ハイネッケンカップ 準決勝2試合結果

トゥールーズ  VS  ボルドーベルグ

4強のうちにフランス勢が3チーム残りました。土曜日のこのゲームは、フランス代表の若きスタンドプ対決になりました。トゥールーズのヌタマック対ボルドーのジャルベールです。ヌタマックはこの日が誕生日で22歳、共に22歳になりました。フランス代表ではW杯日本大会などヌタマックが早く頭角を表しましたが、今年の6ネイションではそのヌタマックの怪我の間に完全にジャリベールが正スタンドオフの座を得たように思えます。ヌタマックもジャリベールも歳に似合わず冷静なのですが、この日は明らかにジャリベールは闘士が目に見えます。対するヌタマックは冷静というより、アンニュイな感じで少し憂いをひめたいつもの印象でした。スタンオフ対決はかなりレベルの高い戦いですが、結果は両者引き分けというとこだったでしょうか。

代わりに勝負を分けたのはボルドーの反則の多さと層の薄さでした。イエローカードで十四人になったときはなんとか七人のFWで凌ぎますが、十五人に戻ってから安心したのか反則が多くなり、ことごとくヌタマックにPGを決められ徐々に点差が開いてしまいます。また、コロナの影響で練習もままならず、レギュラー人数が揃わなかったのも残念でした。
トゥールーズは、ハーフのデュポンもいつも通りにタックルにアタックに大車輪の活躍です。この日14番コルビはトライこそありませんが、3割増しの快足をみせます。ウジェは引退しましたが、カイノ、ファウムイナ、メダールなどキャラが立っている個性派揃いです。ベテランですがまだまだ元気でした。

なおフランスでは、TVではハイネッケンカップと言ってはいけないとのことです。フランスでは放送でアルコールの広告をしてはいけないことになっています。このことでハイネッケンの広告もハネッケンカップのロゴも映ってはいけません。このことが2023年大会のスポンサーをアサヒがハイネッケンから奪い取った理由とのことです。

続いて日曜日の
ラロッシェル VS レンスター

この試合はラロッシェルの本拠地で行われました。ラロッシェル は大西洋に面した古くからの漁村で、百年戦争や第二次大戦では戦地になりましたが、人口は7万ちょっとのどこにでもあるような田舎の港町です。1898年設立とラグビークラブの歴史も古く、地域に愛されてクラブは今まで継続しています。無観客で行われたこのゲームですが、その歴史の中で初の決勝進出というおらが町のチームの歴史的瞬間を一目見ようと、スタジアジアムの周りを黄色と黒のサポーターが幾重にも取りかこみ、かえって危険な密状態になっています。近隣の高い建物の窓という窓からも黄色の旗がふられている状況です。ラロッシェルの先発には、オールブラックスのビクタービト、カーバローやワラビーズのスケルトン、SOもブルーズのイハイアウエストと南半球勢が勢揃いの布陣です。フランス代表もフルバックのヂュラン、ナンバー8のアルドリッド、3番のアントニオとメンツが揃っています。

対する優勝4回のレンスターの先発はアイルランド代表経験者ばかりです。しかし、大黒柱のセクストンは脳震盪の影響でこの遠征には参加もしていません。代わりを務めるのは代表でもいつもセクストンのいない時に使われるロスバーンです。

経験豊富な布陣のレンスターですが、ラロッシェルのヘッドコーチはそのセクストンの前のSOでもっと経験豊富で実績のあるオガーラが就任しています。アイルランドのことは知り尽くしています。しかもオガーラはコーチングの勉強のために昨年度まで単身ニュージーランドに渡り、クルセイダーズで南半球のラグビーのノウハウも手にいてれいます。

先にトライを取ったのはレンスターでしたが、ラロッシェルはイハイアウエストのPGやDGで逆転します。そして、アントニオ、スケルトンの重いスクラムが、レンスターのヒーリーファーロングの癖のあるスクラムを粉砕してしまいます。
巨体のアタックでもスケルトンはボールを持てが2−3人を引きずって3−4mは必ずゲインします。後半に2トライを取ったラロッシェルが決勝進出を果たしました。

敗色濃厚のレンスターに最後の10分に一つのドラマがありました。引退を表明していたスコットファーディーが交代出場を果たしました。スコットファーディーは無名時代に釜石シーウェイブズで活躍し、2011年の震災を経験しています。そして帰国を迫るオーストラリアの大使館の車を拒否して、釜石の瓦礫の片付けのボランティアを続けました。オーストラリアに戻ってから、スーパーラグビーで活躍し、オーストラリア代表の中心選手として、2015年W杯にも出場、ワラビーズの準優勝にも貢献しました。その活躍から2017年にアイルランドに渡ってレンスターの一員としても活躍、この日を迎えたのです。一度2018に復興の釜石の訪問を果たしました。ファーディはインタビューでこう答えています。「あの体験が僕の人生観を変えたんだ」。

これで5月22日の決勝戦は、優勝候補でこれまで最多優勝の金持ちスター集団のトゥールーズ と、初の決勝進出で初の優勝を狙う田舎町のラロッシェルの対戦となりました。決戦の場所は、ロンドンのトゥイッケナム。このゲームは観客をいれて開催されることも決定しました。フランスから両チームの応援団がドーバーを渡って集結するのは間違いありません。

 

本日のお供

バランタイン7年

3月に新発売になったばかりの話題の一本ですが、すでに半分空いてしまっています。7年という若く中途半端な年数表記ながら、濃厚な甘い香りと、バニラの風味です。全くアルコールの刺激を感じないのでストレートでもガンガンいけます。見た目もなかななフォトジェニックです。わざわざ商品名を年数表記にしたのは、熟成度は年数だけではないという驚きと証明をしたかったからではないでしょうか

 

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