ラグビー現代用語の基礎知識2025 き

2025年はノックオンがノックフォワードとなり、ゴールラインがトライラインという呼称に統一されるなどのエポックメイキングな年になった。これにかかわらず、ラグビーでは時代により新しい言葉が出たり消えたりしている。そこで、最新の言葉だけでなく参考としてに過去の言葉もできるだけ拾い上げ、ここに ラグビー現代用語の基礎知識を全面的に改定する。

あいうえお順にはじまり、5月までの完成を目指す。ある程度の段階で都度、公開はするがその後も都度加筆や修正をおこなう。履歴は残さない。

 

 

キアランリード Kieran Read (人物)

NZ出身の元ラグビー選手で世界のラグビー選手から尊敬されるレジェンドの一人。現役のポジションはNO8。キャップ数は128。リッチー・マコウらと共に第三列を形成し、W杯2連覇に貢献、マコウ引退後、オールブラックスのキャプテンを引き継ぐ。2019年W杯後トヨタで2年間プレー、ここでもキャプテンを努めた。世界優秀選手の受賞歴もある。

キーウイ KiWI(自然、文化)

ニュージーランドにのみ生息する小型の鳥であるが、飛べない。非公式ながらニュジーランドの国鳥になっている。ニュージーランド住民のことを、砕けた言い方で親しみをもってKIWIと称する。
ラグビーのアパレルブランドのカンタベリーのシンボルはこのKIWIが3匹並んだものである。

果物のキウイはこのKIWIと形がにていることから名付けられている。

 

ギオンス 相模原ギオンスタジアム (スタジアム)

1998年の神奈川国体時に設立され、2014年からネーミングライツで
相模原に本社を持つ総合物流会社の(株)ギオンが命名権を獲得し、現在の名前になっている。
三菱相模原ダイナボアーズの本拠地である。15300人収容。駅からのアクセスはよくなくシャトルバスが運行されている。

キクタニタカシ 菊谷崇 (人物)

元ラグビー選手で日本代表のキャプテンも努めた。現在はスポーツを通じての人材形成などを推進するめ自ら会社を立ち上げ運営している。U20などの日本代表合宿などでも、ラグビーとの向き合い方などを講義している。またWOWOWなどで解説者としても活躍。

キタカゼ 北風 (文化)

早稲田大学ラグビー部(正しくは蹴球部)の部歌である。ゲームの前のロッカームを出る最後に選手だけで歌われる。早明戦などの大きなゲームの前には感極まって歌いながら涙を浮かべる選手も多い。そんなときは歌うと言っても、大声で音程も揃わずどんどん早くなりほとんど歌詞はほとんど聞き取れない。
この歌が歌い終わるのを見計らって、外にいるマネージャーがロッカールームのドアを空けることとなる。

歌詞は下記の通り

北風のただ中に
白雪踏んで 球蹴れば奮い立つ
ラグビー早稲田 抜山の威力
蓋世の意気 汝の姓数あれど
早稲田ラグビー ラララララ
早稲田ラグビー ラララララ

北風(小説 文化)

スポーツジャーナリストの藤島大の著作である。藤島大の著作はコラムが多いが、だんとこの作品は小説である。もちろん早稲田大学ラグビー部を舞台にしている。無骨で不器用ながらも全力を尽くす早稲田ラグビーの匂いがただよう好作品である。

集英社文庫 2018年

キタジマチュウジ 北島忠次(人物名)

日本ラグビー界を形作り支え続けた超重要人物の一人。1929年から死去するまでの67年明治大学のラグビー部の監督を努めた。「前へ」という言葉は明治ラグビーだけでなく、人生哲学としての精神的支柱として残り続けている。

温かみがあり懐が深く、多くの他校チームが八幡山のグランドに受け入れ練習した。練習やチームの運営は選手の自主性に任せたが、不正なプレーや行為は絶対に許さなかった。

さまざまな逸話が残っている。
戦後、食糧難の折、グランドを自ら耕しささつまいも栽培し、選手たちにくばったという話である。
オーブラックズが来日した際には、明治の選手をつれてキャンプ場までノーアポで勝手に行き、スクラムを組んだ話などは語り継がれている。事実である。
法政大学との八幡山での練習試合の当日、大雨だったので、法政は勝手に中止と思い足を運ばなかったが、北島は大雨でもゲームはやるものだと、すべてを丁寧に準備して待ち続けていた。これれ両校関係が崩れ、対抗戦の分裂の遠因になっているという話もある。

キック  Kick  (技術)

ラグビーはフットボールである。ボールを足で蹴ることが基本である。しかし、キックしたボールは相手に渡ることが多い。また、楕円球であるのでキックのボールコントロールは難しい。このことからラグビーのインプレーでキックをつかうのは一か八かのプレーになる。
(サッカー通からは、一か八かならばどんどんインゴール(トライゾーン)に蹴り込んでミスをさそってあわよくばトライという戦法をとればもっとトライは増えるのではないかという指摘があるが、そのとおりかもしれない。)
もちろん、試合はキックオフから始まり、キックにより点がはいる。そもそsも初期のラグビーは得点はキックによるものだけで、トライはキックでゴールを狙うという権利を獲得するだけでああった。トライということばの由来もここにある。

