェイミーの戦い方にその迷いは消えたのだろう。勝つための方策に自信がわきそれに突き進むという方針が固まったのであろう。それならばそれでも喜ばしいことだ。
そして、新たな妄想は沸き起こる。
ジェイミーの確信した戦い方はこうであると想像できる。それは、キックで確実にエリアをとり、相手のミスを誘い。セットプレーからトニーブラウン考案の誰も見たことのない必殺のサインプレーを炸裂させる戦法だ。
相手がエディさんであると秘密のサインプレーなどすぐに漏れてしまうし、警戒もされてしまう。ボーズウィックならそんな心配は騙し通せる。ボーズウィックに代わったことでこの戦法の採用に自信がもてたのだろう。
もう一つはリーグワンのゲームを見て、FWの陣のフィジカルとフィットネスに自信がもてたからであろう。相手のアタックはしのいで、スクラム、ラインアウトのセットプレーでボールを確実に出すことに集中すればよい。
確実にゲームを設計して、それを忠実に実行できるメンバーを集めることにしたのだ。そうなるとそこには山沢の変幻自在のキックやランなどのプレーはいらない。
3,試合日程の妙=ボーナスポイントの妙
この日本が準々決勝に勝ち残れるかに尽きるが、試合日程からいってニースのイングランド戦の勝敗に関わらず、最終の日本アルゼンチン戦までもつれることになる。
まず最初にイングランドーアルゼンチン戦(9月9日)がある。
ここでイングランドが勝った場合:
次が日本イングランド戦(9月17日)となって日本が負けたとしても、最終アルゼンチン戦(10月8日)でアルゼンチンに勝ちさえすれば、2位通過が決まる。
逆に日本がイングランドに勝ったとしても最終のアルゼンチン戦(10月8日)で負けると3勝1敗で並び、勝ち点差の勝負となる。この場合ボーナスポイントの争いになる。この場合1位通過も敗退もありうる。
最初のイングランドーアルゼンチン戦(9月9日)で
アルゼンチンが勝った場合:
次の日本ーイングランド戦に日本が負けたとしても、最終アルゼンチン戦でアルゼンチンに勝ちさえすれば、3チームが1敗でならび勝ち点差の勝負になる。この場合ボーナスポイントの争いになる。この場合敗退もあれば一位通過もありうる
逆にイングランド戦に日本が勝つことがあれば、イングランドの敗退がほぼ決まり、最終戦が1位通過か2位通過の争いの場になる。
日本としては、9日は是非アルゼンチンに勝っていてもらいたい。日本はイングランド戦に負けても最終戦まで可能性を残すことになる。
こんな予想などをしていても、各チームとも、チリ、サモア戦を落とさないことが前提である。日本にとってはそれも難題だ。その上でボーナスポイントを確実に積み重ねられるかである。
勝ち点が並んだ場合は総得失点差での勝負になるので、最後まで得点をあげ大差で勝ち上がらないといけない。こう言ってはチリのファンには失礼だが、チリ戦でどれだけ得失点差をつけて勝つのかがとても重要になってくる。
この点日本は不利である。初戦は緊張感もあり、何が起こるかわからないし、相手も万全で臨んでくるので、大差をつけて勝つという像は描ききれない。イングランド、アルゼンチンのチリ戦は後半にスケジュールされている。人材の少ないチリにとっては激戦続きで万全の体制で望める可能性が低くなり、大差がついてしまう可能性を拭いきれない。
イングランドーアルゼンチン戦は僅差の勝負になるはずである。同じように日本ーイングランド戦で日本が勝つとすれば、僅差で勝つしかない。ということはイングランドは確実にボーナスポイントを獲得する結果になる。逆に日本は負けるにしてもボーナスポイントをあげることが重要になる。
つまり結論はこのプールはどのゲームもノーサイドの瞬間までボーナスポイント、得失点差を求めて戦い続けなければならず、また、見逃せないということだ。
4,その他 TIPS
長くなってしまったので、その他の注目点は列挙するに留める。機会があったら詳しい記事にするかもしれない。
■このプールにはアルゼンチン、チリといった南米のチームが2チーム入った。これはワールドカップ史上初めてのことである。9月30日のナントは街中でスペイン語が飛び交うことだろう。
■日本のキャンプ地はトゥールーズ、そこでの2試合(チリ、サモア)はホームゲームアドバンテージがある。アルゼンチンのキャンプ地はナント周辺、そこでの2試合(チリ、日本)はアドバンテージになる。イングランドはリールが2試合(チリ、サモア)だが、キャンプ地もリール周辺の海辺の町、さらにリールは北の玄関口でロンドンからの英仏トンネルを通って4時間あまり、スタジアムは英国人サポーターで埋め尽くされると思われる。
■日本とサモアはなんと3大会連続の同組対戦となる。2015年(ミルトンキーズ26−5 BPなし)、2019年(豊田スタジアム38−19 BP1)。2015年はボーナスポイントが取れなかったことがプール戦敗退に繋がった。
■アルゼンチンと日本が同組になるのは2度目である。前回は1999年のウェールズ大会。このときもサモアも同組であった。ちなみにその時のJAPANのNO8は現在の監督のジミージョセフだった。
■2007年の前回フランス大会で大躍進したアルゼンチンのキャプテンSHのピショットは、現在ワールドラグビーの副会長である。
■初出場のチリは、テストマッチでアルゼンチンとは39回戦ってまだ勝ちはない。サモア、日本、イングランドと対戦するのはテストマッチ含めての初めてのことである。
■前回2007年のジャパンは最終戦のボルドーのカナダ戦で終了間際にトライそして難しいゴールが決まって12−12の引期分けであった。このゲームは91年のジンバブエ戦の勝利以降WC13連敗でストップさせた。これが2015年の南ア戦の勝利までJAPANのWC唯一のハイライトであった。この時のキッカーは解説でおなじみの大西将太郎。
■2022年のラグビーワールド年間のトライオブザイヤーはチリのロドリゴフェルナンデス(雨のアメリカ戦で自陣からステップで何人もタックルを交わしてのトライ)。過去の主な受賞者は、ブライアンオドリスコル、ブライアンハバナ、ボーデンバレット、ジュリアンサベアら大スターばかり、ちなみに最近の受賞者でも2018年はリタリック、2019年はTJペネナラ、2020年はなし、2021年はダミアンプノーという大物揃いである。