南半球のラグビーチャンピオンシップでの多くの対戦のあるありふれた組み合わせになった。オールブラックスがかなりの確率で勝ち抜けるのではないかというのが大方であろう。
初戦のフランスにやぶれてからのオールブラックスは、相手かまわず、容赦のない戦いぶりを見せ続けている。スイッチが入った状態が続いている。このままの状態なら、たとえ日本、ウェールズという壁を乗り越えて、やっど本来の力に戻りつつあるアルゼンチンなど相手にはならないだろう。
そもそも今回の組み合わせが決まった時点で、プールAプールBの上位国と、プールCプールDの実力の差は歴然であった。したがってこの準決勝は大会前からプールA,Bを勝ち抜いたチームがそのまま決勝戦に行くだろうことは読めていた。
だからといって、この対戦をスルーしてしまうのはもったいない。
アルゼンチンは、ジャパンがナントで共にワールドカップに残るであろう名勝負、好ゲームを作り上げたもの同士である。もはや仲間ではないか?力を尽くして共に戦えば、気心がしれた中である。もう一心同体である。
われわれは、われわれの同士アルゼンチンがどのような抵抗を見せるのかということを見届けようではないか。
カレーラスの快速を、ボフェリのキックの精度を、クレービーの顔を真赤にして国歌を歌う姿を、サンチェスのいぶし銀のプレーを、楽しもう、噛み締めよう、味わおう。クレービーやサンチェスはこれが最後のワールドカップになる。
ラバニーニよ怪物リタリックに渾身の一発をかましてやれ、ガジョよスクラムではロマックスの胸板に食い込め。そしてクレメルとゴンザレス、けっしてアーロンスミスを自由にさせるなよ。
オールブラックス。もはやラグビーを超えた存在になりつつある有機生命体。どんな完璧なラグビーであっても、包み込み無力化してしまう怪物だ。その生命体でも機能不全に陥ることもあることを思い知らさせてやれ。そんな怪物が慌てふためく姿を全世界に見せつけたやれ。
ひょっとして、ニュージーランドはケガ人など無理をせず、決勝戦の南ア戦を睨んでメンバーを落としてくるという可能性もある。
オールブラクスよアルゼンチンを舐めるではない。
戦線続きとアイルランドという大きな山を動かしたあとで、気を緩めるではないぞ。アルゼンチンは進化し続けている、成長し続けている、まだまだこんなものではないのだ。
ゲームの勝負はつくかもしれない。しかし勝敗がすべての尺度ではない。アルゼンチンのラグビーのすべてを発揮しすてば、それはもう大勝利なのだ。
どちらにせよ主役の座はアルゼンチンだ。
しかも、つぎの3位決定性は、今大会一度破れたイングランドになる。覚醒したフォードあれよあれよとやられてしまった。決して負けた気はしない。アルゼンチンにとってもオールブラックスなんかよりも実はイングランドと再び対戦し、奴らをこてんぱんにすることのほうを心待ちにしているかもしれない。フォードよ出てこい、ファレルよ出てこい、イトジェよ逃げるなよ、待ってるぜ。
追記)メンバー発表
両チームともほとんど準々決勝と同じメンバー
アルゼンチンはハーフがクベリから日本戦など先発のベロラドウに変更しただけ
オールブラックスはホワイトロックとリタリックの先発控えを逆にし、謹慎明けのテレアが11番に戻った。16番にタウケイアホも戻っている。
こうなると気を引き締めているオールブラックスの意気込みが感じられる。私の希望的予想に反して全く隙は見られない。
アルゼンチンの先発の15名をみるとフランスTOP14の選手が12名。フランスのファンには馴染みの選手たち。イングランドやスコットランドでプレーしている。