コロナ感染拡大の関係で、学校が休校になり、5月6日までの休校がすでに5月31日にまで伸びたところも多い。さら5月31日時点でも安心して再開できるのかという問題がある。
そこでにわかに急上昇してきた考え方が9月新学年制度導入説である。
世界標準として9月新学年の国が多く、以前から9月新入学新学年を推し進める動きはあった。
普通の教育現場の声としては、短期的には余裕を持った授業ができるとか、国際化に当たって、留学や逆に留学生を受け入れることについても進みやすいこと、などから一気に長年の課題も解決できる有力な案である。
このままでは短期的な課題と将来がどうなるのかを考えてみたい。
1、賛成意見と意見の論旨
賛成意見 1、教育現場で休校により十分な授業ができていない 半年学年を伸ばすことで余裕を持った授業ができる 2、休校の時期の全国格差があり、それを合わせられる 3、世界標準の9月入学に合わせられる ー留学や留学生の受け入れが可能 ー国際的な視野を持たせられる ー学術研究や世界学会などでのスケジュールの合わせもできる 4、副次的な効果として夏のバカンスの習慣が浸透させやすくなる。 (もはや死語となりつつある「働き方改革」も進む) 反対意見 1、場当たり的で性急すぎるのではないか 2、半年後もコロナが収束していない可能性が高いのではないか 3、社会全体に波及する問題であり議論が足りない、時間がない。 (特に会計年度とのすり合わせ、イベントスケジュール 4、混乱が生じる、漠然とした不安 5、半年分の授業料負担増になる 6、半年分の新入社員の給与減、企業の戦力減(これは3の中の一部になる)
こう見ると、反対意見は理論的というか変化への不安のような漠然としたものが多い。これらは知恵を使えば解決できる問題ではないかと思われる。
例えば、3の混乱が生じるといっても現在すでに大混乱なわけだし、2の半年後に収束していないとしても、半年の間にWIFIを充実させ、タブレットを渡すなど遠隔授業のシステムを整備しておけば良いわけだ。5、や6については政府の補助があれば可能。新入社員の給与等は卒業単位が揃っているならば、インターンシップなどでの柔軟な対応を取ることも可能ではないか。
2、スポーツ特にラグビーに関しての影響
1)来年開催予定のオリンピックはどうなるか
これは来年度(9月から9月の新年度)としてもスケジュール的に多くの問題は生じないと思われる
むしろ卒業生によるボランティアなどへの参加増も期待できる。
2)各種大会はどうなるか
今年の高校総体は中止が決定、夏の甲子園大会も中止の可能性が高いが、学年が半年伸びることで再び出場の可能性も見えてくる。これは朗報である。ただし、夏に開催となると、卒業生を出場させることになるので、それもいかがなものかと思われる。来年度(9月から8月の年度)だけ特例で3年生の出場を認めるというのはどうだろう。
甲子園の場合は、再来年以降は夏は新3年生の甲子園となり、夏が選抜大会、秋に地区予選を行い、春が本大会になることにしてもよいのではないか。
1)ラグビー花園大会
ラグビーの花園大会は毎年年末から正月であり、高校三年生にとってはセンター試験手前でスケジュール的に無理があった。センター試験が初夏になれば、余裕を持って部活動に専念できる。文武両道を極める選手諸君にとっては朗報である。そしてラグビー部にはさらに優秀な選手を集められるようになるのではないかと思われる。
2)学生ラグビー(各リーグ)
通年では9月開幕し、11月末から12月に最終戦が行われ、12月中に入れ替え戦が行われた。昨年度はW杯のために8月開幕で12月初旬に閉幕。これも問題なし。
3)大学選手権
大学選手権の日程も問題はない。むしろ大学選手権は学生の卒論の時期と重なってしまっていたので、選手は終了後に学業に専念できるというメリットもある
4)トップリーグ
改革することが決まっており、これからでも最適なスケジュールを決定できる。
世界ラグビーでは6月と11月がテストマッチのウインドウマンスになっているが、それも影響はない。
5)その他
アンダー20や、アンダー23などの国際大会も、学年が一緒になるのでもちろんグローバルスタンダードに合致して問題がなくなる。
3、学生の卒業時期と社会人、プロへの加入時期の問題
これはラグビーだけでなく、プロ野球やリーグなどにも共通の問題である。
ただし、これば北米のプロスポーツのドラフト会議などの日程にあってくるので、まさにグローバルスタンダードに合致できる。直接海外を目指すことも可能になり、また海外の若手選手の採用も可能になり、一挙に国際化が進む。
4、その他の問題
一番の問題は卒業式や入学式という節目に「桜」がないことである。
これは文化的に定着して、様々な「卒業ソング」として記憶に残っている。その記憶が新しい卒業生には味わえないということが寂しいかもしれない。
昭和の終わりから平成までの一時期の文化的遺産として「卒業ソング」が記憶の中にとどまることになると思われる。あと30年もすれば、世界文化遺産として「卒業ソング」がユネスコに登録されてもおかしくはない。
もしも桜の下で入学式をしたいのなら、是非ともニュージランドやオーストラリアなど南半球へ留学してみるのはどうだろうか?(もちろんラグビーで)