ジャパン オールブラックス、それぞれの成果

オールブラックスの面々は前日までイベントに引っ張つだこで、日本でのショッピング、グルメを満喫していたようだった。厳しい欧州ツアーを控えてリラックスムード満載であった。

そんな彼らを、ジャパンが最初の20分で国衣軍団を目覚めさせててしまった。

先制トライと追撃トライ、さらにマキシのタックルからディアンズのトライで鮮やかな逆転。

かと思いきやTMOでノートライの判定。盛り上がっていたのが急にしぼんでしまい、その落差が大きい。ここで所謂「切れた」状態になってしまう。張り詰めたものが緩んでしまう。心に空白が出来てしまう。23年W杯イングランド戦での「ヘディング事件」と同じ状態。

直後にトライを取られて引き離されてしまった。

新生ジャパンは6月緒戦のイングランドは別にして、同格のジョージア、イタリア、フィジーに敗戦を期してしまっている。そのあとのオールブラックス戦。

オールブラックスに対抗できるチームとすれば、圧倒的なフィジカルの圧力のある南アや、イングランド。そして、たまに突然おとずれる調子が一番いいときのフランスなどしかない。同じスタイルでは難しい。オーストラリアもNZに対抗していた時代は緻密な計算づくのプレースタイルという別な形で挑んでいいた。

ジャパンの「超速ラグビー」は今後どう発展していくのかは、まだ未知ではあるが、現時点では早いパスを多用したり、切り替えの素早い反応など、ミニオールブラックスとも呼べるようなスタイルにとどまっている。それだけでは本家本元のオールブラックスと同じところで戦うとうのは最初から無理がある。

そんなわけで、残念ながら現在の状況では実力差が歴然としているこの両チームの対戦に、意味があるのかどうかは戦前からすでに疑問であった。この「力の差があるマッチアップからからどれだけ得るものがあるのか」。それはなかなか見つけにくい。特にオールブラックスにとってはなおさらであろう。

しかし、結果から言えば、オールブラックスにとってはこのゲームはとても意味のあるゲームとして記憶にのこるゲームになったと言える。

ゲームの勝敗は別にして、(もちろん「カネが儲かる」などは別にして)、ひとつのゲームからどれだけ得るものがあったかで勝敗を決めるなら、このゲームの勝者は最終スコアの得点差以上に新生スコットロバートソンのオールブラックスの大勝利であった。

実は今年のオールブラックス。なかなか調子が出なかった。南半球のチャンピオンシップは3勝3敗で終わった。南アには結局力負けで2連敗。アルゼンチンにも破れ、全くちぐはぐなワラビーズ相手にもベストメンバーで挑まざるをえなかったが、それでも苦戦を強いられた。さらに大会を通じて、後半20分に登場するメンバーでは得点を上げることが出来ていないという状況。他のチームが27年にむけて好スタートを切っているのに、豊富な潜在力あるメンバーを持ちながら、それを試す機会がなかなできなかった。心配性のニュージー国民はもう不安を覚え始めていた。そこでこの秋もオールブラックスXVを結成して代表チームと並行して欧州遠征を予定している状況である。

そんなタイミングで欧州遠征前に日本でのゲームを行うことは、スコットロバートソンにとっては好都合であった。ゲームをするだけでなく、日本の環境において日本の文化や食事、おもてなし、ファンとの交流などでリラックスできた。

サム・ケイン、TJなどの代表からの引退は明らかにされてる。その中で次の時代をになう人材を試したかった。若手人材にとっては、レジェンドと一緒に過ごす日本滞在や19年の大会で立つの出来なっ肩W杯の決勝の横浜の舞台でゲームをおこなうこと、黒衣の伝承としても格好の機会となった。

