スコットランド ちょこっと一周(アラウンド) 第九回 スクーンの石

  1. 2019W杯で日本の同組となるライバル、スコットランド。日本が勝つためには相手の事を知り尽くしておかねばなりません。このコーナーでは、スコットランドの中を巡りながら、知っているようでしらないスコットランドをより身近に感じられるためのトリビアをちょこっとづつ紹介します。

前回はカーリングストーンの話でしたがスコットランドにはもっと有名な石「スクーンの石」があります。

聖なる石 スクーンの石

230キログラム(ラグビーのプロップ2人分?)もある長方体の石ですが、1500年もの歴史を重ねて、既に角は丸くなっています。

 

 

 

 

もともとはエルサエムでの聖ヤコブの伝説も伝わっていて、この石には「聖なる力」が宿っているとされています。
またケルトの神話では、新国王がこの石の前で戴冠するときに、その価値に値するかどうか石が叫び声を出して判定するということになっています。

5世紀ごろアイルランドからキンタイア半島を経て、スコットランドの前身であるダリルアダ王国に持ち込まれます。
そして当時の中心地、スクーン宮殿におさめられます。ダリルアダ王国から、その後代々のスコットランド国王は、このスクーンの石の上で戴冠式を行いました。現在のパースの近くです。

スクーンに置かれたことから、聖なる石はその後「スクーンの石」と呼ばれることになりました。
スコットランドにとってこの石は、日本でいうところの三種の神器の様なものです。

イングランドの圧政の象徴

スコットランドに取っては宿敵、イングランドのエドワード1世が1297年のスコットランド侵攻の際に、
この大事な石を戦利品としてロンドンに持ちかえってしまいます。(単なる嫌がらせでしょうか)

それだけならまだしも、彼はスクーンの石をロンドンのウエストミンスター寺院の玉座に組み込こみます。

その後代々700年近く、イングランドの新国王は、戴冠式を粉うたびに、スクーンの石を尻にひいて戴冠式を行なってきました。

これはスコットランドにとっては屈辱意外の何物でもありません。

 

 

スクーンの石奪還作戦

スコットランド人にとっては、このようなことは面白く思わない人も多くいますので、
その後700年間の間にスコットランド人によって盗み出そうという事件が何度かおこります。

ただし、その試みは都度失敗します。
公園で雨ざらしになっていたなど、意外なところで石は発見され、またウエストミンスター寺院の玉座に組み込まれてしまいます。

最近では1950年にその事件が起こっています。

1950年のクリスマスの数日前のこと、4人の学生がウエストミンターに忍びこみ石を運び出すことに成功します。
しかし、車に運びここもうとした際、床に落としてしまい、石は真っ二つに割れてしまいます。
捜査の手を逃れて、スコットランドにまでたどり着きます。そして、グラスゴーに秘密裡に持ちこまれ、2つをボルトで止めようともこころみらます

当時はスコットランドとイングランド間国境閉鎖など大掛かりな捜索もされました。

操作の手が迫ってきて、犯人たちはしかたなく石を手放すことにします。
石は1年半後1952年にになってアープローズの祭壇の元にあるのが発見されます。

この時の件がプロットとなった映画が公開さています(日本未公開)

 

お菓子のスコーン(ナイフはNG?

stux / Pixabay

 

 

 

 

 

このスコーンの語源は、この「運命の石、スクーンの石」から来ています。
丸型もありますが、単なる長方体をしてるスコーンも多いですね。

英国ではスコーンを食べるときは必ず手で縦(上下)に割ってクリームやジャムなどをたっぷりつけて食べます。

Zichrini / Pixabay

 

 

 

 

 

 

ナイフで横に真っ二つにするとか、食べやすいように細かく切っていけないことになっています。(論争もあります)
それは「スコーンは王座だから刃物なぞをさしてはいけない」ということから来ているという話です。
また、ジャムを先に塗ってからクリームをつけたほうが良いのか、クリームが先でジャムは後に塗るのか、こちらも論争が耐えません。

石の返還

1990年代後半、トニーブレアの労働党が躍進します。時の首相ジョンメイヤーは、世論の要望に応え、1996年にスクーンの石もウエストミンスターから外しスコットランドに返します。いまではエジンバラ宮殿におかれています。エドワード1世からなんと700年以上の年月がたってしまいました。

その後1997年労働党のブレア政権が誕生します。トニーブレアはエジンバラ出身です。それまでの英国の古い体質を変えるため様々な改革を行います。スコットランドの自治を認め、
1999年選挙も行われ議会も復活します。

ただし、この石ですが前に話した通り、何度も盗み出されては、不思議に突然戻ったりしております、
今、エジンバラにもどった石が、本当のスクーンの石かどうかは実のところ定かでありません。
そもそも割れてしまっては聖なる効力はもうないのかもしれません。
(もしや、落とした段階で割れてしまうなどこの段階でもはや偽物だったのか?)

スコットランドの山奥のどこかにに、本当の「聖なる石」が隠されているとう噂もまことしやかに流れておます。

こちらの小説では本物のスクーンの石はずっとスコットランドに隠されているとう設定です。

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