2025秋のアイルランド、ウェールズにあわせて、事前情報をまとめて紹介する特集を始めます。この機会に過去掲載の記事も再編集して掲載します。
今回はダブリンのアビバ・スタジアムで歌うべき曲を紹介する。
目次
1,アイルランドコール
日本でのW杯ですっかり馴染みになったアイルランドのラグビーアンセム。数あるアンセムの中でも一番力強く覚えやすいのではないだろうか?
実はアイルランドの国歌ではない。
北アイルランド問題を抱えているアイルランドだが、代表チームは一つである。これは、国籍主義ではなく協会主義をとっているラグビーで、北アイルランド問題より先に協会や代表チームができていたという歴史的背景がある。ただし、北アイルランド問題を配慮して、だれもが歌える歌として1995年に作られた。
Ireland's Call Come the day and come the hour, Come the power and the glory! We have come to answer our country's call, From the four proud provinces of Ireland Ireland, Ireland, Together standing tall! Shoulder to shoulder, We'll answer Ireland's call!
2,兵士の歌 The Soldier’s Song
(Amhrán na bhFiann アウラーン・ナヴィーアン )
こちらがアイルランド共和国の国歌である。他国での開催時は、上記のアイルランドコールのみが歌われるが、ダブリンのアビバスタジアムでのホームゲームは、アイルランドコールの前に演奏され、都合2曲のメドレーになる。
この曲は1916年の復活祭蜂起を発端とする、独立運動のテーマ曲であった。映画「麦の穂を揺らす風」でもイングランド政府軍に次々に拷問される仲間を励ますために、獄中で歌われるというシーンがある。
この兵士の歌のリフレイン部分がアイルランド共和国の国歌になっている。
現在のアイルランド共和国大統領、マイケルヒギンズ(もう84歳という高齢、大柄な選手に囲まれると、まるでアイルランドの妖精のようである)は毎回テストマッチに出向かれて、選手とレフリーに全員に挨拶するのだが、彼が登場する際のファンファーレにも、最後のフレーズ部分が使われてもいる。
英語の歌詞も付いているが、アイルランド語で歌うのが正しい。しかし、日本人にはアイルランド語は難しいので、「空耳メソッド」で覚えておきたい。(勇ましく意思や思想を反映した本体の意味が台無しだが、交流を深めるためを理解願いたい)。ただし、歌う時と場所は気にかけるべきである。
アイルランド語 Sinne Fianna Fáil a tá fé gheall ag Éirinn, Buion dár slua thar toinn do ráinig chugainn, Fé mhóid bheith saor. Sean tír ár sinsir feasta Ní fhagfar fé'n tiorán ná fé'n tráil Anocht a théam sa bhearna bhaoil, Le gean ar Ghaeil chun báis nó saoil Le guna screach fé lámhach na bpiléar Seo libh canaídh Amhrán na bhFiann. 意訳 我ら兵士は、祖国の誓いの下、 波間を越えて集いし仲間だ 自由を求めて この祖先の地は、永久に 暴君にも奴隷にも屈しない。 今夜、私は危険の淵へと参らん! ゲールへの愛を胸に、生死を賭ける 銃弾の下で、歓喜の叫びを上げながら 今、我ら、「兵士の歌」を歌う。
空耳メソッド 品増えるなら、頭皮、ハゲ、営利 部員 だるす、 果てた 労 憎い 笛 ヘボいべせ、ちゃっちいなシンセ 売るはずだ 2音 伸べて、要らんのう 均等 ああ 退くたあ 変さ バナナ植える 誰が寝る 玄関 馬主 乗せる 伊賀人救える 七飛び零 社 2課に 割ろうな瓶
3,フィールズ オブアセンライ The Fields of Athenry
この曲がアイルランドラグビーチームの応援歌(サッカーでも歌われる)。2019年W杯オールブラックスとの対戦の際には、日本でもスタジアム全体の大合唱でオールブラックスの「カパオパンゴ」をかき消すように歌われた。
どちらかというとアイルランドのピンチの際に、選手を励ますために自然発生的に歌われる。11月のジャパンは何度アイルランドを脅かすことができ、この歌が何度、歌われることになるのだろうか?
歌詞の内容は、19世紀のジャガイモ飢饉の際に、貧困から盗みを働きオーストラリアに流刑になる夫と、アイルランドに残さえる若い妻子の悲しい別れの情景である。
Fields of Athenry By a lonely prison wallI heard a young girl callin Michael, they have taken you away. For you stole Trevelyn’s corn So the young might see the morn Now a prison ship lies waiting in the bay. 刑務所の壁の傍らで 若妻が叫びなく声が聞こえる 「マイケル なぜ遠くに行かねばならないの わずかな食料を盗んだだけなのに」 子供も母を見ていることだろう 今はまだ流刑船は停泊中 (Chorus) Low, Lie the fields of Athenry. Where once we watched the small free birds fly. Our love was on the wing. We had dreams and songs to sing. It’s so lonely ’round the fields of Athenry. アセンライの丘に寝転んで小鳥が飛ぶのを見たことがあったね 僕らの愛にも翼さえあれば 一緒に夢を見、一緒に歌も歌えるのに 今ではその丘にはむなしさだけが漂ようのみ (Chorus) By a lonely prison wall I heard a young man calling Nothing matters Mary when you’re free Against the famine and the Crown. I rebelled they cut me down. Now you must raise our child with dignity. 刑務所の壁の傍らで 若者が泣き叫ぶのか聞こえる 自由な頃は飢餓や圧政には耐えに耐え 何とかやって行けたのに ついに私は捕えられ落としめられた それでも僕らの子供は育てなければならない (Chorus) By a lonely harbour wall She watched the last star falling As the prison ship sailed out against the sky For she’ll live in hope and pray For her love in Botany Bay It’s so lonely round the fields of Athenry. 港の壁の傍らに 希望の星は落ちていき 流刑の船は出航していった 彼女は想いが(オーストラリアの)ボタニイの港に届くよう 希望と祈りの生活を強いられることになる しかしアセンライの丘はひっそりと寂しげなまま (Chorus) (訳は筆者)