ナポレオン物語今回が最終回です。
9、トラファルガー
トラファルガーの海戦の前にこんなエピソードがあります。
敵国である英国提督ネルソンのところに、拿捕したナポレオン軍から押収した手紙の束が届けられます。
部下
「ネルソン提督。ナポレオンの署名の手紙があります。きっとこれは秘密作戦の情報が書かれているに違いありません。」
ネルソン提督
「そうだな、すぐに封を切って、読み上げてくれ」
部下
「えーとなになに
ジョセフィーヌ。愛するジョセフィーヌ。オレは、毎日、毎日心配でたまらないんだ。どうにか浮気だけはやめてくれないか。まだ続けるというなら、いっそ別れてしまうということも考え始めてしまうんだ。 ん。
続けますか」
ネルソン提督
「ナンジャこれは」
遠征中のナポレオンに対し、留守を守るはずのジョセフィーヌが好き放題しているのを聞くと、ナポレオンはいてもたってもいられなくなって、ついに離婚話も繰り出したのでした。
敵将がそんなことまで知っているなんて、つゆ知らないナポレオンは今日も戦場では元気です。
しかし今回ばかりはうまくいきません。
「カラカラカッキーん 射て」
「ドッカーン」
「外れました」
(おかしいなこれではどうか)
「カラカラカッキーん 射て」
「ドッカーン」
「またはずれです」
陸の上では計算が立つのですが、海の上では揺れがあって、ナポレオンのコンピューターに狂いが生じていたのでした。
この戦い英国艦隊の圧勝でした。しかしネルソン提督のほうはこの戦いで戦死します。
ちなみに、ネルソン提督の遺体は、腐敗しない様にラム酒(コニャックとかブランデーとかの説もあり)の入ったの樽につけ込まれてロンドンに帰還しまます。しかし、ロンドンについた時に樽の中のラム酒はほとんど残っていませんでした。酒好きの水兵達がこっそりと飲んでしまったということです。ネルソン提督は英国の英雄として、国葬になり、ロンドンのトラファルガー広場に銅像があります。
10、アウステルリッツ
この戦いはフランス皇帝ナポレオンがロシア皇帝(アレクサンダー1世)、オーストリア皇帝(神聖ローマ皇帝フランツ2世)と戦ったので3帝会戦と言われます。
「カラカラカッキーん」
図形の得意なナポレオンは、右翼をわざと手薄にして、そこに敵を呼び込むことで敵の陣形を分散させ勝利を確定させます。
劣勢なオーストリア軍はジリジリ後退りします。
「カラカラカッキーん」
「照準を合わせよ」
「ナポレオン閣下。これでは敵の頭の上を通過してしまします。いいんですか」
「いいから射て」
(ドッカーン)
玉は敵の頭の上を超えていきます。
それを唖然と見上げるオーストリア軍。
そして落ちた先は氷で覆われた湖上の上でした、氷は激しくわれます。
すでに湖の氷の上まで撤退していた1万数千名が全滅です。
アウステリッツでは勝利を収めたナポレオンですが、その後調子に乗って深追いしすぎました。ロシアの冬将軍には勝てずに、あえなく撤退となります。
しかしその撤退で数十万の軍隊は壊滅となり、ナポレオンは失脚します
11、エルバ島
要するに島流です。
ナポレオンは非常に落ち込みます、金銭的にも余裕がなくなります。
しかし、エルバ島は、故郷のコルシカ島のすぐ隣でした。母は寄り添って支援します。
下記の様な回文が有名です。
「Able was I ere I saw Elba.(エルバ島を見るまでは、私に不可能はなかった)」
だがしかし、ナポレオンにはまだ不可能はなかったのです。
突然、元部下が訪ねてきこう言います。
「パリではブルボンが戻ってきて民衆が虐げられています。国民はみんな困っています」
「カラカラカッキーん」「小船で行けば簡単にパリに行ける」
(かつてはエジプトから小船でフランスに舞い戻ったこともあったのですから、不可能ではありません。)
「かーちゃん オレやっぱり戻ることにすんぞ」
母にして見れば、息子がやっと戻ってきたと思って安心していたのに、また去っていくことには心情的に辛いものがあったことでしょう。しかし、この時の母の言葉も素晴らしいです。
「おんみゃ、止めても無駄だっちゃ、もうお前の母であることは忘れることにすんぞ。どうせいくさでまともな死に方なんかしない様になっとーと。こんなしけた島なんかで死ぬ様にはなっとらんと、さあいってらっせ」
数名の部下だけで小船でエルバ島を脱出し、パリに戻ります。
ブルボンはまた逃げ出し、ナポレオンが政権を奪取します。
12、ワーテルローの戦い
そうして、英国軍とプロイセン軍との最終決戦を迎えます。
英国軍6万8戦、プロイセン軍5万、フランス軍7万。
まともに戦ってのでは勝ち目はありません。でもプロイセン軍はまだ到着していません。
「カラカラカッキーん」
プロイセンの軍は今出たとこだからここに到着するのは4時過ぎになる。
それまでに先制攻撃で英国軍を倒せは100%勝てる
「カラカラカッキーん」
「これに照準を合わせろ」
「合いません」
「なんだと」
「昨日からの雨でぬかるんで大砲が安定しません」
「もう一度やれ」
「できません」
そうしているうちにプロイセンの軍隊は間に合ってしまいました。
得意の大砲が機能したのはそれからのことでした。ナポレオンの完全な敗北です。
ワーテルローで大敗を喫したナポレオンは、失格します。100日天下と言いますが、実際は95日でした。
今度は、大西洋の孤島セントヘレナ島に流されます。そしてそこで生涯を終えます。
(注、この記事は、史実を基にしてはいますが、創作も含まれています。トラファルガーの会戦にはナポレオン自身は参加していません。)