ロンドンのトゥイッケナムと違って、フランスのサンテティエンヌでは目にするもの全てに、美しい光景がくり広がった。
まず、スタジアムが美しい、W杯の会場ともなる、角形の近代的スタジアムは42000人を収容。普段はサッカーの会場になっているのに違いないのに、ほとんどサッカーのラインは残っていない(どこかのスタジアムとは大違い)。スタンドではトリコロールの旗が揺れ、幸せそうなフランス
の観客の顔がどれも幸せそうで美しい。
そして、両チームともスター選手の顔が出そろった。一列に並んだ見慣れた顔、顔。フランにはデュポン、ヌタマック、プノー、トマラモス。スコットランドはジェミーリッチーにフィンラッセル、ファンデルメルバ。それだけでも充分に鑑賞に耐える。
その上その彼らが、期待通りの得意技を惜しげもなく披露し、活躍を見せるのだ。それこそスター選手がスター選手たるとこところである。
後半開始後のフランスの速攻2トライはとても鮮やか、あっという間に27ー10としてほとんどゲームを決めてしまった。
美しいのは選手だけではない、ニックベリーのレフリングが美しい。口数が多く、声の張りがとてもよく響く、安心感にあふれている。そしてさらにスマートなのが、TMOの判断だ。あっという間に的確な映像がながれ、文句のない納得の結論が出る。なんという速さだ。全くストレスがない。
しかし、それからのスコットランドの追い上げも素晴らしい。ファンデルメルバがトライを決め、終了間際にはキングホンの素晴らしいライン側のグラバーをステインが決め、27−27と同点に追いつく。
最後はフランスの千両役者の登場だ。77分にスクラムかペナルティをもらうと、時間を胃いっぱいいっぱい使って、79分にトマラモスがPGを決める。
あまり褒めすぎてもいけないので、最後に一つだけ苦言を呈しておきたい。シンプルでシックでスマートなスコットランドの新ジャージだが、腰の部分の白い切り替えが気になって仕方ない。どうしてもこれが腰痛の膏薬に見えてしまうのだ。そう言えば、日本のリーグワンのジャージにもその部分に、「バンデリン」のロゴが貼ってあった。