通常48時間前にギリギリまでメンバー選考を塾考して発表するのだが、エラスムスは、いつもの通り1日前に発表を行った。これには2つのメッセージが含まれている。JAPANを警戒して圧力をかけるために先手を打ったものと思われる。
一つ目のメッセージは、「JAPANのことは全てお見通しですよ」というメッセージ。これは半分本音のところだと思われるがそのことはJAPAN首脳陣にプレッシャーを与えることになる。二つ目は、JAPANの快進撃に対して、JAPAN戦にプレッシャーを感じている南アの選手に「いつも通りで大丈夫」という安心感を与えるという狙い。
ただし、控えのフォワードを6名にした点に注目である。通常控えの選手8名3名のフロントロー、2名のロックやバックロー、21番にスクラムハーフ、22番と23番にバックスの選手を配置する。今回バックスをHヤンチーズとFステインの2名の登録にし、6名のFWを選出した。これは完全にJAPANのフィジカル面の成長を脅威に感じている点に他ならない。9月6日の対戦では、フィジカルではほぼ互角であり、キックを使った戦法が功をそうして結果41−5の勝利になったが、その後のアイルランド戦、サモア戦などを分析し、特に後半にスタミナ面でタフなゲームになると想定しているからに他ならない。今度は「フィジカルで勝負に出ますよ」というようなメッセージでもある。
しかし、これはFWゴリゴリで勝とうという戦略を明らかにしたわけではない。これもやはり、JAPANに対しての揺さぶりをかけてきているのである。
JAPANの強さは、選手のフィジカルの成長や高速パスや、高速ウィングにあるのだた、それよりもその強さの根本は、どんな相手でも完璧な戦略を立て、それを確実に実行する能力そのものにあることにあるのだということ。南アの首脳陣はそれを確実に見抜いている。これは非常に冷静にJAPANを分析研究していることがうかがわれる。そしてそれに対抗する手段としてJAPANの戦略の決定にふさぶりをかける作戦に出たのだと思う。これでJAPANの戦略の変更につながれば大成功、繋がらねくても何らかの楔をうち込めれはそれでも成功。
これに対してJAPANがどのような戦法を考えてそれを遂行することを出してくるのか、これが非常に興味のあるところである。相手の出方に関わらずポゼッションのラグビーを行うことで勝機は出てくると思われる。
9月6日の熊谷での南ア戦は、JAPANにとっては4年間の総仕上げ出会って、JAPANは勝ち負けではなく、アイルランド、スコットランド、サモアを想定して、いかにフィジカルが成長したかを確かめる目的が大きかった。そしてその目的の確認のためのゲームを行い確実にその手応えと自信をつかんでプール戦に臨んだ。結果は4戦4勝。9月6日の熊谷ではJAPANはもう少しPGを狙うなり、裏へコントロールされたキックを多用すれは点差は縮まっていたはずである。
逆に南アは9月6日のゲームはどうしても大差で勝たなければならないゲームであった。不安を残しての初戦のNZとのゲームはリスクは大きすぎる。しかしそれでも結果はオールブラックスへ僅差での敗戦となった。
一方ジャパンでは、9月6日のゲームはキックの精度とキック処理の精度が課題になった。ディフェンスのキーとなる福岡が開始早々退場というアクシデントが、その危惧をより明確にした。ジャパンの快進撃でこの課題が隠れてしまっているようだが、いまだに完全にはその課題は解決されていない。初戦のロシア戦のトゥポウのキャッチミスから先制を許し、アイルランド戦に失った二つのトライも相手のゴール前のへのキックからであった。スコットランド戦は幸いゲーム展開がそうはならなかったのでその問題が表に出なかっただけである。
20日の南アは必ずキックを多く使ってくるはずである。