PNC ジャパン サモア戦レビュー

9月中旬とも思えぬ猛暑。炎天下のバックスタンドのバックスタンドの体感温度は体温を上まわるほどである。ピッチ上も同様であっただろう。しかも6mを超える強風という状況の過酷な環境のなかで行われた。風下からのキックは必ず風に戻される。

サモアとは15年W杯以来3大会連続同組であり、そこではこのところはジャパンがすべて勝利をあげているが、昨年のW杯前の札幌ではリーチのレッドカードもあり、サモアが勝っている。どちらもその時のメンバーからは大きく変わってきている。

ジャパンは7日のUSA戦にてゲームキャプテンの坂手、ナイカブラの怪我での離脱、という突然のアクシデントに陥った。しかしこの日はその危機も難なく乗り切り、結果は49点というサモア戦での大量得点というおまけ付きでの勝利を遂げた。

ゲームに望むに当たっての問題はゲームキャプテンをどうするかであった。坂手離脱は原田が先発に回り、ナイカブラの穴は長田が埋めることで難なくしのげるのだが、本来のキャプテン立川を先発させるとして、どのポジションにするのかである。

というのもカナダ、アメリカ戦での、藤原ー李のハーフ陣の出来が素晴らしく、この流れをサモア戦で壊したくないからである。アメリカ戦では坂手の早々の怪我で原田に替え、後半早々には山沢に替えてキャプテンとしての立川を途中からFBで投入れとした。そこで、李と立川をSO,FBとして使い分ける方法に目処をつけた。その時点ですでにこの日のキャプテン立川のSO先発、李のFB先発の構想は固まっていたと思われる。

ただし、リスクはあった。6月の新チームの始動以来、ディフェンスの連携ミスで相手からあっさりとトライを取られて続けていることであり、李のFBでの起用やバックス陣の変更などで、そのリスクはより大きいものとなるが予測された。

しかし、エディさんの決断は違っていた。アタックにだけフォーカスし、ある程度の失点は計算済みで覚悟しているように思える。そうした失点以上の大量得点を得ることで勝利するというこの対応策は非常に理にかなっていて、その通りにこのサモア戦ではうまくはまったと言える。

とはいえ、ディフェンス連携の問題からあっさりとトライを奪われるという問題は今後の課題に残されたままである。この日の3本のトライもあっさりであったし、そのほかにも2−3本は危ない場面もあった。キック距離の出ない李にとっては、強風のためなのかキックピンポンが少なかったのも助かった。この点は今後どの時点でどのような成長を遂げるのかを見届けたい。

前3人の面々に加え、ディアンズ、下川、コストリー、藤原、李、ライリー、長田というもうエディジャパンの顔といってよいメンバーは成長を続け、このゲームでもその個性が輝いた。ライリーの切れの良いランはなんどもゲインラインを突破し、長田は凄まじい運動量で右に左にポジショニングを替えている。下川もそうとうな運動量で様々な場面で顔をだして、トライに繋がっている。

ただ、エディさんは、それに満足することになく新しい力を試す機会もうかがっている。

ワクアの離脱の対応は桑野で賄うのか、チームに戻ったファカタバをロックで先発させるのかとも思えたが、先発はエピネリだった。ワクア離脱の情報が前もっってあったのだろう。初出場のエピネリは準備万端で60分以上もピッチに経ち続けた。

イタリア戦以来の登場となった岡部もスクラムで存在感を見せた。このエピネリ以外にも高橋、梶村を控えにいえれている。高橋は一度失敗したトライをとりなおしが、梶村の出場は短時間におわった。最後には松岡も出場させる余裕があった。

最後に繰り返しになるが、失点の多さの課題を今後どの様に改善していくのかである。ジョージア戦以降の失点は、25点42点28点24点である。21日のフィジーはサモアを遥かに上回る攻撃力である。天候やピッチ状況もあるだろうが、21日も25点以上の失点は覚悟しなければならない。勝利するにはそれ以上の得点力が望まれる。

追加情報

16日に山沢と松田のコンデション不良での離脱が発表された。高本幹也の招集が伝えられるが、立川、李への期待や依存がより以上大きくなっている。

 

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