キッカー Kicker (戦術、ポジション)

一般名詞ではキッカーとはキックをする人であるが、ラグビーのゲームでは予めキックオフやPKやGKを行う者を、任せておく者である。近い距離と長い距離で数人で分担することなどある。
SOやFBなどのポジションはキックの得手な選手を配置するので、キッカーはSOやFBの選手が任されることが多い。

しかし、近年ノックダウン方式のチャンピオンシップの大会などで、延長戦を終えても同点だった場合に、22mラインの中央から交互にゴールを狙いキックを行って勝ち負けを決めるというレギュレーションが時々ある。ワールドカップでも確か採用されている。この時は、普段キックをしないFWの選手に順番がまわることがあり、FWでも練習はしておくことも必要である。

ラグビーは組織や集団で行うスポーツであるが、結一プレースキックだけは個人プレーである。このときキッカーはスタジアムの全員の注目をうける。メモリアルゲームや親善試合の時など、引退選手などを最後に特別に1度だけキッカーとしてゴールを狙わせる粋なはからいもしばしば行われる。

キックオフ Kick Off(ルール)

試合開始の意味である。ラグビーではレフリーの笛のあと、試合前のコイントスでボールを選んだチームが中央からドロップで相手陣に蹴ることでゲームが始まる。
このボールをどこに蹴るかも戦術面から注目される。深く蹴って相手にとらせて、WTBなど足の早い選手に追わせて、プレッシャーをかけるのか、浅くコンテストキックを蹴ってボールの再獲得をねらうのかなどである。このキック1本だけで、どのようなゲームが展開しそうなのかを占うことも可能である。

しかし、深く蹴りすぎた場合、相手がトライゾーン(インゴール)で抑えるか、そのままエンドラインを超えてしまった場合など、さらに直接タッチを切ったり、10m届かずにキック側のチームが先にボールに触れたときなどは、相手ボールのセンタースクラムになってしまう。実はスクラムと決まったわけではなく、キックのやり直しを選択することも可能であり、レフリーは必ず「オプション」を告げるが、答えは殆どスクラムと決まっている。

さらに22mライン以内でマークと叫んでキャッチできれば、その場からのフリーキックが認められるように変更になった。ますますキッカーの技術の重要性が増してきている。

キックカウンター Kick counter  (ルール、装置)

正しくはショットクロック。

2025年のルール改正の重要な変更点の一つで、ペナルティキック、
ゴールキックともに60秒以内でキックしなければならないことになった。
もとももペナルティは60秒以内。ゴールキックは90秒以内に蹴ることになって履いたが、曖昧であった運用を厳しくしたかたちである。そこで導入されたのが、キックカウンターであり、トライのあとと、ペナルティゴールを狙うとレフリーに告げた時から、60秒のカウントダウンが始まる。しかもそれが会場内の大スクリーンに映し出されるのである。

統括するワールドラグビー側のゲームをよりスピーディーにスリリングにするとう方針はわかるが、キッカーにとっては負担が大きくなっている。今季のトヨタの松田力也など、名選手でも微妙な心理状態に影響してしまっているのは明らかである。

 

キッキングゲーム Kickinng  Game(戦術)

ラグビーのゲームの組み立てをキックを中心におこなう戦術。イングランドとくに得意としている。ディフェンスを重視し、ペナルティをもらえば確実にPGをきめて3点づつ積み重ねる。イングランドにはノートライでもPGとDGだけで勝ったゲームが多数ある。

キックチャージ KIck charge(テクニック)

キックする相手にむかって両手をあげて突進し、体のどこかに当て阻止するテクニック。とても勇気のあるプレーであり、観客や仲間からは称賛されるが、当たった部分が非常に痛いのはもちろんである。だがなぜか、チャージを成功させた選手は誰一人いたがる顔を見せるものがいない。手に当たったとしてもノックオンにはならない。

正しくはチャージダウン。日本では短く「チャージ」だけで使われている。
このプレーがなぜチャージというのかはなぜなのかは、思いつかない。チャージダウンは無効化無力化するという意味なので、キックを無効にするということかもしれない。

キックパス Kick Pass (戦術、テクニック)

 

手でパスを放るのではなく、足でキックして味方の選手にボールをパスするテクニック。手のパスよりも早く長いパスが供給される。しかしそれにはとても高いスキルが要求され、成功することは難しい。したがって、主にアドバンテージが出ている状態で一か八かで繰り出される事が多い。
また、キックパスは中央部からタッチ際に蹴ることが多い、サッカーのセンタリングとは真逆である

 

キックピンポン Kick Pinpon(またはキックテニス)(戦術)

相手陣に深く蹴り込んだボールをううまく処理され、蹴り返すと、お互いの22mライン近辺のキッカー同士の蹴り合いにはまりこむことがある。これをキッピンポン(キックテニス)と俗によばれる現象である。間にはさまった他のメンバーはすべてオフサイドの位置なのでどうすることもできない。意地の張り合いのような形になってしまうことも多い。

