D組
イングランド、日本、アルゼンチン、サモア、チリ
日本は勝ち星がなく調子が出ないが、もっと深刻なのがカード問題に揺れに揺れるイングランドである。そして、サモアが元オールブラックスのソポアンガをSOに据えて、アイルランドに冷水を浴びせるほどに急上昇している。
対戦予定
9月9日 イングランド アルゼンチン(マルセイユ)
9月10日 日本 チリ(トゥールーズ)
9月16日 サモア チリ(ボルドー)
9月17日 イングランド 日本(ニース)
9月22日 アルゼンチン サモア(サンテティエンヌ)
9月23日 イングランド チリ(リール)
9月27日 日本 サモア(トゥールーズ)
9月30日 アルゼンチン チリ(ナント)
10月7日 イングランド サモア(リール)
10月8日 日本 アルゼンチン(ナント)
1,初戦のイングランドーアルゼンチン戦でほぼすべてが決まる
最初のイングランドーアルゼンチン戦の結果はこのプールを占うのに多くのことに影響する。
絶不調でカード問題で揺れに揺れ、主力も欠けるイングランドはここで黒星となるのが大方の予想だ。イングランドが負けるとするとそれは間違いなく大敗となるだろう。1トライは取れるだろうが、4トライを取られ11−37といったような点数差になるだろう。レフリーはトラブルメーカーの一人フランス人のマシュレイナルなので、このゲームでもイエローやレッドは多く出ると思われる。さらにその判定は新たな物議を醸し出すものになるに違いない。
このようにアルゼンチンが勝ってしまうと、イングランドは17日のニースでのジャパン戦が序盤ですでにプール戦敗退の瀬戸際となることになる。イングランドのデイリーメールやガーディアン紙など辛辣なメディアは、17日までの1週間こぞって中傷記事を書き連ねることになり、世界中の衆目がさらにこのニースの一戦に注がれることになる。
イングランドにも意地がある。どんなにアルゼンチン戦で無様な失態を見せようとも、この状況に落ち入れば流石に目が覚めるだろう。また、この日のレフリーはファレルにレッドを出したニカアマシュケリである。イングランドにとっては因縁のゲームとなる。一方レフリーの心情として、変なバランス感覚が働いてイングランドに甘い笛になるという懸念もある。ジャパンのイングランド戦の勝利は厳しくなる。
2,最後までもつれるシナリオとその場合の注目点
そのシナリオとは逆に、アルゼンチンが初戦のイングランドに負けるようなことになれば、17日の日本戦のイングランドはそれこそ調子にのって流れをつかんでくるだろう。このケースではまた別の理由で日本の勝機は遠のくことになってしまう。この場合の日本の希望は調子に乗りすぎてイングランドの反則ぐせが顔を出すことくらいであろう。
しかしこのようにアルゼンチンが初戦に負けると、プール戦突破の決着は日本のその後の勝敗にかかわらず、最終のナントでのアルゼンチンージャパン戦までもつれるということになる可能性が高くなる。最後のナントがジャパンの起死回生、最後の1枠をかけた戦いの場になる。
考えたくもないが、もしも日本がイングランド、サモアに連敗し、1勝−2敗でアルゼンチン戦を迎えたとしても、アルゼンチンも2勝−1敗で最終日本戦を迎えることになるからだ。日本がアルゼンチンに勝ちさえすれば 日本、アルゼンチン、サモアの3チームが2−2で並ぶことになる。2−2でプール戦突破という劇的結末になるかもしれない。
日本がイングランドに勝ちサモアに負けると、アルゼンチンがサモアに勝って2勝1敗、日本も2勝1敗で同じ星勘定で、最終戦を迎えることになる。またイングランドも2勝1敗、サモアも2勝1敗のままで前日の10月7日に対戦する。このイングランド‐サモア戦の勝者が3勝1敗でプールを抜け、10月8日のアルゼンチンー日本の勝者が3勝1敗でプールを抜けることになる。
ここで重要になる注目点が4点ある
第1のポイント
三つ巴になった際はBPの差できまる。それも同じならば総得失点差になる。
日本はチリ戦ではBPを取るだけでなく50点差以上ほどの得点差を付ける必要がある。そしてイングランド戦、サモア戦は負けるにしても僅差でできれば4トライもとり勝ち点2づつを稼ぎたい。
第二のポイント
次は各チームが最後のゲームまでどれだけ戦力が残っているかある。イングランドの序盤2試合はトラブルメーカーのマシュレイナルと因縁のニカアマシュケリ(2人共母国語が英語でない)であり、さらに初戦の相手アルゼンチンにはカード常習犯のラバニーニがいる。両チームともストレスがたまるゲームになると予想され、フラストレーションが多くの反則を産み、多くの反則は赤や黄色のカードを産む。赤のカードは3試合の出場停止だ。
こうなると最終の日本とアルゼンチン戦のアルゼンチンは全く違ったメンバー構成になっていると思われる。日本の方も激しい戦いで必ずけが人がでる。ジェイミーはコーネルセンやライリーなどにフル出場を重ねる可能性がたかく、疲れが蓄積し、パフォーマンスが落ちる可能性もある。どのように怪我なくカードなく戦力を保持できるかがキーになる。
第三のポイント
アルゼンチンの人気が異常に高まる可能性がある。
アルゼンチンの主力メンバーはフランスTOP14での人気選手が多い。かれらが活躍すれば、フランスの目の肥えたファンはスタジアムに押しかける。しかもアルゼンチンチームはナントの近くでキャンプを張り、ナントでは1週間前にチリ戦を行っている。最終戦のナントのスタッドドゥラボージョワールは日本が完全にアウェー状態になってしまっている可能性がある。
第四のポイント
最後が、サモアの実力をどう評価するかである。
サモアはSOソポアンガの加入により、日本はもとより、アルゼンチン、イングランドに勝てる可能性が高まってきた。アイランダーの特性として、波にのると強いが、逆境に弱いとい面がある。ひょっとしてサモアがチリ戦のあと日本、アルゼンチンと3連勝して、突破を早々と決めてしまうという可能性もある。
こうなるにはサモアにとっては第2戦の日本戦がキーになる。
この対戦は2015年から3年連続の対戦になる。しかも今回のレフリーはサモアにとって2019年の豊田スタジアム日本に負けた時のレフリーおでこの気になるヤコペーパーである。サモアにとっては縁起が悪い。ジャパン戦を勝ちきれば大躍進となりうる。
日本にとって最高のシナリオは、アルゼンチンも日本も無傷で3−0で既にプール戦突破を決めた状態で最終戦を迎えることになる
その状態ならば、準々決勝の相手は、フィジーとオーストラリア、ウェールズのどこになるかが決まっているはずだ。
最後に初出場のチリについて、付け加えておきたい。
ジャパンのサポーターとしての本音は、日本戦以外のサモア、イングランド、アルゼンチンに敗退するにしても大量得点やボーナスポイントを与えないでほしい。そんな打算的なことを考えるのは野暮きわまりない。チリはこの20チームの中で最も好感がもてるチームだ。国の歴史ではUSAとの間には忌まわしい過去の歴史もあった。そのUSAを僅差で破って涙の初出場を飾った。雨の中、勝利を決めるSOロドリコの6人抜きトライはワールドラグビーのベストトライ賞を獲得している。ライバルのウルグアイからなりふりかまわず監督を招聘し、すべてをなげうっての早朝からの猛練習の成果が見をむすんだのだ。心から応援したい。