この日出場した下記メンバーは、間違いなく27年のWCで中核を担う選手になっているはずである。そして彼らにとってはこの日本の地は忘れれらない地になったはずである。

3,トシ
6、シティティ
9,ロイガード
23、ラブ

だれもが噂にがわぬ大活躍で、押しまくり、走りまくり、当たりまくり、トライを取りまくった。

特に23番のラブは後半58分に登場し、2トライ。後半20分すぎの無得点という懸念など全く吹き飛ぶ活躍である。ルックスも申し分なく、すでに日本のファンの心をがっちり掴んでしまった。すでにスター選手の仲間入りである。

これでやっと、ロバーソンの27年大会までのロードマップが描けるはずである。

 

一方ジャパンがこのゲームから得るものがあったのかどうか?
そう考えると、疑問符だらけである。そもそも、このゲームのテーマが定まっていない。

「自分たちの立ち位置の確認」? TOP10の実力でないのはわかりきっているでしょう。
「フィジカルの確認」?フィジー戦ですでに確認済みでしょう。
「セットプレーが通用するか」?すでに安定して戦えるという自力はあるのは自覚があるはずだ。
「超速ラグビーが通用するか」?いつも通りにキックオフ直後の先制パンチのみで進化がみられない。

そのほか、ライリーの走力、ディアンズのサポート、運動量、チャージは、世界レベルで通用する事もわかっている。矢崎のスピードも然り。

それはそれとして、ジャパンの課題は下記に在ったはずだ。

1,序盤の超速ラグビー頻発による、後半の体力の消耗による大量失点。打開策として一時キックの有効活用という萌芽があったが、この日は元に戻ってしまった。キッカーのスペシャリストとくにロングキッカーがいない。

2,組織ディフェンス、危険察知能力とコミュニケーション、リンケイジなど、とくに大外で枚数が足りなくなる問題。毎回同じようなトライを取られる。この日も然り。

3,個人ディフェンス、1対1のディフェンスのフィジカルティ

4,勝負どころの時間帯の失点。80分を等してのゲームコントロールの欠如。

これらの課題にたいして、フィジー戦から1ヶ月以上あったのに全く先に進んでいない。それだけでなく、対策を考えて先に進めようとしているのかさえも疑われる。

いや現状は怪我人が多く、その課題に取りくむ余裕がなかったのかもしれない。李、山沢の怪我の離脱。するとスワSO、FB問題、やキッカー不在問題が発覚。キャプテン立川の負担が多くなる。

考えてみれば、このゲームは課題の解決という点でなく、姫野や坂手の復活組、さらに小山などベテラン試すだけだったのかもしれない。

姫野は復調ぶりは発揮できたが、ジャパンにフィットしているかと言えばまだ難しい。後半代わった下川のほうがサポートやアタック、ポジショニングなど良かった。姫野は再度出場することになり、予定以上の時間をフィールドに立つことになってしまったこともあったかもしれない。

坂手は可もなく不可もなく、目立つこともなかった。その意味ではベテランの味を出したのかもしれない。

小山は全く調子が出ない。残念ながらこれでは後半に出てくる意味がない。藤原に比べてエナジーが感じられない。

私の密かに期待するオペティヘルはデビューし、ラッキーな初トラウも記録。ただし、日本の低いスクラムに高さを合わせるには、タッパの高いオペティには時間がかかるようである。

急遽呼ばれる事になった松永も出場時間は短かった。藤原とのコンビは天理ファンを唸らせ、GKを決めでスコアを残した。

これでジャパンも欧州遠征にむかうが、あたらめて課題を整理しておく。
1.「超速ラグビー」とスタミナとのバランス。
時間配分とゲームコントロール
=キックの有効活用=ロングキッカーの発掘

2,組織ディフェンスのコミュニケーション
超速ラグビーは攻撃だだけではないはず

3,1対1のフィジカリティ
アタックはまだよい。ディフェンス面が課題だ。前で止めきるよことができない。ダブルタックルでも良いが、その時はだれが大外をカバーするのか、そうなるとまた2がキーになる。

1の課題については、ロングキッカーの早稲田の服部君をすぐにでも合宿に呼ぶべきだだと思う

2、と3,についてはエディジャパンはまだまったく取り掛かって居ない。当面改善するつもりはないのだと思われる。

 

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