1,はじめに
この2つの曲は、アイルランドでは有名な、プロテストソングである。
「ケビン・バリー」も「ロディ・マッコリー」もアイルランドの自由のために身を捧げた若者で、2人ともイングランドなどの反対派にみせしめのため処刑された。
1920年、ケビン・バリーは医学生でラグビー選手でもあった18歳の夏、イングランド軍の食料補給を寸断する作戦でアイルランド協和国軍の分隊に参加し、捕まって1920年11月1日に処刑された。政治犯や軍人として扱われず、一般市民として無念の絞首刑であった。これをきっかけに統一分紛争は、抗争は激化しする。その月の20日には、クロークパークでの試合中に英国軍が無差別に銃を乱射した「血の日曜日事件」が起こっている。ケビンマリーが処刑された、マウントジィ刑務所はクロークパークの近くにある。
ロディマッコリーは1798年のウルフトーンらの「ユナイテッドアイリッシュメンの蜂起」に参加したとされ、潜伏中に仲間に裏ぐられて、捕まり、1800年の2月28日、トゥーム橋のたもとで見せしめのため処刑されたとされている。自治権闘争の際の1898年に作られたものであり、その後のアイルランド闘争の中でもよく歌わた
2,アンジジェラの灰
この2曲はクランク・マコートのベストセラーの自伝で、アラン・パーカーの映画にもなった「アンジェラの灰」で取り上げられている。
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「アンジェラの灰」の父マラキは政治的には北部アルスターのナショナリストという立場なのだろう、闘争に関与してニューヨークに逃げてきて、そこでアイルランド南部出身のアンジェラと知り合い2人は結婚。1930年のフランクを筆頭に子供が次々にできる。
マコート一家は食費や家賃だけでなく暖房代もないような貧困にあえぐ一家で、生まれた子供も次々に死んでいってしまう。父マラキはアルコール依存症で、生活力がなく金曜日にもらった給料を全部んでしまって、泥酔状態でこの2曲を大声で歌いながら帰ってくる。しかし、志だけは高くアイルランドを心から愛しており、子どもたちに誇りたかかくアイルランドの戦士になるように教育している。子どもたちにもこの2つの歌を歌いながら行進させる。シラフのときには、アイルランドの古代の英雄クーフリンの話を面白おかしく聞かせる。
しかし、貧困のためにアンジェラの故郷リムリックでの生活を余儀なくされる。そこではマラキのような北部の人間は、色めがねでみられ仲間ができない。それでもフランク達は極貧ではあるが、夢をもって成長する話である。
3,ケビンマリー
この2曲は60年代の英語圏でのフォークリバイバルや社会運動で民衆の間で歌われた。ピートシーカーは「ケビンマリー」を
レーナードコーエンのライブ
Kevin Barry In Mountjoy jail one Monday morning High upon the gallows tree, Kevin Barry gave his young life For the cause of liberty. ある月曜日の朝、マウントジョイ刑務所 絞首台の上 ケビン・バリーは若き命を捧げた。 自由のために、 Just a lad of eighteen summers, Still there's no one can deny, As he walked to death that morning, He proudly held his head on high. たった18歳の少年だったが、 誰も否定できないまま。 あの朝、死へと歩みながら、 彼は誇しく頭を高く掲げてた。 Chorus Shoot me like an Irish soldier. Do not hang me like a dog, For I fought to free old Ireland On that still September morn. アイルランドの兵士の様に銃殺を 犬のようにには吊るさないで アイルランドへ自由をと戦かった あの静かな9月の朝 All around the little bakery Where we fought them hand to hand, Shoot me like an Irish soldier, For I fought to free Ireland 小さなパン屋のそばで 手と手に戦った アイルランド兵士のように銃殺を アイルランドの自由のために戦ったのだから Just before he faced the hangman, In his dreary prison cell, British soldiers tortured Barry, Just because he would not tell. 執行人を迎える前 暗い独房で 英国兵士はバリーを拷問した 何も言わないということだけで The names of his brave comrades, And other things they wished to know. Turn informer or we'll kill you Kevin Barry answered “No". 勇敢な同志たちの名前、 そして彼らが知りたがっていた他の事柄。 密告者になれ、さもなくば、殺ぞ。 ケビン・バリーは答えた「NO」 Proudly standing to attention While he bade his last farewell To his broken hearted mother Whose grief no one can tell. 誇らしげな直立不動の姿勢で 傷心の母に 最後の別れを告げる その悲しみは言葉にできない For the cause he proudly cherished This sad parting had to be Then to death walked softly smiling That old Ireland might be free. 