ラグビーもサッカーもハットトリック
サッカーでは同一選手が1ゲームに3ゴールすることをハットトリックと言います。
ペナルティーゴールでも構いません。しかしもともと点数の入りにくいサッカーで1試合に3ゴールをあげることはなかなかなく、非常に優秀な選手でもそのチャンスは稀です。
また6得点を上げれば、ダブルハットトリック、9点はトリプルハットトリック。
サッカーの方が有名ですが、ラグビーでも一つのゲームで3トライすればやはりハットトリックと言います。ゴールではありません、ダンカーターなどキックの名手は1ゲームに5回も6回もペナルティーゴールを決めるのですが、トライをしたものだけです。
ハットトリックのトリックとは
ハットトリックという言葉は考えてみれば変な言葉です
確かに3得点は「ハッとするほどトリッキー」かもしれませんが、そんな和製英語の訳がありません。
本場英国でもハットトリックと言います。
英語表記は hat trick
trick は日本語でもトリックですが、「騙す企み」や「イカサマ」などあまりに良い意味では使われません。
しかし英語圏では、手品師の見事な手さばきなどをトリックと呼びます。軽業師のジャグリングや、バランスの芸などの芸当もトリックと呼んでいます。日本ではマジシャンや芸人など人を楽しませる職業の地位は低く評価されがちですが、欧米では非常に尊敬される職業です。人を楽しませることなんてなかか普通の人にできない特別な能力で賞賛に値することだからです。
ですから
ハットトリックのトリックの意味は
賞賛に値する素晴らしい芸当
これでスッキリです。
ハットトリックのハットの意味
しかし、なぜハットなのでしょう
HAT は帽子のことです。日本では帽子は全て帽子ですが、英語では似たような帽子の言葉にCAPがあります。ハットとキャップは全く違うものです。
hatは周りにひさしのある帽子

CAPはひさしがないか前だけにしかない帽子

ボールペンの蓋や、瓶のフタなんて頭に乗せるものや何かに蓋をするものもキャップと言います。
ラグビーではtest matchに出場できれな記念にキャップが送られその数はキャップ数で数えられます。サッカーでも同様なのは別の記事を参照ください。
また日本では刑事ドラマのチームのリーダーや雑誌の編集長などをキャップを呼んだりしますが、こちらはキャプテンの頭の部分だけを省略して表現したものでしょう。
それではハットトリックとは
ハットトリックという用語は、実はやはり英国発祥のスポーツクリケットの用語です。

クリケットは野球の元になったスポーツで英国では伝統的な上流階級のスポーツでした。
野球のようにピッチャー(クリケットではボウラーと言います)がバッターに向けて投球し、バッターが見逃したり空振りして写真にあるような3つの板のうち一つを倒せば、いわゆる三振になります。
同じ回に3人の打者を3球で連続アウトにすることをハットトリックと言います。これは大変難しいプレーです。なぜなら、野球はバッターが打ち損じバットに当ててファールになってもストライクになりますが、クリケットにはファウルがありません。つまり360度どこにボールがとんでもフェアです。また野球ではストライクコースであって空振りしてもクリケットでは棒が倒れなければストライクになりません。ただしファウルチップが棒に当たって倒れればアウトです。また6球ごとに投手は順番に交代になります。「江夏の9球」の数倍難しい偉業です。
こんな偉業ですから、達成した選手にはゲームが終わった後に記念品としてツバのある帽子がプレゼントされることになりました。
クリケットハットはこんな形のものです
これがハットトリックの始まりです。
サッカーやラグビーだけでなくホッケーやダーツなどでもハットトリックはあります。