ギネス Guinness  (文化、企業名)

1789年創業のアイルランドを代表するスタウト。スタウトというのは黒ビールの種類である。そてもクリーミーな泡が特徴で、頼んでから泡が落ち着くまで1−2分は飲むのを我慢しなくてはならない。
個人的に一番好きなビールである。特に冬場に飲むのがあっている。

6ネイションの冠スポンサーを続けている。最近は健康志向からかギネス0.00というノンアルコールビールを売り出している。大会の冠スポンサーはありがたいのだが、グランドの中央に描き出されたトレードレードマークが黒色が選手のジャージについてしまって、ジャージがみぐるしくなってしまうのはいかがなものか?

ちなみにギネス記録も創業者のアーサーギネスの考案である。

ギャップ  Gap (戦術)

アパレルのブランドではなく、ディフェンスの隙間のことである。

ディフェンスラインは全員が等間隔で一直線になってそろってプレッシャーを与えることで有効に機能する。一人が飛び出すとその間にできるのかこのギャップで、オフェンスがそこを見逃さずにアタックできれば、突破しゲインを稼ぐことが可能である。
最近では、逆にわざとギャップを作り、そこに相手を誘い込んで防御するなど高度なディフェンステクニックも現れている。

キャプテン Captain (ボジション)

チームキャプテンとゲームキャプテンがいる。ラグビーではゲームが始まれば、監督やコーチは、ハーフタイムまでは、一切選手に指示をすることができない。ペナルティをもらった後の再開プレーの選択など、ゲームを仕切るのはゲームキャプテンに任される。レフリーの指示や注意もキャプテンを通して行われる。キャプテンには、メンバーの信頼や統率力はもとより、ゲームの流れを読む冷静さや、コミュニケーション能力が求められる。国際マッチでは英語力も必要になる。

キャプテンシー  captaincy (文化、スキル)

 

上記のようなキャプテンとしてのふさわしい役割、責任、行動などさす。

 

キャプテンズラン Captan’s RUN (トレーニング、文化)

試合前日の最終練習は、監督やコーチではなくキャプテンが指揮をとり、試合を想定した練習を行う。キャプテンが指揮するのでキャプテンズランと言う。非公開で行われることも多い。次の日に試合が始まればハーフタイム以外は監督コーチは何の指示もできないので、キャプテンが練習を指揮するのは全く理にかなっている。

しかし、もともとラグビーには監督やコーチはいなく、選手がキャプテン中心に自主的に行う競技であった。コーチは雇われた者でしかなかった。

キャリーバック Carry BACK(ルール)

車輪のついたカバンの「carry bag」ではない。そもそもcarry bagは和製英語で,海外では通じない。正しい英語ではtrolley case。
それはさておき、ラグビーのCarryBACKは、自ら自陣のトライゾーンにも持ち込んでグランディングすることである。相手ボールの5mスクラムで再開になる。
サッカーでいうところのオウンゴール(オウントライ?)にはならない。

 

 

キョウカイ 協会 =日本ラグビー協会のこと(組織)

ラグビー関係者でラグビーは好きで、日本代表は応援するが、ラグビー協会は好きではないという人が多い。
保守的で風通しがあまり良くない組織という評判がたかい。

「おっさんの掟」参照

『おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』 小学館新書 新書
谷口 真由美 (著)

ギョウザミミ 餃子耳(文化)

キョウトセイショウ 京都成章高校(学校名、チーム名)

高校ラグビーの強豪校で、花園常連校。特徴的な黄色と青のジャージ。長年率いてきた名物監督である湯浅監督は2015年に勇退した。
京都成章出身には有名なラグビー選手が多い。特徴的なのは全員が素晴らしいタックルスキルを身に着けてていることである。

矢富、山本、坂手など、若手では、帝京から神戸へいった本橋、京産からトヨタに行った三木などである。

ギルバート Gilbert (用具、ブランド)

1823年創業のラグビーボールの老舗、ラグビー市のラグビー校の近くにあった靴屋である。最初のボールは、フットボール用に豚の膀胱を縫い合わせたものだった。そのため楕円形をしている。

第二回ワールドカップより、ワールドカップの試合球はすべてギルバートが採用されている。現在日本では(株)スズキスポーツが代理店を行っている。

 

キンテツ  近鉄 近鉄ライナーズ (チーム名)

東大阪市の花園ラグビー場を本拠地とするラグビーチーム。現在リーグワンのDIV2に所属。かつては花園ラグビー場は近鉄の所有で、近鉄花園ラグビー場と名称だった。2015年に東大阪市に譲渡されて、現在は東大阪市が所有している。
チーム名のライナーは親会社の近鉄特急の名前からである。

近鉄のラグビーの歴史は古く、社会人大会優勝8回。日本選手権の前進NHK杯にも出場。昭和42年と43年には日本選手権2連覇を達成している。

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