彼の誇り高く抱いていた大義のため この悲しい別れは避けられなかった 静かに微笑んで死へと歩く 古き良きアイルランドが自由になるために。 Another martyr for old Ireland, Another murder for the Crown, Whose brutal laws may kill the Irish, But can't keep their spirit down. 他の古きアイルランドの殉教者、 他の王室の殺人事件、 残酷な法律はアイルランド人を殺しても、 彼らの精神を抑えることはできない。 Lads like Barry are no cowards. From the foe they will not fly. Lads like Barry will free Ireland, For her sake they'll live and die. バリーのような若者は臆病者ではない。 敵から逃げることはできない。 バリーのような若者がアイルランドを解放するんだ そのために、彼らは生き、死ぬ。
ピートシーカーやレーナードコーウェンらのバージョンでは、冒頭の歌詞が「Early on a sunday morning」となっており、アイルランドで歌われるものと違っている、また、下記の印象的なコーラス部分はアイルランドでは歌われないが、ピートシーカーらのバージョンでは繰り返し歌われそこは大合唱になる。
Shoot me like an Irish soldier. Do not hang me like a dog, For I fought to free old Ireland On that still September morn.
4,ロディマッコリー
彼は1798年反乱において、ユナイテッド・アイリッシュマンとして戦うが、捕虜になり800年2月28日、「トゥーム橋付近」で絞首刑になる。
トゥーム橋はアルスターのアントリウムのネイ湖のバン川にかかる橋であり、現在は残念ながら近代的な橋になっている。
1898年にエスナ・カーベリーの曲によって紹介され、その後の独立紛争の際に歌われた。そして、1960年代のフォークリバイバルでも盛んに歌われた。クランシーブラザーズは「ロディマッコリー」を取り上げている。「ケビンバリー」同様にライブの際にはコーラスの部分は会場全体の大合唱になってる。
[Verse 1] Oh see the fleet foot host of men Who sped with faces wan From farmstead and from fishers cot Along the banks of Bann They come with vengeance in their eyes Too late, too late are they For young Roddy McCorley goes to die On the bridge of Toome today 足早に駆けつける男たち 顔は青ざめて 農場や漁師の小屋から バン河の岸辺を急ぐ 復習に燃えやってくる 遅すぎる、遅すぎる 若いロディ・マコーリーが死ぬ 今日トゥームの橋の上で [Verse 2] Up the narrow streets he steps He smiling proud and young About the hemp rope 'round his neck The golden ringlets clung There's never a tear in his blue eyes Both glad and bright are they For young Roddy McCorley goes to die On the bridge of Toome today 彼は狭い路地を上っていく 誇らしげで若々しく微笑んで 首に巻かれた麻縄に 金色の巻き毛が絡みつく 彼の青い目には涙は一筋もない 喜びと輝きに満ちている 若いロディ・マコーリーが死ぬ 今日トゥームの橋の上で [Verse 3] When the last stepped up the street His shining pike in hand Behind him marched in grim array A stalwart earnest band For Antrim town, for Antrim town He led them to the fray For young Roddy McCorley goes to die On the bridge of Toome today 最後の一人が通りを歩み始めた時 輝く槍を手に 彼の後ろには厳かな隊列を組んで行進した 勇敢で真摯な一団 アントリムのために、アントリムのために 彼は彼らを戦いへと導いた 若きロディ・マコーリーが死ぬために 今日トゥームの橋の上で [Verse 4] There's never a one of all your dead More bravely fell in fray Than he who marches to his fate On the bridge Toome today True to the last! True to the last He treads the upward way For young Roddy McCorley goes to die On the bridge of Toome today 君たちの死者の中で 勇敢に戦死した者は一人たりともいない 運命へと突き進む者よりも 今日トゥーム橋で 最後まで忠実に!最後まで忠実に 彼は上昇の道を歩む 若きロディ・マコーリーが死ぬために 今日トゥーム橋で
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