スコットランド ちょこっと一周(アラウンド) 世界の終わりと白馬亭

日本のラグビーもクライマックスを迎えてきて、贔屓のチームのある方は、負けたら終わり、そこで「世界の終り」になってしまいます。

英国にはなんといろいろなところに「世界の終わり」というPUBがあります。

ここエジンバラのロイヤルマイルのパブは400年以上も続いています。いろいろな小説などにも良く出てきます。

2-8 High Street, Edinburgh
Tel : 0131-556-39282-8

 

世界の終りのいろいろ

一方、日本で今「世界の終わり」と言えば、「SEKAI NO OWARI」。ロックバンドです。カタカナで「セカオワ」のことです。独特の世界観があって良いと思います。

ただ、私のようなオールドファンはスキータ・ディビスの1963年のヒット曲、「この世の果てまで THE END OF THE WORLD 』がしっくりきます。実にシンプルで悲しくグッときます。

歌詞だけは今やパブリックドメイン化しているので、ここに載せることができます。

Why does the sun go on shining
Why does the sea rush to shore
Don’t they know it’s the end of the world
‘Cause You don’t love me anymore, Yes

Why do the birds go on singing
Why do the stars glow above
Don’t they know it’s the end of the world
It ended when I lost your love

I wake up in the mornin’ and I wonder
Why everything’s the same as it was
I can’t understand, no
I can’t understand
How life goes on the way it does

 

「世界の終わり」は英語で書くと「 END OF THE WORLD」か「THE WORLDS END」のどちらかになりますが、この二つの意味は全く異なります

THE END OF THE WORLD 世界の終末=時間的最後です。一方のTHE WORLDS END は世界の果て=空間的最後です。

55年前のヒット曲ですが、邦題の「世界の果てまで」は誤訳ですね。

(村上春樹の小説「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は、世界の果てでなく、最後のパラレルワールドの話でした。冒頭にこの詩がエピグラフで紹介されてします)

PUB「世界の終り」に話を戻します


あっという間に結構、脱線したので話をエジンバラのPUB  「世界の終わり」に戻すと、

この店の名は「THE WORLDS END 」です。

luxstorm / Pixabay

エジンバラのど真ん中がなぜ[世界の果て]なのかというと、店ができた当時、スコットランドはイングランドと戦争をしていて、エジンバラの城壁がここのパブのところまでしか無かったからでした。このパブの一歩先は城壁の外側でイングランドの敵兵がたくさんいて、もう安全でななく、安全な世界はこのパブまでだったからです。

今でも140席ある店内はいつも満員です。

白馬亭 ホワイトホースセラー

エジンバラで歴史的にもうひとつ有名な店は、白馬亭です。
こちらは酒場と宿屋を兼ねた作りになっています。こちらもエジンバラの中心に位置します。



1745年、ジャコバイトの兵士たちはこの宿で集結し作戦を練ります。そしてPUB「世界終わり」の角から自由と独立を求めて、イングランドとの戦いに向かったのでした。


ブレンドウイスキー「ホワイトホース」の創始者ピーター・マッキーはレストレスマッキー(不眠不休のマッキー)と呼ばれるほど、ハードワーカーでさらに偏屈で頑固者で有名です。実家はこの白馬亭のお隣です。そのピーター・マッキーは長年の蒸留所の夢を叶え、ブレンドウイスキーを作りますが、その名前を「ホワイトホース」とします。
ですから「ホワイトホース」の名前にはスコットランドの自由と独立を求める思いやこだわりが詰まっています。

しかし今、ホワイトホースの源種を蒸留していた、スペイ川のクライゲラキ蒸留所は、1988年フランス資本のバカルディ社に買収されてしまいました。クライゲラキ蒸留所のホワイトホースの看板はすべて取り外されてしまっています。

ピーターがもし生きていたら、それこそ「世界の終り=末期(マッキー)」と思ったことでしょう。(面白くないシャレですみません)

なお、バカルディ社は、米国で人気のスコッチ、デュワーズも買収していています。今、クライゲラキはデュワーズにもブレンドされています。

「ホワイトホース」、幸いにも名前は残りました。
その名前にはスコットランドの自由と独立を求める思い。頑固者ピーターの想いが、込められています。日本では今1000円ほどで買えるコスパの良いウイスキーですが、この思いを知ってかみしめて飲めはその味わいもまた格段に違ってきます。

 

 

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