イタリア戦 観戦記 もどかしさと歯がゆさ

この敗戦の意味は、これまでの敗戦とは明らかに違う。

 

過去4戦のエディジャパンの戦いでも
うまく行ったところは少なかった。
もう少しでうまく行かないところがほとんどであった。

新たな課題や試練は次々に訪れてきた。

イングランド戦では、母国の洗礼をうけながらも、「超速ラグビーの手応え」を得。マオリ第一線では、その裏に秘そむ「落とし穴」の存在を発見し。そして、マオリ第二戦では「超速ラグビーの有効な扱い方」の片鱗を学んだ。しかしながら、仙台ではさらに予期せぬ新たな試練がそこに待ち受けていた。

それでも信じられた。

なぜならそれぞれの原因や課題が明確だったからである。

そして、このように次々にあらわれてくる課題や試練を真正面からぶつかるく姿は、眩しく、頼もしくもあった。乾いたスポンジのようにあたらな経験を吸収して力にいく。若いチームならでは姿がそこに見えたそれらすべてがレッスンであった。肥やしであった

そこには常に「次」という期待があった。

「超速ラグビー」は言葉として、インパクトが強すぎた点もあったが、若手選手の結束やベクトルまとめ、ドライブさせるに有効に作用していた。そして、それをサポートし正しく導く、リーチや立川が居た。

4戦を通じ、ラインアウト、スクラムなどセットプレー自信は揺るぎなかった。(安心したのか過信したのか、コーチのマットフィールドは南アに帰国してしまってもいる。)

 

イタリア戦とイタリア戦までの課題は、上位国で6ネイションで大躍進中のイタリアにどう立ち向かうかということとに加え、下川と斉藤という2つの歯車の不在を、精神的、実践的にどう克服すべきかがという点が加わった。

わたしは、金曜の昼のメンバー発表をみて、そこに疑問や不安を覚えた。
「超速ラグビー」として一致してたベクトルのブレを感じた。下川の果たしていた歯車を埋めるのは山本だろうと思っても居た。
そこに大きな歯車はいらない。マキシ、サウマキ、タタフ、さらに結果を出しているコストリーといった大きな歯車の歯を噛み合わせるのは難しい。結果リーチに負担をかける形がみえてしまう。

そして、小山‐松田のハーフ陣、長田にまかせるWTB、控えに吸えるのが、坂手に加え、タタフ。さらにバックスの控えに李、山沢とSOを並べる布陣からも感じられた。

これまでのような攻め(アタックという意味ではなく、挑むという意味)のメンバー構成でなく、守り(ディフェンス意味ではなく、無難な)の姿勢がみえ隠れし、迷いのあるメンバー構成なのだ。

思いっきりの良さが感じられない。

スクラム、ラインアウトでのこれまでの自信(過信)からか、ここで桑野を試すといった色気も感じらられた。控えに桑野ではないかとと思っても居た。

意図が分散しており、歯車が噛みあうのかである。

心配は現実になった。今回は残酷にも歯車が噛み合わないとどうなるのかが、それが、北の大地で白日の元にさらされた。

キックオフからのリターンの仕方にまず、その影が見えてしまった。消極的である。松田のキックは距離が出ない。

小山‐松田のハーフ陣は、ギアを「パナソニックのラグビー」に入れることになっていまった。パナソニックのラグビーだから、ライリーの見事な2つのトライは必然に生まれた。しかし、これははたしてエディジャパンがめざしていたものだったろうか。

いいか悪いかは別にして、これまでの4戦ではキックオフからの「超速の発揮」が相手の度肝をぬいて、かならず先制点を取れていた。この日はなんども自重した入りになった。
小山も張り切りすぎる「凱旋ゲーム」なので、なんとか平常心で自制的なラグビーをしようとする意思(昨年のリーチのレッドの記憶?)が働いたのか、あの形になってしまった。これも裏目にでた。

歯車は噛み合わない。

イタリアに対しては禁物の不用意なキックは、カプオッオのステップの餌食になってしまった。まさしく、口をあけて欲しがっている者に好物餌を与えるようなものだ。(松田には一年まえにやられたやられたイオアネの記憶はあったはずだが、その時カプオッオはいなかった)

FW陣は、序盤のラインアウトのちょっと狂った歯車が、次第におおきな狂いになってしまった。後半、桑野を入れ替えても、スローワー坂手に変えてももはや収束できない。しかもラインアウトの狂いはスクラムの狂いにも波及してしまう。インパクトのタイミングがズレ、押しのベクトルが分散してしまうことになった。

歯車は噛み合わない

つまり、これまで合宿から積み上げてきたものは、ちょっとした狂いで、簡単に崩れてしまうものだったことを意味する。個々の身体的、肉体的、技術的能力の高さに依存していたセットプレーだったということだ。
マットフィールド、オーエンは共に個人としては世界最高のスペシャリストであるが、コーチとしては新米である。セットプレーはそんな簡単に作り上げられるものではない。また根底から作り直さねばならない。

次のパシフィックネーション大会まで1ヶ月である。根本から作り直すには時間はない。

いままでの負けとちがうのは、改善すべき点が明確でな、挽回すべきゲーム、目標とすべきターゲットが曖昧としたものになってしまった事にある。

パシフィックネーション序盤カナダ、アメリカ戦と続く。
準決勝、決勝は、サモアかフィジーとなると予想される

パシフィックネーションの優勝をとりあえずの目標にするとしても、ランクが下のカナダ、アメリカ戦を、どう位置づけ、どう戦うのだかろうか。

斉藤の出場停止が2試合ならば、アメリカ戦から復帰してもらいたい。

われわれはもどかしさと歯がゆさの中、やきもきしながら悶々とした2024の夏を過ごさなければならなくなった。

 

 

 

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