3、トゥーレーヌ地区
この地区はシノン、アンポワーズ、ブロワ、オレルアンと歴史上重要な場所が固まっています。綺麗なお城もこの地域にたくさんあります。
ロワール川の支流、ビエンヌ川のほとり、ここにはシノン城があります。シノン城は様々な歴史の舞台になりました。
アンジュー伯プランタジネット朝ヘンリー2世の居住地でした。映画「冬のライオン」の舞台です。妻アリエノールを始め最後には家族全員に見放されたヘンリー2世は、失意の中でこの城で一人で亡くなりました。
また、100年戦争の際には、ジャンヌダルクが、はるばる王太子を訪ねて行き、居並ぶ出席者の中に隠れていた、王太子を見破ったという奇跡を見せたのが、このシノン城です。(ヨランドタラゴンの筋書きとも言われますが…。)
もう少しロワール川をさか登った森にあるのが、ユッセ城。「眠れる森の美女」に出てくるお城のモデルになった城。というか、作者のシャルル・ペローは、この城の中で「眠れる森の美女」の物語を書き上げたそうです。
トゥーレーヌ地域の中心はトゥール市です。トゥールは古い町で、このトゥールとその南に位置する町ポアティエの間には「トゥールポアティエの戦い」の古戦場があります。
「トゥールポアティエの戦い」では、723年進行してくるイスラムのウマイア軍をフランク王国のカールマルテルが破ります。この戦いで、キリスト文化、封建制の道筋が決まりました。(世界史の授業もこの辺までは誰もがついては行くのですが、その後夏頃までにどうしても挫折してしまいます)
トゥール周辺には、さらに沢山の有名な城があります。
アンポワーズ城は、ブルボン家の居住城で、美しい城です。
しかし、ユグノー戦争の時に忌まわしい「アンポワーズの陰謀」が起こった場所です。ブルボンが王を誘拐しようとしたとしてギーズ家から嫌疑がかけられ、ギーズ公のアンリによって捕らえられ、何十人ものが大広間で処刑された。そして窓という窓、バルコニーに見せしめで長い間、吊るされました。死臭が立ち込めて城には近づけないほどだったと言います。
そのアンポワーズ城から南、シェール川沿に美しいシュノンソー城があります。川から水を引き入れて水路の上に立っています。
この城は「6人の奥方の城」と呼ばれています。
最初の持ち主はマルク家のものでしたが、借金のかたにしかし国庫に没収されます。シャルル8世の侍従トマポイエが引きとります。城を面倒見たのが、その妻のカトリーヌブリソネ(NO1)です。
フランソワ1世の死後、後を継いだアンリ2世は、この城を正妻のカトリーヌドメディシス(NO3)に与えずに、妾のデュアスポアティエ(NO2)にそっくりプレゼントしてしまいます。ディアスはこの城の庭園を作りました。正妻のカトリーヌはこれをやっかみます。しかし、アンリ2世も馬上試合で突然の事故死で死亡。するとカトリーヌはディアスを王宮から追い出し、この城を手に入れます。これこそがカトリーヌの復習行為でした。すぐさまディアスの庭園の隣に美しいカトリーヌの庭園を作ります。この二つの庭園は今も並んでいます。
4番目がアンリ3世妃のルイーズ(NO4)です。アンリ3世はブロワ城で暗殺されてしまいますが、彼女はその喪服姿でこの城で過ごしたそうです。
5番目はフランス革命の時のデュパン夫人(NO5)。彼女はフランス革命の混乱からこの城を守ります。
6番目は産業革命の時のペルーズ夫人である。べルーズ夫人(NO6)はこの城をルネッサンス時代に復元しました。
ショーモン城
カトリーヌドメディシスは、ノストラダムスなどの預言者を囲い、様々な占いをさせています。
このショーモン城にそんな占星術師などを住まわせていたとされます。その後、カトリーヌドメディシスがディアズからシュノンソー城を取り上げようと、いらなくなったこのショーモン城を無知やりにディアスに押し付けたと言います。(ショーモナイです)。しかし結果はうまくいかず、アンリ2世が事故死した時にその思いは一気に遂げることとなります。
この地域のワインを紹介します。
ヴーヴレー
この地区のワインはヴーヴレーというものがあります。から口から甘口まで揃っています。
シノン
AOCシノンは色の濃い赤ワインが有名です。カルベネフランです。この地区の郷土料理にリヨンというものがあり、バラ肉をコンフィーしたものです。これとシノンのミディアムボディのシノンのワインのマリアージュが良いとされます。
この地区の中心はブロア、ブロア城はブルボンの中心でした。
100年戦争の際、ランスの大司教がジャンヌダルクに祝福を捧げ、その旗印のもとにジャンヌ達は出陣しました。
宗教戦争の終盤には、ここの王広間で、ブルボンのアンリ3は会議に呼んだ丸腰のギーズ公アンリを暗殺します。
シャンボール城
フランソワ1世が建てました。森の中フランスの城の中で最大の敷地面積があります。山手線の内側ほどの広さです。フランソワ1世はこの城のためにロワール川の流れを変えようともしたそうです。(この計画は失敗しますが、支流の流れを変えて庭園に水を持ってきています)
オレルアン
ロワール川の川沿いです。ロワール川が蛇行している北の頂点に街があります。100年戦争の際、イングランドに攻め込まれたフランスの最後の砦になったところです。
「オレルアン包囲戦」です。ジャンヌダルクは負傷をしながらも、陥落寸前だったオレルアンをイングランドの包囲から数います。
4、サントル・ニベルネ地区(中央フランス地区)
シュリー=シュル=ロワール城
この地域は、有名なシュノンソー城なども含めて「シュュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」という名で世界遺産に登録されていますが、その看板のシュリー=シュル=ロワール城はこの地域にあります。
サンセール
サントルニベルネ地区、有名なワインで、赤白ロゼがあります。
この辺になりますと、ロワール川流域といっても、ブルゴーニュに近くなります。白はソーベニオンプランですが、赤はピノ・ノワールになります。ロワール左岸で、石灰質の地質です
ブイイヒュメ
ワイン界のニューウェーブ、鬼才ディディエダクノーの代表作がアステロド。ダグノーの風貌はまるでヒッピーか60年代のロックミュージシャンです。ビオディナミという完全に自然に一体になった(というよりもうかなり宗教がかっています)の農法で生産されます。彼は残念ながら2008年に飛行機事故で亡くなってしまい、息子達が後を継いでいます。
アステロイドは幻の一品です。シレックスは高額ですが手に入ります。